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[関西選手権]「大学で活躍することで恩返し」“コロナ禍の苦悩”直撃した立正大淞南出身、びわこ大DF藤井嵐が全国決める鮮やか弾

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DF藤井嵐

[7.9 関西選手権準々決勝 びわこ大2-0大産大]

 鮮やかなゴールを突き刺した。序盤からボールを保持して試合を進めていたびわこ成蹊スポーツ大は前半31分、右サイドでMF高見柊真(4年=大津高)からパスを受けたDF藤井嵐(2年=立正大淞南高)がカットインから左足を一閃。シュートはゴール右隅に突き刺さった。

 大学に来ての公式戦初ゴールが、チームを全国大会出場に導く価値のある得点になった。「あそこまで入り込めば、シュートという形は見えていたので、それがいいコースに行って良かった」。普段はアシストに意識を向けることが多いと話す右SBは、「まさか得点できるとは思っていなかった。嬉しかったです」と笑顔を弾けさせた。

 高校時代に乗り越えた苦しみが、サッカーを続ける原動力になっている。コロナ禍に見舞われた高校3年生の時、在学した立正大淞南は大規模なクラスターを経験。世間が過敏になっていた時期で、SNS上ではデマを含めた様々な情報が飛び交い、マスコミにも大きく報道された。

 それでも「いろんな人に助けてもらった」ことは、脳裏に深く刻まれているという。全国各地から励ましのメッセージが多く届いたという記憶だ。関西リーグで得点ランキング2位の数字を残す大阪体育大FW古山兼悟らもそう。「大学で淞南生が活躍することで恩返しになると思う」と今後も常に感謝の気持ちを忘れずにサッカーと向き合っていくつもりだ。

 大学に来てからプレースタイルにも変化が出た。右利きだが両足が使え、複数ポジションをこなしてきた器用なタイプだが、入学後にCBから右SBに転向。高校時代も左SBの経験はあったが、右でプレーするのは初めてだった。ただ年末のインカレでも先発するなど、持ち前のサッカーセンスで対応。自信があるという1対1の対応に加え、クロスの精度も日に日に増している。

 イメージを重ねるのは、高校、大学の先輩になるDF松田陸(C大阪)だ。年齢では11歳年上になる先輩で、直接的な繋がりはないというが、コーチらに「自分からどんな感じだったのかは聞くようにしている」という。「言われるのはクロスがえぐかったということ。何か武器がないとプロになるのは難しいと思うので、1対1であったり、クロスを極めて、プロを目指したい」。目標を明確に、絶対的な武器を身につける。

(取材・文 児玉幸洋)
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