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「質問は受け付けない」記者を制止する事態も…なでしこJと対戦する北朝鮮監督はアウェー国立に自信「家に帰るような温かい気持ち」

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リ・ユイル監督

 アウェー・国立競技場でパリオリンピックへの切符を手にするつもりだ。北朝鮮女子代表は28日、日本女子代表(なでしこジャパン)とパリ五輪アジア最終予選第2戦で対戦する。27日には前日会見が行われ、リ・ユイル監督が出席した。

 サウジアラビアで行われた第1戦をスコアレスで終え、第2戦は北朝鮮にとっての敵地・国立競技場で決着をつける。リ監督はパリ五輪出場の重みについて「どの国もすべて同じではないでしょうか」と回答。「自分の国の名誉のために五輪に出場して、能力を発揮する気持ちは一緒。サッカーをやっている者として、自国のサッカーの発展のために、未来のために非常に重要な経験ができる。どの国も理由は一緒だと思う」と力を込めた。

 会見では韓国のテレビ局記者からの質問が飛んだ。記者から“北朝鮮チーム”という言葉が出ると、リ監督は手のひらを相手に向けて制止。「申し訳ないが、国号を正確に呼んでほしい。私たちは北朝鮮チームではなく、朝鮮民主主義人民共和国チームだ。国号を正確に呼ばないと誰も質問は受け付けない」と自国語で語気を強めた。

 会見室には数秒の沈黙が漂うなか、指揮官は北朝鮮チームを動かす原動力について答える。「サッカーをするうえでの原動力は、国を代表して戦うということ、国を輝かせたいという気持ち。家族、両親、兄弟、友人、親戚が期待している。それに応えたい気持ちだ」と意気込んだ。

 リ監督や選手たちは初来日。それでも25日夜に羽田空港に到着すると、大勢の在日朝鮮人がエールを送ったことで「同胞たちが熱烈に歓迎してくれてうれしかった」と不安は払しょくされたという。

 28日に国立競技場で行われる第2戦で、北朝鮮のゴール裏3000席は完売。対する日本のゴール裏の販売数は2000席超という“劣勢”だ。リ監督は「3000人が競技場を埋めてくれる。異国ではなくホームでやるような、自分の家に帰ってくるような温かい気持ちになっている」と笑みを浮かべる。「それに応えるためにもベストを尽くしたい」と躍動を誓った。

(取材・文 石川祐介)
石川祐介
Text by 石川祐介

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