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「強い」専修大が4発で首位固め!J注目MF長澤不在も明治大に快勝:関東1部

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[9.11 関東大学リーグ1部第11節 専修大4-1明治大 西が丘]

 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部でリーグ3連覇を狙う首位・専修大は、11日の第11節で明治大と対戦。FW前澤甲気(3年=清水商高)の先制ゴールと得点ランキング首位の全日本大学選抜FW仲川輝人(3年=川崎F U-18)の2発などによって4-1で快勝した。

 ダブルエースの一角、J数クラブが注目する全日本大学選抜MF長澤和輝主将(4年=八千代高)が教育実習中のために不在。ただ柱を欠いても専大は強かった。同じく長澤不在だった前節は2位・早稲田大との直接対決を2-1で勝利。この日も優勝争いのライバル、明大をねじ伏せた。先発唯一の4年生、全日本大学選抜MF下田北斗(4年=大清水高)が攻守両面でチームをリードし、ダブルエースのもう一角を担う仲川と全日本大学選抜SB北爪健吾(3年=前橋育英高)の右サイドが個で違いをつくり出す。そして源平貴久監督が「ちょっと自覚が出てきて頑張っているかなと思う。球際のところもこれまでは負けて当たり前という感じで入っていたんですけど、ここ2試合では『勝ってやろう』というのがプレーから見える。長澤がいなくて『自分が頑張らなければいけない』という姿勢が出ている」というMF星野有亮(3年=静岡学園高)が中盤で存在感を発揮すると、長澤の代役を務めるMF北出雄星(2年=三菱養和SCユース)も技術を駆使して健闘。そして前澤が先制ゴールと、長澤不在の中、それぞれが意識を高め、役割をしっかりと果たしてV争いのライバルを撃破した。

 専大は前半8分、右サイドから北爪が豪快なオーバーラップ。スピードに乗ったドリブルで一気にゴールへ迫ると右足シュートを放ち、こぼれ球に反応した星野の右足シュートがゴール左ポストをかすめる。10分には左スローインのこぼれ球をつなぎ、北爪の右足シュートがクロスバーをヒット。21分にも相手のクリアミスを拾った前澤が右足シュートへ持ち込んだ。そして30分だ。右サイドで仲川を軸としたコンビネーションから星野、FW東大樹(3年=成立学園高)とつなぎ、最後は前澤が左足シュートを決めて先制する。さらに36分には右スローインがPAへこぼれたところへ飛び込んだ北出が右足シュート。これはGKに阻まれたが、こぼれ球を拾った仲川が冷静にゴールへ押し込んで2-0と突き放した。

「(長澤)和輝クンがいない中でもPA付近の崩しというか細かいつなぎで最後フィニッシュまで行けている。自分の1点目もそうですけれどその後、自分や他の人がシュート打ったあとの反応もできている。準備の部分で相手よりも一歩、二歩早くすることを心がけている」と仲川。長澤不在のなかでも専大のパスワークの精度や得点力の高さは変わらなかった。

 今夏の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準優勝の明大は非常にコンパクトな陣形。最終ラインをかなり高く設定し、背後のスペースはGK三浦龍輝(3年=F東京U-18)がPAから飛び出してカバーした。また1年生CB小出悠太(市立船橋高)が対人プレーで再三好守を見せ、左サイドではジュビロ磐田内定の全日本大学選抜SB小川大貴(4年=磐田ユース)が相手エース仲川と激しいマッチアップ。そしてロングボールも交えた攻撃でPAまでボールを運んだが、ゴールを奪うことができない。

 後半開始直後も中盤でアグレッシブなプレーを見せるMF差波優人(2年=青森山田高)を軸に攻めたが、差波が「総理大臣杯ではボクたちのサッカースタイルを思う存分に出せていた。自分たちのサッカーをやれば、相手関係なしに勝てる自信もあった。でも大臣杯よりもこっちのリーグ戦の方がレベルが高い。いつもだったらガツガツ行けるところを(専大は)1タッチ、2タッチで叩いてくる。専修はそういうところが巧いので距離を離すと(個人で)仕掛けてくるし、プレスが強すぎるとワンツーで振り回してきたり、頭のいい感じのサッカーをする。行こうと思っても次にカウンターを食らった時のことを考えてしまって行ききれなかった」と話し、小出が「球際や切り替えの部分で上回らなければいけなかった」と首を振ったように専大に局面局面で差をつけられてしまった。

 サイドで数的優位をつくらせない、狙い通りの守りで明大の反撃をかわした専大は後半28分、自陣右サイドからカウンター。前線でボールをおさめた北出が自陣から一気に駆け上がってきた仲川へスルーパスを通すと、仲川の折り返しを交代出場のFW佐野弘樹(2年=桐光学園高)が右足で決めて3-1と突き放す。直後の30分には右中間で下田のスルーパスを引き出した仲川がGKとの1対1を制して右足シュートをゴールへ流し込む。終盤は吹っ切れたように攻めた明大が猛攻。試合終了間際の44分にはFW和泉竜司(2年=市立船橋高)の左足シュートのこぼれ球を交代出場のMF秦和広(4年=広島皆実高)が右足でゴールへ押し込んで1点を返す。だが反撃はこの1点のみに終わり、専大が勝ち点3を加えた。

 専大は2年時に主軸として関東リーグ1部と全日本大学選手権の2冠を経験した長澤、下田が最上級生となり、3年生の北爪、仲川も大学サッカー界を代表する存在になってきている。この日で前半戦11試合が終了したが、総得点35は順天堂大に15点差をつけてダントツトップの破壊力。勝ち点でも2位・早大と勝ち点5差で、3位・桐蔭横浜大との勝ち点差はすでに11へと開いている。優勝争いを独走しているが、それでも目標のひとつとしていた夏の総理大臣杯と天皇杯では全国舞台に立つことができなかった。源平監督は「総理大臣杯(予選)は1人退場になって10人でダメになって、天皇杯は中2人で連戦のところでボクらスタッフがコンディションづくりを間違えてしまった。チームとしてのミスによって選手たちのステージアップにつなげられなかった。そういうところを反省しつつ、選手たちみんなが感じ取ってくれて11分の1で頑張らなければいけない、と。長澤と下田だけに頼っていられないと3年生以下がよく頑張っているというのが正直なところですね」と目を細める。目標を果たせなかった夏からしっかりと切り替えてリーグ戦を再開させた王者。長澤不在の中で源平監督が「2勝はできない覚悟をしていた」という早大、明大戦を2連勝して首位固めに成功した専大は次節、復帰予定の長澤とともに国士舘大戦を戦う。

(取材・文 吉田太郎)
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