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[MOM802]早稲田大MF西堂久俊(4年)_苦しみ抜いたFC東京内定アタッカーが超絶弾で初勝利もたらす

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西堂が左足を一閃!早稲田大に今季初勝利をもたらした

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.11 関東大学L1部第9節 早稲田大3-1順天堂大 味フィ西]

 苦しみの中で掴んだ勝ち点3に指揮官も思わず声を震わせた。「当然ここからですが、積み上げるチームになろうと言ってきて、そこに直向きに向き合ってきた結果だと思います。これからも熱量が軽くならないようにしていきたい」(外池大亮監督)。早稲田大が開幕8戦目にしてようやく今季初勝利を飾った。

 立役者となったのは、開幕から苦しんでいた背番号11だった。MF西堂久俊(4年=市立船橋高)は昨年10月に23シーズンのFC東京への入団内定を発表。大学サッカー界でひと際目立った結果を残すことが求められていた。

 しかし最終学年を迎えた今季は、開幕からなかなか結果を残せずにいた。3戦目以降はベンチスタートとなることも多く、脳震盪で離脱するアクシデントにも見舞われた。その間チームもリーグで唯一となる開幕から8戦未勝利。「言ってしまえば最悪の状態」。負のスパイラルに陥っていた。

 そんな中でチーム内では西堂に自ら殻を破ることを求めた。「迷いや不安があるんじゃないか」。今週に入ってスタッフやチームメイトがためらわず、西堂を問いただした。浮上のためには、西堂の力は必要不可欠。誰もが感じていたからこその叱咤だった。

「今週の頭くらいから初心に帰るというか、楽しんでやろうと個人的に意識してきた。迷いや不安があるんじゃないかと言われたけど、僕も感じていたことだった。それをしっかり一週間で改善できたと思います」

 迎えた11日の順天堂大戦。この日もベンチからのスタートになっていたが、出番は同点の後半28分からだった。そして同37分、右サイドでボールを受けた西堂は、強引にエリア内に侵入。相手にひっかかったが、抜け出して左足を一閃。スーパーゴールを左隅に突き刺してみせた。

「混戦でこぼれたけど、打つ直前に人がいるなと思った。前だったら振っていなかった。でも今週取り組んできた思い切りの良さが集約された。敵がいても打つことが大事だなと思いました」

 この勝利をいかに次に繋げることが出来るかが重要になってくる。西堂も「冷静にここからだなという思いになっています」と気を引き締める。前期は15日の桐蔭横浜大戦と18日の法政大戦を残すのみ。序盤の苦しみを財産に。いい形で締めくくり、夏場の戦いに向けた勢いをつける。

(取材・文 児玉幸洋)
●第96回関東大学L特集

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