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遠藤がマンUに挑戦状、「勝つことしか頭にない」

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[12.14 クラブW杯(FCWC)準々決勝 アデレード0-1G大阪 豊田]

 MF遠藤保仁のひと振りがマンチェスター・Uへの挑戦状だ。クラブW杯初出場のガンバ大阪はACL決勝の再戦となったアデレードとの準々決勝を1-0で制し、準決勝進出を決めた。前半23分、MF二川孝広のフィードをFW播戸竜二が頭で落としたスペースに遠藤が走り込む。「明神から二川に渡ってボールが動き出した時点で、あのへんにボールが来るんじゃないかと信じていた。最初から最後までイメージ通りだったわけじゃないけど、途中からはイメージ通りのゴール。股抜きは狙ってました」。落ち着き払った遠藤の右足シュートはGKの股間を抜け、ゴールマウスへ。ACLでMVPを受賞した背番号7が、チームを夢の舞台へ導いた。

 ACL決勝2試合でトータル5-0と大勝した相手。しかし、世界一を決める大会でリベンジを狙うアデレードのモチベーションは当時の比ではなかった。G大阪のサッカーを研究し、高い位置からプレッシャーをかけ、球際も激しく当たってきた。「正直、(ACL決勝で)2戦したアデレードではなかった。コンディションも良さそうで、運動量もあった。特に最初と最後は迫力を感じたし、あれが本来のアデレードだと思う」。2度勝った相手というやりづらさはあったし、受け身になった部分もある。「僕らにミスが多かったのもあるし、動き出しも確実に遅かった」と反省した。

 遠藤が「勝てて良かった。それ以外は特にないです」と認めるように、試合内容は決して良くなかったが、「トーナメントなんで、どんな内容でも勝つことだけを考えていた」というのも真実だろう。3試合戦うことになるこの大会で最も戦いづらい相手がアデレードだった。第1関門を突破したことで、あとは挑戦者の気持ちで向かっていけばいいし、G大阪らしさを前面に押し出せるはずだ。

 次はいよいよ世界最強のマンチェスター・Uが相手だ。「世界一のチームですから、恐れることはないし、ダメでもともとの気持ちでいけばいい。ビビってガンバらしさを出せないのが一番イヤ。どんな内容でも、持っているものを全部出して、勝てばみんなスターになるし、たまにはそういう夢を見てもいい」と遠藤は力を込めた。マンチェスター・Uのことはいまさら研究する必要がないぐらい知り尽くしている。ACLで優勝するずっと昔から、移動のバスの車内でも宿舎の食事会場でも、テレビで流すDVDの映像はマンUの試合ばかりだった。「プレミアとかリーガが多いですからね。マンU、チェルシー、バルセロナ。全選手の全特徴を知ってますよ」。映像を通してしか見ることのなかった世界のトッププレイヤーたちと真剣勝負の場で対戦できる経験など、そうそうあるものではない。だが、やるからには負ける気もない。遠藤は「勝つことしか頭にない。相手がどこでも、そんなことは関係ない。勝つために努力する」と言い切った。昨季のクラブW杯では浦和が準決勝でミランに0-1で敗れた。G大阪が歴史の新たな1ページを刻めるか。青と黒の勇者が、いよいよ赤い悪魔に挑む。

<写真>G大阪MF遠藤
(取材・文 西山紘平)

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