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小クラブは1部に昇格すべきではない? ラツィオ会長の発言にイタリアサッカー界が揺れる

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 ラツィオのクラウディオ・ロティート会長の発言が、イタリアサッカー界を大きく揺るがしている。

 レーガ・プロ(3部)のイスキアのピーノ・イオーディチェGM(ゼネラルマネジャー)が、イタリア『レプッブリカ』に、ロティート会長との電話の録音を暴露したのが発端だ。

 レーガ・プロのサレルニターナも保有するロティート会長はレーガ・プロのマリオ・マカッリ会長を信任しないグループの一つであるイスキアのイオーディチェGMに、マカッリ会長を支持するように説得しようとした。

 その中で、ロティート会長は「自分には計画がある。半年以内に(レーガ・プロの)収入を増やす」と発言。その後、セリエAのマウリツィオ・ベレッタ会長、セリエBのアンドレア・アボーディ会長、イタリアサッカー連盟(FIGC)のカルロ・タヴェッキオ会長を貶めるような発言をしている。

 さらに、ロティート会長は自らの考えを説明する中で、セリエAの収入を増やさなければいけないと主張。そのためには、スモールクラブがセリエAに加わり、放映権料が下がることを避けなければいけないとほのめかす。

「アボーディに言ったんだ。変えなければいけないと。カルピが昇格してくれば…ビタ一文にもならないクラブが昇格してくれば、2、3年後に我々には1リラもなくなってしまうとね。私は『スカイ』や『メディアセット』と合意し、私がうまくやったおかげで、1億2000万ユーロの放映権を手に入れた。10年間で誰もできなかったことだ。それが、3年後にラティーナ、フロジノーネといったクラブ(がセリエAに昇格)となれば…誰が放映権を買う?」

 地方の小クラブであるカルピは、現在セリエBで首位と躍進中。ロティート会長は、カルピのようなスモールチームが昇格すれば、放映権の価値が下がると主張したわけだ。だがもちろん、純粋なスポーツ面での結果としての昇格を望まないとなれば、リーグの信頼性を損なうとの指摘がある。

 このイオーディチェGMの暴露により、各方面からさまざまな声が上がっている。プライベートな会話を録音し、公にするという同GMの手法への批判もあるが、ロティート会長の発言は大方から問題視されている。政府もFIGCに対し、「変化が必要」と呼びかけた。そのFIGCを率いるタヴェッキオ会長は、リーグの正当性を強調。昇格・降格は純粋にピッチの上で決まると強調している。

 ロティート会長は13日、「重圧をかけたのではない。問題提起をしたんだ」とコメント。種々の発言を釈明しつつ、イオーディチェGMが複数のクラブを破産に追いやった「不幸をもたらす人」だと批判した。これに対し、イオーディチェGMは名誉棄損で訴えることもほのめかしている。

 そのイオーディチェGMは、リーグやラツィオ、サレルニターナでの仕事を求めてはいないと強調。私欲からではなく、イタリアサッカー界のために「ショックを与えるための」暴露をしたと語った。なお、同GMはロティート会長の周辺から役職就任の申し出があったとも明かしている。

 イオーディチェGMによると、今回暴露した音声以外にも「さらに深刻な」証拠があるとのことで、「私はクレイジーじゃない。告発したのは重要な証拠があるからだ」と述べている。

 カルチョーポリから約9年。いまだ八百長疑惑など多くの問題を抱えるイタリアサッカー界が、再び悪い形で騒がれるかもしれない。

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