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[関東3部]名門復活の旗手に…慶應義塾大の注目1年生FW塩貝健人「30点は最低でも取りたい」

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慶應義塾大のFW塩貝健人(1年)

[5.14 関東大学L3部第5節 慶應義塾大1-1平成国際大 慶大G]

 劇的な決勝弾が決まったかと思われたが、幻に終わった。1-1の後半アディショナルタイム3分、慶應義塾大は主将MF山本献(4年=國學院久我山高)が右サイドから放ったシュートのこぼれ球をFW塩貝健人(1年=國學院久我山高)が押し込んでゴールネットを揺らす。しかし無情にも副審の旗が上がり、オフサイドで得点は認められなかった。

 開幕2連勝でスタートした慶大だが、これで3戦目で初黒星を喫して以降、3戦勝ちなしとなった。試合終了の笛が鳴ると、ユニフォームの裾を捲りあげて顔を覆い、悔しさをあらわにした1年生ストライカーは、「最悪でした。点も取れなかったので」と言葉少なに振り返るのが精いっぱいだった。

 鳴り物入りでの入学になっている。國學院久我山高の10番として高校選手権ベスト16に導いた塩貝健は、日本高校選抜にも選出。デュッセルドルフ国際ユース大会では5得点を決めて、得点王に輝いた。同大会出場のために大学リーグデビューは第3節までずれ込んだが、3戦連続で先発出場。前節の東京農業大戦では2ゴールを決めるなど、期待に応える活躍をみせている。

 ただ自身がデビューして以降、チームは2分1敗。それまで2連勝だったこともあり、不甲斐なさを痛感している。「3試合勝ちがないというのはあり得ない」。しかし下を向いてばかりもいられない。「欧州遠征で点が取れて、ここで取れなかったら意味がない。点の取り方が課題。最近全然ダメだけど、腐らずやっていけば結果が出ると思って頑張っていきたいです」と顔を上げる。

 この日の会場にはJリーグスカウトの姿もあった。すでに注目選手であることに変わりはないが、塩貝健自身はプロサッカー選手になる道だけでなく、勉強も両立することで、4年間で自分の進むべき道が何かを見定めていくつもりでいる。「プロから声がかかっても行かないかもしれない。どちらが自分にとっての成功なのか、サッカーも勉強も頑張って、4年間でしっかりと判断して、その先の道に進みたいと思います」。

 一昨年まで1部で戦っていた慶大だが、2年連続で降格の憂き目に遭い、今季は新設された3部リーグを戦っている。1年でも早くチームを上位リーグへと昇格させることも、使命として感じている。今季の目標は大きく30得点。「30点は最低でも取りたい。毎試合2点取れば行けるので」と平然と言ってのける姿にストライカーらしさを感じさせる。

 入学したばかりということもあるが、周囲とのコンビネーションには改善の余地があるという。ただそれもすべて伸びしろ。山本主将が「彼の力は大きいと思うけど、周りを使って欲しいタイミングもあるので声をかけていきたい」と話したように、この日は左MFで先発した実兄のMF塩貝亮太(4年=暁星高)ら上級生との連携を深めることができれば、30得点も非現実的な数字ではなくなるはずだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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