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ゴールを奪うためにボールを動かす。神戸弘陵が後半3発で神戸を突き放し、兵庫決勝進出

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後半21分、神戸弘陵高FW馬場悠平が左足シュートを決めて3-1

[6.9 インターハイ兵庫県予選準決勝 神戸弘陵高 4-1 神戸高 アスパ五色メイン]

 令和5年度全国高校総体(インターハイ)「翔び立て若き翼 北海道総体 2023」男子サッカー競技兵庫県予選準決勝が9日、洲本市(淡路島)のアスパ五色天然芝グラウンドで行われ、神戸弘陵高神戸高に4-1で快勝した。
 
 今年度の目標は神戸弘陵にとって、初の県内3冠。県新人戦に続く2冠達成へ、一歩前進した。神戸弘陵は立ち上がりからボールを支配し、大きな展開を交えて攻撃。前半10分、CB松井君弥(3年)のロングフィード一発でゲーム主将のFW馬場悠平(3年)が抜け出し、右足で先制点を叩き出す。

 神戸弘陵はその2分後も動き出しで違いを生み出す馬場が左足シュート。また、MF江崎有佑(3年)のカットインシュートや馬場のヘッドで追加点を狙う。だが、神戸GK鵜野莉比人(3年)の好守に阻まれるなど、ここで畳み掛けることができなかった。MF大井孝輔(3年)を中心にボールは動いていたものの、繋ぐことにやや意識が傾き過ぎて停滞。守備に人数をかける相手を攻略することができなかった。

 対する神戸は選手権出場25回、旧制神戸一中時代には5度の選手権制覇を成し遂げている県内屈指の進学校。守備に重きを置きながら、奪ったボールを大事に、正確に繋いで反撃する。特に左のMF坂田祥颯主将(3年)、右のMF大原昊也(3年)はいずれも突破力があり、坂田のクロスに大原が飛び込むシーンもあった。

 また、素早くボールを繋いでスルーパスまで持ち込むなど堂々の戦い。そして30分、FW桑木野大夢(3年)の左ロングスローのこぼれ球をMF渡邊直希(3年)が右足ダイレクトで撃ち抜く。これがゴールネットに突き刺さり、1-1で前半を終えた。

 神戸弘陵は後半開始から攻守の中心で、いずれも注目プレーヤーでもあるCB岡未來主将(3年)と10番MF北藤朔(3年)を同時投入。2人が雰囲気を一変させる。「(前半見ていて、)背後のボールが足りないと思っていたので、一発目のプレーで背後へ蹴りました。(背後を狙うことで)自分たちの得意なバイタルエリアでボールを持てると思った」と岡。高精度の左足を持つ岡のロングフィードやサイドチェンジ、また余裕のあるボールコントロールによって個でDFを剥がす北藤が加わったこともあり、神戸弘陵はよりゴールへ向かう動きが増えた。

 谷純一監督が「相手に攻撃させないためにボールを持つのではなくて、ゴールを奪うためにボールを持つということでウチはやっている。後半はゴールを奪うためにボールを動かすということができた」と説明したように、目指す戦いを表現した神戸弘陵が3点を加える。

 後半11分、右中間でボールを持った北藤がスルーパス。右SB豆成僚(3年)のクロスはDFに阻まれたが、浮き球のセカンドボールに北藤が反応する。そして、右足ダイレクトで決め、勝ち越した。神戸も17分、左CKにMF木村亮太(3年)らが飛び込み、ヘッドがクロスバーを叩く。

 だが、神戸弘陵は21分、自陣から3人、4人と絡んでボールを前進させると、後半に存在感を増していたMF中邑蕾羽(2年)がスルーパス。右中間で受けた馬場が切り返しでDFを外し、左足で3点目を挙げた。さらに32分、神戸弘陵は中邑のパスからPAで仕掛けたMF有園依咲樹(3年)が個の力で決め切り、4-1。神戸は強敵相手に集中した守備を継続し、最後まで前を向いて攻め続けるなど見事な戦いを見せたが、準決勝敗退となった。

 神戸弘陵は昨年、決勝で三田学園高にPK戦の末敗れて準優勝。岡は「選手権も悔しいんですけれども、自分はインターハイの方が決勝まで行ってギリギリで負けたというのもあって、鮮明に失点シーンも、PKのところも得点シーンも覚えている。このインターハイは取りたいと思っている。そのためにやらないといけない」と力を込める。

 掲げている目標は3冠。今年、個やコンビネーションで打開することはどのチームを相手にしてもできているという。守りを固められてPK戦に持ち込まれたりしないように、「強引に3点取るまではしっかりゴール目指してやろうと言っています」(谷監督)。3点取るまではクロスを上げ切る、シュートを打ち切ることを徹底。この日は後半に目指すサッカーを表現し、計4得点を奪って勝ち切った。

 2月の近畿新人大会では決勝の出場辞退をクローズアップされたが、準決勝までの3試合で13得点と攻撃力を見せつけている。県3冠を達成し、全国で勝負することが目標。その目標達成へ向けて一生懸命取り組み、ピッチに立つチャンスを勝ち取っている3年生のプライド、頑張りを谷監督も喜ぶ。次は相生学院高との決勝。岡は「自分が思うのは、インターハイで全国行ったら先が変わると思う」。この日の前半の内容を反省し、後半のようにゴールへ向かい続けて18年以来のインターハイ切符を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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