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「大波乱を起こしたい」1部初昇格の桐蔭横浜大がインカレ出場へ貴重な勝ち点3獲得!

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[10.12 関東大学リーグ1部第16節 桐蔭横浜大2-1順天堂大 RKUフットボールフィールド]

 JR東日本カップ2013 第87回関東大学サッカーリーグ戦1部は12日、第16節1日目の4試合を行い、6位・桐蔭横浜大と9位・順天堂大との一戦は後半アディショナルタイムにMF山崎将(3年=浜松開誠館高)が決めた決勝PKによって桐蔭大が2-1で勝った。

 初挑戦となる関東1部で一時3位へ浮上するなど存在感ある戦いを見せている桐蔭大が、連敗を3でストップした。自陣からのポゼッションにMF字羽井アハマド(1年=関東一高)やMF山根視来(2年=ウィザス高)の馬力のある突破、そして縦・横へのミドルパスを織り交ぜて攻める桐蔭大は前半23分、FW今関耕平(1年=千葉U-18)が右中間で獲得したFKをMF大野誠(3年=甲府U-18)が左足でニアサイドのゴール右上隅へ沈めて先制する。

 一方、全日本大学選抜のMF天野純(4年=横浜FMユース)中心にサイドから攻める順大はPA付近での球離れが速く、ボランチのMF岡崎孝幸(4年=鹿島ユース)がシュートシーンに絡んでくる。23分に右サイドからの折り返しに反応した岡崎の右足シュートがゴール左ポストを直撃。また43分には天野のスルーパスにMF和田直己(4年=静岡学園高)が反応するが、必死に戻った桐蔭大の左SB長谷澪杜(2年=関東一高)のスーパークリアに決定機を阻まれてしまう。

 だが桐蔭大も24分にMF大泉和也(4年=横浜FCユース)の折り返しに今関が反応し、30分には山崎の絶妙な落としから字羽井が右足を振りぬくが、いずれもシュートが枠を外れて突き放すことができない。その中で順大は勘のいいインターセプトから攻撃参加するCB宮本和輝(2年=横浜FMユース)をはじめ、好守から局面でのスピーディーな攻撃で流れを引き寄せていく。ただ、後半開始直後にはFW原田開(4年=磐田ユース)の決定的な右足シュートがゴールマウスからわずかに外れ、16分にも天野のパスから抜け出した和田の左足シュートが右ポストを叩いた。シュート精度を欠いたこと、またGK島崎恭平(4年=流通経済大柏高)の好セーブや最終ラインで危険を消すCB福島翔太郎(2年=関東一高)ら桐蔭大の好守にあい、技術高くボールをおさめる山崎らに攻め返されるなど0-1の時間帯が続いた。

 順大は33分にもカウンターからMF井村雄大(4年=横河武蔵野FCユース)の好パスで抜け出したFW岡庭和輝(4年=千葉U-18)が決定機を迎えたが、これもシュートが枠を捉えず。それでも36分、相手DFの横パスをインターセプトした和田がPAへ切れ込み、GKを引きつけてから右横の天野へパス。これを天野が左足で決めて1-1とした。

 一気に勝ち越しを狙う順大は相手のミスにつけこみ決定機を作り出す。だが43分にインターセプトからPAへ侵入した原田の右足シュートは島崎がビッグセーブ。押し込まれながらも1失点で切り抜けた桐蔭大は逆に後半47分、交代出場のFW佐々木俊輝(1年=厚木北高)が縦パスに反応し、PAで相手GKに倒されてPKを獲得する。重圧のかかるこのPKを「誰も蹴らないならば、自分が蹴りたいと思っていた。蹴るコースは毎回先に決めている。今回も決めて蹴りました。入って良かったです」というキッカーの山崎が左足でゴール右隅へねじ込んで2-1で競り勝った。桐蔭大の八城修監督は「内容については全く満足していません。でも順天堂大学さんは伝統ある大学。(そのチームに勝つことは)ウチとしては通らないといけないものですから、チームの歴史にとっては良かったと思います」と伝統校からの勝利を静かに喜んだ。

 桐蔭大は開幕戦で王者・専修大に2-6で完敗するなど、初挑戦の1部は連敗スタート。島崎は「あれがあったから今がある。最初うまく行かなかったので試行錯誤して、毎日練習内容から個人の意識まで『全部変えよう』と言って、前にはなかった喧嘩みたいな言い合いもあった」という。そこから順位を引き上げていったが、4-1-4-1から4-2-3-1へのシステムの変更に選手たちが戸惑い、また「周りも勝てなくて自分たちが3位になってしまって、気持ちが浮ついてしまった。前期は『桐蔭大が落ちる』とみんな思っていて、自分たちも必死の状態でやっていた。後がない状況で力を使い果たしていたんですけど、3位になって安心感が生まれてしまった」と島崎が説明したように選手たちに甘さが出てしまっていた。

 ただ、1部で自分たちの歴史を築いていくこと、そしてインカレ出場へ向けて再び団結し、危機感を持って戦う中で大きな勝ち点3を獲得。試合後、八城監督は続いて行われていた専修大対流通経済大戦に目をやりながら「(リーグ2連覇中の)専修さんはこの3年間でとても研ぎ澄まされた集団になっているし、(総理大臣杯優勝の)流経さんも苦しい時期を乗り越えてきている」とチームの歴史で前を行く“目標”に近づいていくことを口にしていた。山崎は「終盤戦全部勝って残留ではなくてインカレに出ること。自分も得点に絡むプレーをしていきたい」。リーグ戦で5位以内に入れば、全日本大学選手権への出場権を自動で獲得することができる。現在6位でプレーオフ圏内の桐蔭大は「大波乱を起こしたい」(島崎)とひとつでも順位を上げ、1部にしっかりと根を張ってリーグ戦を終える。

[写真]前半22分、桐蔭横浜大は大野が直接FKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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