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[ケイスポ]慶大、右肩上がりのドロー

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[慶應スポーツ ゲキサカ版]
[5.3 関東大学1部第5節 慶應義塾大 1-1 法政大 平塚]

 慶應義塾大は3日、第84回関東大学サッカー1部リーグ第5節で法政大と対戦し、1-1で引き分け。6位から7位へ後退したが、後半はシステム変更により内容が向上し、今後に期待させるドローだった。

 『これが慶應だ』。中盤に人をかけ、サイドをえぐるパスサッカー。昨季と同じ4-5-1の布陣に戻して挑んだ後半、前半の劣勢が嘘のように荒鷲イレブンが躍動を始めた。

 法大のパターンにはまった前半。5分、FKの跳ね返りから法大FW深町健太(1年=東福岡高)に頭で押し込まれ先制点を許す。開始早々に失点をくらった慶大は、法大の3トップ+トップ下の4人にバイタルエリアの支配を許す苦しい展開で、前線からの守備がかみ合わない。3ボランチのポジショニングが定まらず、中央のMF大塚尚毅(3年=滝川二高)の脇を通される嫌な形が続く。しかし、どうにか2点目は阻止した慶大は後半に望みを繋ぐ。

 迎えた後半。システム変更に伴い2枚となったボランチが中盤の底を支える。また、1トップと両翼のかけるプレスがはまり出すと、後半23分にスコアが動いた。CB笠松亮太(3年=東京Vユース)の攻撃参加から右サイドの深澤良(4年=清水東高)がクロスを送ると、ボレーで合わせたのはMF河井陽介(3年=藤枝東高)。これはGKに跳ね返されるも、こぼれ球に途中出場のFW森田達見(2年=川崎F U-18)が詰めていた。

 その後慶大は攻勢を強めるが、追加点は奪えずドロー。ただ森田のリーグ初得点は、勝ち点1以上の重みがある同点ゴールとなった。3試合連続で勝利を逃したものの、イ・ウヨン監督が「良いところは何もない」と嘆いた前節から一転、笠松が「次へと繋がる」と評した引き分け。チームに光明をもたらしたという点で、結果以上に“価値のある”試合となった。

以下、試合後の慶大選手コメント

●DF三上佳貴主将(4年=藤枝東高)
―試合を振り返って
「前半に関しては運動量も少なくて前の試合の悪い流れをそのまま引きずってしまったかなという印象。後半に入ってどんどん前からプレスがかかるようになった。それによって後ろも押し上げられるようになって、セカンドボールも拾えるようになってだんだん自分たちのペースになった。今日の後半のような戦い方を忘れずに次もやりたい」

―後半から良くなった要因は?
「前半に関しては、FWからあまりプレスに行けなくて、それでロングボールも蹴られて裏も使われてっていう形。ロングボールを蹴られると思うと後ろも上げられないので、そういうなかでなかなかコンパクトができずに悪い流れになってしまった。後半に入ってからはそこの意識を統一したのでFWからどんどん行けるようになったところでリズムも良くなった」

―後半の選手交替の影響は?
「松下が頭から入ったが、セカンドボールを拾おうっていう意識があったのでそこは非常によく頑張ってくれたかなと」

―4-3-1-2システムよりも後半から変更した4-5-1の方がやりやすそうに見えたが?
「確かに後半は少しやりやすいっていうのはあったが、フォーメーションの問題以前に意識の問題だと思う。4-3-1-2でやっているときも上手くいっているときは上手くいってたんで。フォーメーションが全てではなくて意識の問題」

―前回の試合から修正できたところは?
「後半に関しては、まだ細かいミスはあって詰めなくてはいけないところも多いですけど。気持ちの部分、相手よりも絶対に走るんだって気持ちとか戦う気持ちとか、そういう面に関しては少し取り戻せたかなと思う」

