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[総体]「名門の意地」3本柱欠く静岡学園、滝川二の冬夏連覇の夢砕く

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平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技(秋田)
[7・29 全国高校総体2回戦 静岡学園1-1(PK4-2)滝川二 仁賀保グリーンフィールド]

 静学が選手権優勝校突破! 平成23年度全国高校総合体育大会「2011熱戦再来 北東北総体」サッカー競技は29日、2回戦を行い、1月の全国高校選手権で優勝した滝川二(兵庫)と静岡の名門・静岡学園が激突。1-1で突入したPK戦を4-2で制した静岡学園が、海星(長崎)と戦う3回戦へ駒を進めた。
 
「3人がいないから負けたと言われたくなかった。勝って、昨年のベスト16越えという目標に近づけたのはうれしい」。DFリーダーのCB木本恭生(3年)が素直に思いを口にしていたが、U-17日本代表の“トリックスター”MF長谷川竜也、超攻撃的SB伊東幸敏主将、そして高校屈指のボランチMF秋山一輝(いずれも3年)の3本柱が負傷で登録メンバー外の静岡学園が、滝川二の冬夏連覇に待ったをかけた。

 試合の主導権を握っていたのは間違いなく滝川二の方だった。静岡学園の攻撃から守備への切り替えの遅さを突いてオープンスペースへボールを運ぶと、FW札場健太やMF恵龍太郎らの個人技や左SB平田雄己(全て3年)のオーバーラップなど局面に人数をかけた攻撃で静岡学園のディフェンスに穴を開けた。そして14分、2年生MF高畑智也の好パスから札場が個人技で左サイドを攻略。対面したDFをかわしてPAへ侵入するとそのまま先制の右足シュートをゴールへ流し込んだ。

 滝川二は相手DFのスーパークリアに阻まれたものの、20分にもMF筒井亮磨(3年)がゴール前で決定機を迎える。一方の静岡学園は攻撃で違いを生み出す高校トップレベルの3人を欠いていたが、それでも相手の逆を取るテクニックと狭いスペースへ難なくボールを通す精度はさすが。そして24分には右サイドでFW山本真也(3年)、SB手塚朋克(1年)とつなぐと最後はマーカーを外したFW野田侑成(3年)が右足で同点ゴール。試合を振り出しに戻した。

 攻守の切り替えのスピードで滝川二が相手を上回っていたこと、また静岡学園の攻撃が相手ゴール前で必ずスローダウンしていたことによって、CB亀岡淳平(3年)ら守備陣が脅威を感じることなく守っていた滝川二へ試合の流れは傾いていた。ただ、滝川二は後半19分にゴール前のこぼれ球に走りこんだMF槙島隆介(3年)の右足シュートが相手DFのスーパークリアに再び阻まれ、33分に左クロスのこぼれ球を拾ったCB後藤尚仁(3年)がゴール至近距離から放った左足シュートが枠を超えるなど決めきることができない。

 静岡学園もバイタルエリアではU-17日本代表候補MF渡辺隼(2年)を中心にパス、ドリブルを自在に繰り出していたが、相手最終ラインを破る決定打を出すことができない。試合は1-1のまま前後半の計70分間を終え、3回戦への切符を得る権利はPK戦に委ねられた。

 ここで大仕事をしてのけたのが静岡学園の守護神、福島春樹(3年)だった。先攻・滝川二の一人目、槙島のシュートを右へ跳んでセーブすると、二人目の恵のシュートも左へ跳んでストップ。完全に優位に立った静岡学園は渡辺、木本、MF柴田則幸(2年)と3人連続で成功すると、4人目のMF望月大知(2年)が右足で確実にゴールへと沈めて熱戦に決着をつけた。

 ピッチにうずくまって涙する選手もいた滝川二。その一方で喜びを爆発した静岡学園の福島は「(欠場中の)アイツら3人にもサポートしてもらっている。戦っている選手含めて全員の勝利」と主力欠場という逆境を越えてつかんだ選手権王者からの白星に胸を張った。そして川口修監督は「相手はチャンピオン。経験のあるチームに競り勝てた。どれくらいできるかと思っていたけれど、想像以上。びっくりしています。彼らがまた1試合経験を積むことができるのは本当に大きい」。抜擢されている2人の1年生の健闘を含め、名門の意地を見せた静岡学園。「チームに欠かせない」と言われてきた存在の3人がいなくても、まだまだできるところを結果で示す。

(取材・文 吉田太郎)

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