beacon

[デンチャレ]自分への要求高め、京都でさらなる進化。強力FW木村勇大は大学サッカーからパリ五輪へ

このエントリーをはてなブックマークに追加

関西選抜のキャプテン、FW木村勇大(関西学院大3年)はパリ五輪代表入りを狙う強力ストライカー

[3.10 デンチャレGL第2節 関西選抜 2-0 九州選抜 Jヴィレッジ]

 大学サッカーからパリ五輪へ――。スケール感大のストライカーがデンソーカップチャレンジで存在感を示している。FW木村勇大(関西学院大3年=大阪桐蔭高)は昨年10月に23年シーズンからの京都加入内定。今年は2月19日に行われた浦和とのJ1開幕戦で公式戦デビューし、同23日のルヴァンカップ・柏戦で初ゴールをマークしている注目ストライカーだ。

 登録184cm、78kgの身体はピッチで明らかに目立つ。この日、関西選抜のキャプテンマークを巻いて九州選抜戦に先発出場した木村は、PAでの力強い仕掛けや、スピードに乗った抜け出し、ラストパスで決定機を演出。シュートこそゼロに終わったものの、フィジカル能力の高さを活かした競り合いなどJ1内定、プロデビューした選手に相応しい動きを見せた。

「自分はJリーグに出ているということで大学生に止められたらダメですし、関西は今年絶対に優勝しようと高い意識を持ってやっている。自分はキャプテンとしてチームを引っ張ろうという思いが強かったので、プレーに出せた部分は多かったと思います」。プロを知り、数字の重みを実感しているだけに満足感はない。注目される中でしっかりと結果を残すことを求めていく。

 木村は大阪桐蔭高2年時に全国高校選手権出場。関西学院大では1年時にから公式戦出場のチャンスを得て関西大学選抜、2年時には全日本大学選抜と順調に階段を上ってきている印象だ。だが、本人は「全然上手く行っていなかった」と振り返る。

「去年も最初らへんは関学でも試合に出してもらえなかったり。絶対に出れるのに何で出れへんのやろ、とか……。いつも葛藤があって、そういう葛藤と戦う中で京都が声を掛けてくれて、自分の中で課題をしっかり見つめて、一個一個潰していって、やっと自分の感触的にも、外からの評価も、自分の中でやっと順調になってきました」

 自分を変化させたのは、昨夏から秋に掛けての時期。プロの選手とプレーする中で、できる部分とできない部分が明確に分かったという。「大学で何かができたら満足している弱い自分がいて、というのに凄く気づけて」意識変化。自分に求める基準をプロで活躍するための基準に変えた。そして、京都での日々が成長を加速。競り合いで先にDFに身体を当てることや、ボールの置きどころなどの駆け引き、細かな技術の部分から進化させている。

 木村は01年の早生まれで、24年パリ五輪世代に当たる。先日、大岩剛監督率いるU-21日本代表が本格始動。木村はこれまで年代別日本代表に選ばれた経歴がないが、本気でパリ五輪出場を目指している。今回のデンソーカップチャレンジにはそのコーチングスタッフも来場。木村にとっては、優勝と個人のアピールも目指す大会だ。

「早生まれでちょうどパリの世代と被るので、そこはずっと意識していましたし、実際Jの舞台で点を決めて余計身近なものに感じたので、ここに視察に来るという情報も入ってきていたので、関西を優勝させてチームとして関東とか、そういうところを上回るというのはもちろんですけれども、自分のモチベーションは一番そこにあるので意識しています」

 11日のグループリーグ最終戦では、前回王者で同じくJ内定選手の名が並ぶ関東選抜Aと激突。「どういう相手にもFWが1点取ったらFWの勝ち」というFWメンタリティーの持ち主は、「CBにもプロ決まっている選手がいますし、それもJ1に決まっている選手がいる。そういうところに負けていたら関西も弱いとなりますし、(自分もプロで)点を決めて注目されているけれど大したことないやんとなりますし、そういうところでチームとしてもですけれども、個人としても負けたくない」。京都のチョウ・キジェ監督から求められているのは、大学サッカーを引っ張る存在になること。大学屈指のストライカーは、強敵からゴールを決め、チームを勝たせてパリ五輪への新たな一歩を踏み出す。
 
(取材・文 吉田太郎)
●第36回デンソーカップチャレンジサッカー福島大会特集

TOP