―次節で勝ち点3取るためにも更に修正していく点は?
「ひとつは後半のような戦い方を立ち上がりからちゃんとやれるようにすることと、あとは細かいところ。どっちの足にパスを出すかとか、あと一歩右とか左とかのポジショニング、そういうところも詰めなくてはいけないと思う。そういうところをやっていけば次はもっといい試合になる」

●DF笠松亮太副将(3年=東京Vユース)
―試合を振り返って
「前半が、全然相手にプレスがかからなくて。立ち上がりの3、4分でセットプレーを決められてしまったところが本当に良くないところで、ただ後半プレスもかかるようになった。ある程度、自分たちでボールを保持できるようになったので、そこで1点返して引き分けで終われたことは次に繋がったかなと思います」

―2節ぶりの得点もありましたが、手ごたえは?
「前半は全然駄目だったんですけれど、後半に関しては自分たちがセカンドボールを拾えて、リズムを作って、サイドで起点になって決められたという部分ではひとつの手ごたえを感じています」

―後半からの4-5-1システムは?
「自分たちのやることが明確になって、プレスのかけ方が、うまくかけられるようになったので。そういった面ではやりやすかった部分はありました。相手がワイドに使ってきたところで、数的不利にならずに、サイドに2枚おけるので。SBにSHがプレスをかけられるという面では、やりやすかったのかなと思います」

―後半と前半、何を変えたことが違いにつながった?
「監督にも言われたんですが、球際のところでほとんど負けてしまっていて、ほとんど後手になってしまった。あとセカンドボールを拾えなかった。そこを、ボランチが2枚にすることで、誰が行くのかというところを明確にできた。それがあって運動量が上がったと思うので。後半は相手を押し込むことができたのかなと思います」

―次節にむけて
「後半は、自分たちが最低限やらないといけないことを体現することはできて、そこでもう1回、次に繋がったと思うので。拓殖大戦ではそれを勝ちにつなげられるように、チーム内でもう1度話し合っていきたいと思います」

―これを最低限とすると、さらに上げなきゃいけないのはどの部分?
「パスの質であったり、ラストパスの精度であったり。あとDFとしては、最後シュートまでいかれてしまう部分があった。ひとつひとつ甘さがあると思うので、全然まだまだやれる部分はあると思っています」

●FW深澤良(4年=清水東高)
―引き分けという結果について?
「連敗していたので勝利が欲しかった試合でしたが、連敗を止めたとプラスに考えて次に繋げないといけないと考えています」

―精力的に動けていたが自身のプレーは?
「後半は特に自分だけじゃなく、チーム全員に前へという意識があった。自分もその流れでボールを持ったときは前を向いて仕掛けることはできたと思う」

―後半、ポジションがサイドに変わってどうだったか?
「前半は相手の4バックに対して、うちは前2枚で守っていた。その結果、SBへの守備が曖昧になり攻撃の起点を作られていた。後半、前を3枚にしてしっかり守備にいけたので相手にやられなかったし、自分たちの攻撃が良い形で出せたと思う」

―前節欠場していたが、怪我の影響は?
「それはもう大丈夫です!」

―次節に向けて
「次は点を取れるように頑張ります」

●MF河井陽介(3年=藤枝東高)
―試合を振り返って?
「セットプレーから早い時間に失点してしまって、前半ちょっと流れが良くないまま終わってしまったんですけど、後半はフォーメーションが変わって、みんなも気持ちを切り替えてしっかりと戦えて同点に戻すことが出来た。それは収穫ではないかと思います」

―後半、フォーメーションが変わってプレーしやすくなりましたか?
「後半のフォーメーションだと、サイドを起点に出来るんで、それでみんな動きやすくなって、サッカーも良くなったんじゃないかと思います」

―勝ちきれなかった理由は何だと思いますか?
「やっぱり、みんな本気になるのが遅かった。点を取られてから取り返しに行くとなると、やっぱりちょっと厳しいものがあるんで、先制点を大事に、もっと突き詰めてやっていかなきゃならないんじゃないかと思います」

