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桐光学園の10番MF松田悠世が抜群の動き見せ、流れを変える鮮烈同点弾。課題を突き詰め、突き抜けたアタッカーへ

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桐光学園高の10番MF松田悠世は1ゴール1アシストの活躍

[8.4 インハイ決勝 桐光学園高 2-2(PK6-7)明秀日立高 花咲スポーツ公園陸上競技場]

 チームを勇気づけるような一撃だった。1-2の後半16分、桐光学園高(神奈川1)はDFラインからビルドアップ。左サイドへ展開すると、交代出場MF齋藤俊輔(3年)がマークを外して中へ運ぶ。この瞬間、中央のエースMF松田悠世(3年)がDF間へポジショニングし、齋藤からの鋭いパスを絶妙なファーストタッチ。前方のスペースへボールを置くと、そのまま対角の左足シュートをゴールへ突き刺した。

 2点を先取された決勝戦。松田は「自分のところで流れを変えたいと思っていた」と明かす。その言葉通り、前半31分にFKで追撃ゴールをアシスト。そして、鮮烈な同点弾でチームを勢いづけた。

「(同点ゴールのシーンは、)自分は中間で受けるのが得意なので、ボールコントロールにも自信があって、あとは普通に蹴っても入ると思うんですけれども、目の覚める一発でみんなにも強い気持ちの入ったプレーを自分が見せて、それが浸透できるようなプレーをしたかったので、迷わずに振って、上手く決めれたなと思いました」

 強力なレフティードリブラーである松田は、ボールが入ると抜群の動き。前後半、延長戦も1対1では止まらず、DFを2人、3人と外してシュートやラストパスへ持ち込もうとしていた。幾度もドリブル突破にチャレンジしていた一方、課題の守備も精力的にタスクを実行。体力的な負担も大きかったはずだ。

 だが、ボールが入れば、単騎でも前へ。「体力的にキツいところはあったけれど、現地で応援してくれているメンバー外の選手や、神奈川に残って応援してくれている人たちがいる中で走れない理由はないというか、その人たちの思いを背負ったら、いくらでも頑張れるし、走れるし、と感じていた」。10番を背負う責任感も足を動かした。

 だが、本人としては悔しい敗戦。「自分にボールを出して欲しいということは普段チームメートに伝えているので、ボールを集めてくれる中で今日は1点しか決められなかったので、そこは責任を凄く感じているので突き詰めていきたい」と成長を誓う。

 鈴木勝大監督も「同点ゴールは奪いましたけれども、10番はあそこでもう一段階ギアを上げて3点目を奪えるようなプレーをアシストでも。それは彼のこれからの課題ですし、存在価値を証明する一番のポイントになるかなと思います」と指摘。そして、もう一人の注目MF齋藤とともに「もっと突き抜けるアタッカーに成長して欲しい」と求めていた。

 松田はこの日、高い位置で上手くボールを引き出せなかったことを反省。また、後半にドリブルシュートをブロックされたシーンがあり、「あそこでまたフェイントを入れていたらという考えも生まれてきたので良い経験になった」。突き抜けたアタッカーになるために、学んだ90分間。注目レフティーはこの敗戦を糧に成長を遂げ、選手権で圧倒的な活躍をしてのける。
 
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2023
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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