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[関東2部]慶應義塾大FW塩貝健人「必要とされたところで結果を」横浜FMで初ゴールを決めた翌日は応援席で旗振り担当

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慶應義塾大の応援席で旗を振るFW塩貝健人

[4.14 関東大学L2部第2節 立正大2-2慶應義塾大 立正大G]

 前日13日の同時間帯に日産スタジアムで大歓声を浴びていた青年の姿は、大学リーグ戦を行っていたグラウンドの応援席にあった。「応援席での応援?2回目くらいですね」。FW塩貝健人(2年=国学院久我山高/横浜FM内定)は、慶應義塾大の応援列の最後尾でソッカー部の旗を振りながら、仲間に声援を送っていた。

 十分なインパクトを残す2試合になった。今年1月に大学1年生にして卒業後の横浜F・マリノス入団を内定させた塩貝は、今季は特別指定選手として登録。そして今月10日のG大阪戦で途中出場すると、ファーストプレーから観客を沸かせる鮮烈なJリーグデビューを飾った。

 さらに中2日で迎えた13日の湘南戦では初の先発出場を果たすと、前半21分にはMF水沼宏太の折り返しをワンタッチで合わせて先制点を記録。早くもマリノスサポーターの心をがっちりと掴むプレーをみせた。

 ただシーズン前は思うような結果を残すことができていなかった。U-20全日本大学選抜の一員として出場したデンソーカップチャレンジで無得点に終わるなど、塩貝自身も「シーズン前はあまりよくなかった」と振り返る。

 しかし先週末の6日、関東大学リーグ1部のオープニングゲームで筑波大のFW内野航太郎(2年=横浜FMユース)が決めた先制点を目の前で見て、湧き上がる思いを感じた。「だから明日は俺も内野以上に決めようと臨んでいた」。そして翌日の拓殖大戦でハットトリックを決めることになった。

 普段あまり他人のことを話そうとしない塩貝だが、内野に関しては珍しく意識を十分にしている。「デンソーで自分はあまりよくなかったけど、一緒にプレーしてあいつの実力、持っているものは凄いなと思わされた。いい刺激を貰っているので、ライバルとして高めあっていきたい」。内野が今回、パリ五輪を目指すU-23日本代表に選ばれたことも、「刺激になります」と気持ちをたぎらせる。

 気になる今後の活動だが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)メンバーには登録されていないことから、今週は大学の活動に戻ることになる。その後も基本的には今季よりソッカー部監督に就任した中町公祐監督とマリノスの強化部がコンタクトを取りながら、そして塩貝の意見も加味した上で決めていくことになるという。「必要とされたところで結果を出して、どっちでもチャンスはあると思うので、自分にできることをしっかりとやって、両方で結果を残したい」。

 中町監督も「大学では力は抜けている。驚きはないし、慣れてくればもっと良くなる」と塩貝の実力を認めた上で、「彼の成長曲線の中で何がベストか。その中で慶應も結果を残さないといけない。彼も慶應の一員なので、そこは考えながらやっていければと思います。僕も経験がありますが、プロになることがゴールじゃない。プロサッカー選手塩貝プラスアルファでやっていくためにというところだと思います」と言葉を選びながら慎重に話した。

 さらに2005年3月26日生まれの塩貝は、2028年開催のロサンゼルスオリンピック世代にもなる。主力として活動していくことは決定的で、今回横浜FMで得点を決めたことで、より引っ張りだこの生活を送ることになりそうだが、塩貝本人はあくまでも「自分は自分の与えられたところで結果を残したい」と強調する。「プレーもそうですけど、人間的にも成長したい」。まだ大学サッカーで学ぶことはある。慶大生・塩貝の挑戦はこれからも続く。


(取材・文 児玉幸洋)

●第98回関東大学リーグ特集
児玉幸洋
Text by 児玉幸洋

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