beacon

「ウクライナ人、ロシア人の選手たちとたくさんの涙を流した」ヘルタに就任のシャワルツ監督がモスクワに残った理由を説明

このエントリーをはてなブックマークに追加

ヘルタ・ベルリン指揮官に就任したサンドロ・シュワルツ氏

 ブンデスリーガのヘルタ・ベルリンは2日、先日ディナモ・モスクワを退団したドイツ人指揮官のサンドロ・シュワルツ監督の就任を発表。同監督は翌日にオンライン会見に臨み、ロシア軍のウクライナ侵攻後も同国に残る決断について説明した。

 2019年11月までマインツを率いていたシュワルツ監督は2020年10月にディナモの監督に就任。今年2月末、ロシア軍のウクライナ侵攻を受け、昨年10月からロコモティフ・モスクワを率いていたマルクス・ギスドル氏やクラスノダールに内定のダニエル・ファルケ氏と他のドイツ人指揮官が出国した。一方で、シュワルツ監督は同国に残り、ドイツ国内から批判を浴びていた。

 そんな同監督だが、この日ドイツに帰国後初めてとなる会見に出席。モスクワに残る決断について問われると、次のように説明した。

「意思決定に至る過程は長い間続き、最後まで私自身や私の家族により見直し続けられた。私のことを知る人は、私はウクライナでのあの侵略戦争を強く非難していることを知るはずだ。信じてほしい。私の決断はスポーツ、タイトル、金銭などとはまったく関係ないことを。私はそこにいる人たちを助けることだけを考えていた。ウクライナで起きていること、考えられる中で最悪なことが起きていることを知りながらだ」

「こういう時だからこそ選手たちが私を必要としていることを知っていた。それでも、魂が引き裂かれるような毎日だった。ウクライナ人、ロシア人の選手たちと無数の感情的な瞬間をともにしている。彼らは監督室を訪れ、私は彼らとともにたくさんの涙を流した」

 ドイツ国内からの批判についても語っている。

「クラブをすぐにでも離れるべきだったという考えはすごく理解できる。私はそれについて誰かを恨むことはない。だが、自分の気持ちだけで決断を下すことはできない。侵略戦争に対する自分の姿勢、クラブの責任者たち、プレーヤーたち、スタッフなど周囲のみんなの姿勢を知っている。あの2月の24日以降、ちょっとでも生活が普通だと感じ、みんなとの話からそういった印象を受けていたら、家族とともにすぐにクラブから出るべきだったろう」

 ディナモはロシアのウクライナ侵略開始直後に自身のSNSに黒一色の画像と「戦争に反対する」とのメッセージを投稿したロシア代表FWフョードル・スモロフが所属するクラブ。「ディナモの周囲の人々は、これに関する姿勢がハッキリしている」と語るシュワルツ監督は「将来への不安、全世界からの孤立の気持ち、それらを周りから感じたんだ」とも指摘。また、44歳の指揮官は今回の会見では自身の下でアシスタントを務めていた元ウクライナ代表のアンドレイ・ボロニン氏やウクライナ人DFのイバン・オルデツもシュワルツ監督の即座に出国しない決断を支持していたことも明かしていた。

●ブンデスリーガ2021-22特集
世界のサッカー情報はgoal.com

TOP