―相手の印象は?
「去年よりも中盤に人数が多くて、ワンタッチ、ツータッチで良いパスを回してくるので、守備の部分でもうちょっと修正しないと後期はやられるんじゃないかと」

―次回、対拓殖大学戦への意気込みは?
「拓殖も連敗してるんですけど、全然悪いチームではない、というのは聞いているので、しっかり自分たちのサッカーが出来るように1週間しっかり準備していきたいと思います」

●GK中川翔太(3年=國學院久我山高)
―試合を振り返って
「絶対に負けられない試合だと思ってみんな入って、チームの状況は悪くはないんですけど立ち上がりにああいう失点をしてしまったのは残念です。でも、今までと違う所はそこで崩れなかったことで、自分たちのやりたいサッカーというのができたので、そういう面では収穫のあった試合だったと思います」

―3試合ぶりに勝ち点を得たが、引き分けという結果については?
「正直、勝ち点3が欲しかったんですけど、3連敗しなかったのは大きなことで、しかも内容としても次につながる前向きな1点だったかなと思います」

―法大の印象は?
「前半は風の影響もあったんですけど、押し込まれてウチのバイタルエリアをけっこう使われて後手後手になってしまいました。特に前半に関しては相手の足元の技術が高かったなというのがありました」

―ハーフタイム中に話し合ったことは?
「1点負けてたのでここは点を取りにいくしかないということで気持ちを前向きにという意志統一ができました。あと、フォーメーションを少し変えたことが守備のやりやすさだったりにつながって、慶應は守備が良くないといけないチームなので、後半のように(藤田)息吹だったりああいう選手が前線で頑張ってボールを奪ってくれるから後半ああいう風にチャンスを多く作れたんだと思います」

―今日のディフェンス陣については?
「最初のセットプレーでの失点は避けなければいけないので、そこは修正しなきゃいけないんですけど、それ以外の部分は90分間みんな集中して危ないシュートは打たせなかったしギリギリで体張って守ってくれたので今日に関しては良かったと思います」

―次戦への意気込みを
「勝ち点1を取って、復活というかこれから上に上がって行かなければいけない。勝ち点3を積み重ねていかなければ上にはいけないので、勝利という形を何よりも求めてこれから準備していきたいなと思います」

●FW森田達見(2年=川崎F U-18)
―今日の試合を振り返って?
「勝ちきれなかったので、そこはやっぱり悔しいなあっていうのが正直な感想です。まあ、1点とれたのはよかったんですけど、最後のパスがずれてしまって、自分のせいで点が入らなかったので、次に切り替えたいと思います」

―サイドで途中出場だったが?
「相手が疲れているということもあったので、自分の特徴であるスピードだったり、ドリブルだったりっていうのを出せればいいと思っていました」

―貴重な同点ゴールでしたが?
「そうですね、これからも続けていきたいと思います」

―今季は出場機会が増えているが、成長を感じるところはあるか?
「学年も1つ上がったので、これからももっと出れるように頑張っていきたいと思います」

―次節に向けて
「勝ち点3がなかなか取れない中で、次の試合というのはとても重要になってくると思うので、絶対に勝ちたいと思います」

●MF松下純土(1年=國學院久我山高)
―途中出場で意識した事は?
「前半は相手の中盤にボールを回されていたので、潰し役となってリズムを止めるように監督から指示されていたので、そこを意識しました」

―指示通り良い動きができていたが?
「守備に関しては、自分でもそこそこできたとは思っている。ただ攻撃面でパスミスが目立ってしまったので、そこが自分の課題。成長できたらと思う」

―今後への意気込みを
「チームは2勝1分2敗ということで良い成績とは言えないので、自分が出場したときには勝利に貢献できたらと思う」

<写真>慶大・三上主将(右)が法大・深町の突破を阻止
(取材・文 慶應スポーツ新聞会)


慶應義塾全40の体育会を取材し、塾内唯一のスポーツ新聞を発行している慶應スポーツの公式webサイト(PC版)は
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