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Jユースや選手権常連校から多数入部!強化2年目の城西国際大が本格始動!

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 昨年、コンサドーレ札幌のチーム統括部長や横浜F・マリノスのゼネラルマネージャー、2010年FIFAワールドカップ日本代表のチームコーディネーターなどを歴任した小山哲司氏を監督に迎え入れ、サッカー部の本格強化に乗り出した城西国際大サッカー部(千葉県大学2部リーグ)の12年シーズンがいよいよ本格スタートした。

 27日午後、新入生38名を含む部員48名(1名欠席)とコーチングスタッフたちが集結。ミーティングの後、コーチを加えて7人ずつの7チームを結成し、指揮官の名前から「小山杯」と冠をつけたミニゲーム大会で始動した。ハーフコート2面で行われたミニゲームではダイレクトのボレーシュートや技ありのループシュートなどに歓声を挙げる一方、勝負にもこだわってプレーしていた選手たち。総当りのリーグ戦は勝ち点で3チームが並び、代表者による一発勝負のジャンケンで優勝~3位チームを決めて好ムードのまま初日の練習を終了した。

 笑顔の中で終わった初練習だが、今年の城西国際大はチームとしての目標をクリアするため、個々の夢へ近づくため、昨年以上に「本気」だ。昨年は1年生から4年生まで合わせて18名の少人数で活動をしていたが、新シーズンへ向けてチームの門を叩いた新1年生は何と38名。高校サッカーの名門、広島皆実高(広島)出身のMF橋本渉(新1年)が「小山監督と話したときに熱意とか、今後どうやっていくかというコンセプトとかが凄く伝わってきて、『この人ならついて行ける』と思って決めました」と語ったように、チーム強化のため、熱心に全国各地へ足を運んだ小山監督の熱意と、完成間近の人工芝グラウンド、クラブハウスなどのハード面に魅力を感じた選手たちが多数入部してきたのだ。

 昨年は5勝4敗でリーグ4位だったが、すでに千葉県2部リーグのチームとは思えないような陣容。前所属のリストにはコンサドーレ札幌U-18(北海道)、ジェフユナイテッド千葉U-18(千葉)、サンフレッチェ広島ユース(広島)、愛媛FCユース(愛媛)、アビスパ福岡U-18(福岡)のJクラブユース勢から旭川実業(北海道)、尚志(福島)、米子北(鳥取)、香川西(香川)、佐賀東(佐賀)、長崎日大(長崎)という昨年度の全国高校選手権出場校、そして流通経済大柏(千葉)、大津(熊本)といった全国屈指の強豪校まで錚々たる名前が並ぶ。全国大会で活躍した選手たちに加えて、ミニゲームでは強豪校ではない部員でも身体能力の高さを活かしたダイナミックな動きや技術で「違い」をつくり出していた選手が何人もおり、レギュラーをつかむことが簡単ではないことを予想させた。

 今年の目標は千葉県1部リーグ昇格。もちろんその先には大目標である関東リーグ参入を見据えている。ただ、昨年1年間、チームを指導して来た小山監督は手綱を締める。「去年は(強化以前の入部者たちで)しっかり練習していない選手だったから、トレーニングすることで上がっていくと思っていた。じゃあ今年、有力な選手が入ったからと言って、他大学の3年生や4年生と互角に戦える訳ではない。選手に勘違いのようなものはさせたくないし、スタッフもそれはしないようにしないといけない。去年だって後半、3敗している。何も結果は出していないので、選手がちょっと集まっただけで急に天狗になるようなことはない。選手にもこれからそれは十分に伝えていく」。

 ポテンシャルの高い注目チームではあるが、まだまだこれからのチームでもある。経験値の高い指導者、優れた環境があってもそれだけで成長できる訳ではない。選手たちの自身の情熱がなければ、人数が増えても何も変わらない。ただ選手たちはそれを理解している。初日の練習後、MF重行拓也(新1年=広島ユース)は「雰囲気という面ではまだユースと比べたら暗い部分もある。ここからでも全員で変えていきたいです」と語り、FW寺田大輝(新1年=浜松開誠館高)は「これからのチームということで自分が活躍してチームを上のリーグに上げたい。コンスタントに試合に出て点を取ることが目標」と宣言。選手たちはそれぞれがどん欲に成長し、千葉県2部リーグからチームをつくり上げていこうと非常にモチベーションの高い状態だった。

 小山監督は人間教育の部分も重視している。「人に感謝するとか学生の本分を考えてやってほしい。サッカーが上手いだけではやってほしくない。身だしなみもそうだし、言葉遣いもそうだし、礼儀もそう。ある程度できないと試合では使わない。そして、選手を可愛がろうと思っている。温かいものが流れるチームにしたい。AチームもBチームもみんな俺たちはひとつなんだということを基本姿勢にして、常にそういう気持ちが流れているようにしたい」。いきなり大所帯となった2年目のチームはタレント多数。その中で指揮官は技術、体力、判断力の向上とともに人間性の確立にもこだわって取り組んでいくつもりだ。そして強いだけでなく、愛されるチームになる。ミーティングでコンセプトを再確認したMF津川暢彰(新1年=札幌U-18)は周囲の人々やゲキサカの読者へ向けて「みんなで仲良く、元気良くやっている。練習にも来て、『サッカー部、声出してやっているな』、というところを見てもらいたいです」とメッセージを送った。

 千葉県大学2部リーグ戦は秋開催のみだが、4月29には夏の総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントの千葉県予選初戦を迎える。遂行困難な“ノルマ”だが、千葉県予選を突破すれば関東大会で関東1部の強豪と戦う可能性もある。MF桑野淳史(新1年=福岡U-18)は「相手のレベルは絶対に上だと思うし、だからこそ自分たちはチーム一丸となってやっていきたいと思う」と意気込んだ。有力1年生たちの加入で雰囲気はすでにガラッと変わった。“本当のスタート”を切ったチームはここから焦らず、ひとつずつ階段を上っていく。

(取材・文 吉田太郎)

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