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[MOM913]関西大FW百田真登(4年)_目の前の優勝決定を阻止、優勝へ望みを繋ぐAT弾、関大初の20得点で得点王へ前進

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劇的弾で優勝への望みを繋いだFW百田真登

[大学サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.5 第101回 関西学生サッカーリーグ後期第10節 京都産業大1-1関西大 大阪体育大学人工芝サッカー場]

 近年稀にみる混戦の優勝争いとなっている関西学生リーグ。首位に立つ京都産業大と勝ち点3差の2位で追う関西大との天王山は激闘となった。序盤は互いに慎重な試合運びを見せたが、京産大は前半29分にCKの混戦からDF西村翔(4年=G大阪ユース)が押し込み、初優勝へ向けての大きなリードを奪う。

 しかし、後半になると関西大が一気に攻勢を強める。MF堤奏一郎(4年=関大一高)、DF吉本武(4年=日大藤沢高)らを投入し、両サイドから質の高いクロスでゴールへと迫るが、京産大も全員が身体を張ってこれを阻止。アディショナルタイムのCKにはGK山田和季(2年=近江高)も攻撃参加し、勝利への執念を見せるが得点ならなかったが、京産大が優勝を掴むかと思われた後半アディショナルタイム5分、関大のエースFW百田真登(4年=関大一高/奈良内定)が、その望みを打ち砕く。ゴール前でバウンドした吉本からのロングパスをうまく合わせて決め切り、優勝の行方は最終節へと持ち越された。

「吉本が持った瞬間に、あいつなら上げてくれると信じて走りこみました。そこにいいボールをくれたんで、あとは気持ちで押し込むことができました」と得点を振り返る百田だが、「チームとして苦しい状態でしたけど、応援含めてすごい勢いを感じてた。自分たちの力を出し切れば逆転できる。それを信じて走ろうと話していたけど、逆転できなかったのは自分を含めて力不足」と悔しさも口にした。

 関大が2006年以来のリーグ優勝を掴み取るには、他力も必要となる。それでも「自分たちができることは、(最終節の11日に行う)同志社戦に勝ち切ってほかの結果を待つこと。まずはやれる結果をしっかりやれるように一週間いい準備したい」と切り替えて前を向く。

 百田たちの学年は入学直後「弱い代」と言われていた。その評価に全員が反骨心をもって競い合いながら取り組んできた結果が、この2年での関大の成績に結びついている。その姿勢は後輩たちに引き継がれており、リーグで思うように出場機会がつかめなくても、ひたむきに努力を重ねるチームメイトの存在を百田も感じているからこそ、「結果を出さないといけない」とエースとしての責務を果たすことを誓う。

 この日のゴールで得点ランキングのトップに立った。関大の選手でリーグ通算20得点をマークした選手は百田が初となる。スポーツ推薦で入学したわけではなく、併設校である関大一高出身の百田がその記録を作ったことは「意味のあることなんじゃないか」と胸を張る。得点王を争う関西学院大FW望月想空(4年=関西学院高/FC大阪内定)、FW古山兼悟(3年=立正大学淞南高/C大阪内定)の活躍も良い刺激になっているようだ。

 内定先の奈良クラブのサポーターからは、SNSを通して励ましの言葉も寄せられており、「タイトルを取ってくる選手っていうのを期待してくれてると思いますし、そういった方々の思いも背負って得点取りたい」。今をともに戦う仲間だけでなく、新天地で迎えてくれる人々のためにも、最終戦も結果を出して皆に歓喜をもたらしたいところだ。

(取材・文 蟹江恭代)
●第101回関西学生リーグ特集
蟹江恭代
Text by 蟹江恭代

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