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先を行く旧友にも勝利。明秀日立CB山本凌主将はV候補連破で「少しは有名になれた」

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明秀日立高CB山本凌主将(3年=FC.フェルボール愛知出身、右)は競り合いで強さを示して無失点

[7.31 インハイ3回戦 明秀日立高 1-0 青森山田高 カムイの杜公園多目的運動広場A]

「こんなに伸びるとは思っていなかったです。中学校の時、名門のクラブにいたんですけれども、ちゃんとしたレギュラーという子ではなかったので。(高校進学後もすぐにチャンスを勝ち取った訳ではなく、)チームの屋台骨を背負えるようになったのは、一重に本人の努力だと思います」

 萬場努監督も驚く進化。明秀日立高(茨城)のCB山本凌主将(3年=FC.フェルボール愛知出身)が強敵の前に立ちはだかった。序盤から青森山田高(青森)はパワフルな攻撃。ゴール前にクロス、セットプレーのボールが入ってきていたが、山本が予測力や強さ、高さを発揮して跳ね返していく。

 各選手がコンタクトプレーで健闘する中、山本は一際目立つ動き。時折強い雨が叩きつける中、集中力の維持は難しかったはずだが、明秀日立の守りは崩れない。終盤は相手のロングスローの本数が増えていたものの、山本は交代出場MF斉藤生樹(3年)らチームメートとともに跳ね返し、枠を捉えたシュートをブロック。根気強く守り続けたことが、後半アディショナルタイムの劇的な決勝点を引き寄せた。

 今年はじめから青森山田の中心選手として活躍するMF杉本英誉(3年)は、FC.フェルボール愛知時代のチームメート。試合前にも会話をかわしたという旧友とマッチアップするシーンは少なかった。だが、彼の左足を警戒したコーチングでゴールを許さず。その杉本や帝京長岡高(新潟)MF堀颯汰(3年)、東邦高(愛知)のCB朴勢己(3年)やMF森一琉(3年)といった中学時代の仲間は自身よりも早く名を上げていた選手だ。

 だが、今大会で山本は彼らよりも上のステージへ。「(中学時代、)自分は試合にも出ていなかったけれど、その分、今回のインターハイで静岡学園を倒して、山田も倒して、少しは有名になれたと思います」と微笑んだ。

 山本はCBからボランチを経て、今年から再びCB。関東大会予選では2回戦で早期敗退し、主将としてブレた部分もあった。そこからチームの雰囲気も変えてきた山本について、萬場監督は「今の彼はプロへ行った高嶋(修也、現栃木)とかとそんなに変わりない信頼があります。まだ自分で限界を外せるというか、限界越えて倒れるまで走ろうということができる子なので、凄く伸びてきてます」と信頼を寄せる。

 06年の早生まれで強度の高いプレーを続ける山本は、U-17日本代表スタッフも関心を寄せる存在に。だが、本人はまだまだ成長することが必要だと考えている。「そこ(代表)まではまだ行っていない。呼ばれるくらいもっとやりたい。守備の部分はだいぶ返せる。でも、ビルドアップの部分で山田のプレスとか全然剥がせていないので、この部分で成長していきたい」。まずはチームの勝利のために全力。一つ一つ白星を重ねて自身の将来も変える。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023

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