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マンCから完全移籍? クラブが「買い取り希望」。板倉滉のオランダでのパフォーマンスとは

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フローニンゲンDF板倉滉

 フローニンゲンのテクニカルディレクターを務めるマルク・ジャン・フレッデルス氏が今月、オランダ『Voetbal International』で「コウ・イタクラをマンチェスター・シティから買い取りたい」と発言。2019年1月にマン・C入りした板倉滉は、直後にレンタル移籍したフローニンゲンで今季、公式戦23試合に出場してきた。クラブが買い取りを望む板倉はオランダでどのようなパフォーマンスを見せているのだろうか。『Opta』のスタッツを基に検証していく。

■堅い守備を見せるフローニンゲン
 フローニンゲンで自身初となるフルシーズンを過ごしている板倉滉は、チーム内ではPSVに所属するMF堂安律ほどの足跡はまだ残していない。それでも、将来性を感じさせる存在感を示しているのは確かだ。マン・Cは川崎フロンターレから獲得後、経験を積ませるためオランダ北部に位置するクラブへレンタルに出した。ダニー・バイス監督に認められ、実際の試合に出場するまでに半年を要したが、現在は貴重な戦力として起用されている。

 今季のフローニンゲンは、オランダらしい攻撃的フットボールからは程遠い内容だが、そのディフェンスは抜け目がなく、エールディビジでもトップクラスの成績を残している。順位は9位ながらも失点数「26」は、2位のAZ(17失点)、首位のアヤックス(23失点)に続くリーグ3位の少なさだ。

 今季の板倉は厳しいポジション争いを強いられてきた。昨季も安定した成績を残していたフローニンゲンのディフェンス陣に食い込んだこと自体が大きな成果と言えるが、サミール・メミシェヴィッチ(2月に河北華夏へ移籍)が負傷欠場したことで得たチャンスをモノにし、序盤の4か月で先発出場を継続。その後はチームキャプテンのミケ・テ・ヴィーリクと共に最終ラインの要として出場し続けた。

 それでも昨年12月、3試合白星から遠ざかった時期に先発メンバーから外れてしまう。これは当時のバイス監督いわく、経験を重視した上での決断。結果的に今年2月までスタメンに戻ることはなかったが、今季26試合のうち22試合(うち先発は18試合)に出場していることは評価に値する。

■板倉のスタイル
 今季失点数リーグ3位、クリーンシートを記録した試合は同2位(9試合)のフローニンゲンの中で、板倉のパフォーマンスは明確だ。チーム内のディフェンダーと比較すると、90分換算のデュエル数(7.5=5位)、空中戦(3.5=3位)、リカバリー(5.1=6位)は目立つものではない。もちろん、ボールに触れていない場所でのせめぎ合いなど、スタッツでは計れない分野もあるが、裏を返せば板倉のプレースタイルは数字で読み取ることもできる。

チーム内DFにおける板倉の成績 ※5試合以上出場選手、90分換算
デュエル:7.5(5位)
空中戦:3.5(3位)
リカバリー:5.1(6位)

90分あたりのパス数 ※現所属選手
1.板倉滉…62.3
2.ミケ・テ・ヴィーリク…53.6
3.アゾル・マツシワ…51.1

パス成功率
1.ミケ・テ・ヴィーリク…87.8%
2.板倉滉…84.7%
3.ダニエル・ファン・カーム…81.9%

 頑強なディフェンダーのイメージからは遠い板倉だが、ボール保持からの展開力に関しては目を見張るものがある。チーム全体でも、90分換算での1試合平均パス数は現メンバーでは最多。同成功率もチーム2位の84.7%を記録している。1試合平均自陣パス数に関してはチームトップ(43.0)で、2位に位置する同エリア内でのパス成功率(92.6%)から見ても、チームメイトからの信頼と共に、後方からの組み立てに重要な役割を果たしていることが読み取れる。

 デュエルやリカバリーなどディフェンス面での強度は高める必要があるものの、板倉のディフェンダーとしてのパスセンスはリーグ有数のレベルにあることは間違いない。フローニンゲンはさらなる成長と経験を積めるクラブとしては理想的と言えるかもしれない。

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