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[MOM881]関西学院大DF濃野公人(4年)_鹿島との仮契約当日に肉離れ…内定後初実戦で大仕事

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[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[7.2 関西選手権準々決勝 関学大2-1(延長) 同大 ヤンマー]

 ピッチ内の空気が主将の登場によって、一瞬にして変わった。1-1で決着がつかないまま迎えた延長前半7分、関西学院大はベンチスタートとなっていた主将DF濃野公人(4年=大津高/鹿島内定)を投入。するとファーストプレーでCKを頭で合わせてチャンスに絡むと、その流れで獲得した右CKのこぼれ球に反応。すぐに歓喜の輪が作られると、濃野は感情を爆発させた。

「僕が決めるとか、アシストすると言うよりも、チームがいかに勝つかを考えてピッチに入りました。結果自分の得点で勝たせることが出来たので、パーフェクトな出来なのかなと思います。ここ数年、関学は夏に弱いとか、トーナメントに弱いとか言われてきて、僕の中では最後のチャンスだったので、何が何でも全国の切符を取る、この試合を決定づける仕事をしたいと思って入ったので、それが叶ってよかったです」

 6月9日に鹿島アントラーズへの入団内定を発表した濃野だが、実は同日午前の練習で左足の内転筋肉離れを発症してしまっていた。「午後の仮契約には足を引きずりながら行きました」。全治は約1か月が見込まれた。

 当然、2日後に行った関西大との伝統の一戦“関関戦”は欠場を余儀なくされた。「大事な試合を前に怪我をしてしまって、責任を感じていた」。全国がかかる試合には出たい。幸い、足の状態も快方に向かったことで、監督やトレーナーに相談して無理を許してもらったという。

 そして最も重要な関西選手権の準々決勝で復帰を果たすと、出場からわずか1分で決勝点を奪ってみせた。「これはもうやるしかないなと思ったいた。こういう形で恩返しできて良かったなと思います」。今後はまたしばらくリハビリに専念することになりそうだが、9月の本大会である総理大臣杯には万全の状態で臨むつもりだ。

 キャプテンとして全国大会へ。大津高時代もキャプテンを務めた濃野だが、インターハイでは初戦の2回戦で青森山田高に0-1で惜敗。冬の高校選手権は県大会決勝で敗れて全国行きを逃した。主将としてチームをけん引して、全国で結果を残す。学生ラストイヤーにかける思いは強いものを持っている。

「日本一を目指せる実力はあると思っている。あとはいかに緊迫した状況で力を発揮できるか。チーム一丸となって目安を統一できるかにかかっていると思う。この夏もう一回り成長したい。みんなの前でも言ったんですけど、今日の勝ちは素晴らしいことだけど、ここで止まる組織じゃないよね、と。再確認したので、あと2つ勝つんだぞ(関西選手権を優勝する)ということを言い続けたいなと思います」

(取材・文 児玉幸洋)
●第101回関西学生L特集

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