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[関西1部]4-0勝利の阪南大、充実の試合内容も「ここから各々が強くならないと、全国では戦えない」

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[5.16 関西学生リーグ1部第8節 阪南大 4-0 桃山学院大 三木防災]

 第93回関西学生サッカーリーグ1部は16日に第8節を開催。三木総合防災公園陸上競技場で行われた第2試合の阪南大桃山学院大戦は、後半9分に生まれたMF有村惇志(4年=鹿児島城西高)の先制点を皮切りに4得点を奪った阪南大が大勝した。

 共に無敗を保つ上位対決は思わぬ大差がついた。序盤からボランチの松下佳貴(4年=松山工高)と重廣卓也(2年=広島皆実高)のユニバ代表コンビに関西学生選抜の脇坂泰斗(2年=川崎F U-18)を加えた中央の3人が中盤で数的優位を作った阪南大が試合の主導権を握ったが、昨年の対戦で1-9と大敗した経験から中盤にボランチタイプを並べて守備を固めた桃山大を崩し切れない。

 一方、前節の大阪学院大で3失点を喫した阪南大の守備は、「この1週間の意識を特に強くした。FW岡(佳樹)とセットプレーに気をつけるようにしていた」(須佐徹太郎監督)とGK大西将(4年=阪南大高)とDF甲斐健太郎(3年=立正大淞南高)を中心に集中力を保ち、無失点を続けた。スコアは動かなかったが、「焦りはなかった。自分たちのサッカーを続ければ勝てるだろうと思っていた」(重廣)。上々の試合運びだったが、相手との接触によりMF外山凌(3年=前橋育英高)が35分に肩を負傷。急きょ、有村を投入するアクシデントが発生し、前半を終えた。

 前半、シュート1本に終わった桃山大としても、「前半を0点に抑えて後半の45分で勝負をかければと思っていた」(楚輪博監督)と想定内の45分間。後半からMF中井涼太(3年=大体大浪商高)ら攻撃のカードを切って、攻めに出る準備を進めていたが、先手を奪ったのは阪南大だった。後半9分にPA正面でFKを獲得すると、キッカーは有村。左足キックが鋭く曲がり、ゴール右隅に突き刺さった。「(外山)凌が怪我した時点で、三田陽介(3年=帝京長岡高)と有村で悩んだけど、今日の展開ならちょこまかした動きで相手をかき回す三田よりも、左足の一発がある有村かなと思った」という須佐監督の采配が当たった阪南大は、この1点を機に猛攻を開始。21分にはPA中央の松下からのパスをFW前田央樹(3年=福岡U-18)が決めて2点目を奪うと、33分にも脇坂のパスからMF八久保颯(4年=秀岳館高)が右サイドを突破。ゴール前に入ったボールを前田が流し込みダメ押し点を奪った。「いつもは力が入って硬くなっていたけど、今日は『決められるなー』という感じがあってリラックスできていた」と振り返る前田は39分にも脇坂の右CKを頭で叩き込んでハットトリックを達成。終わってみれば、4-0というスコアで試合を終えた。

 スコア以上に目を惹くのは試合内容の充実ぶり。前節の大阪学院大戦は引き分けに終わり、開幕から続いた連勝がストップしたが、課題だった守備をきっちり修正し、勝ち点3を獲得。また、ストライカー不在という今季の悩みも「中盤は凄い選手ばかり、レベルが僕とは違う。自分の動きが良ければシュートが増えると思うので、どうにかパスを受けようと必死について行っている」と話す前田が結果を残した。これまでIリーグでの出番が続いた4回生・有村のリーグ初得点もチームの一体感を生む好材料と言える。

 順風なように見えるが、「結果は出ているけど、隙だらけ。点が獲れているから良いものの、分析すれば失点してもおかしく場面がいくつもある。個人やポジションごとに課題があるので、修正すべき点は多い」(重廣)。力のある選手は多く、目指すスタイルが完成すれば頂点を奪える自信もあるが、「そのためには個人の意識が大事。いくら周りが言っても、自身が動かないといけない。ここから各々が強くならないと、全国では戦えない」と重廣は続ける。個の成長をチーム力に変え、更なる高みに近づけるか、阪南の今後からも目が離せない。

[写真]チームの2点目を決めたFW前田をMF松下が祝福

(取材・文 森田将義)
●第93回関西学生1部L特集

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