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女子バロンドール澤が感無量の涙。「トロフィーには30年間の重みが詰まっている」

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「女子最優秀選手賞の勝者は…ホマレ・サワ」

 その名が呼ばれたとき、澤穂希の目はすでに涙で滲んでいた。

「佐々木監督の名前が呼ばれたときに自分が感動してウルウルしていた。泣きそうになった。監督のスピーチも感動的で…」

 先に受賞が発表された恩師の姿に涙した澤は、檀上でも緊張の面持ちを崩さぬままスピーチした。

「このような名誉ある賞をいただき、大変うれしく思います。この賞を糧に、日々精進していきたいと思います」

 感激は表彰式後の取材ゾーンでも続いた。W杯優勝のときにも、ロンドン五輪出場権獲得のときにも見せなかった表情がそこにはあった。

「言葉にならない。3人に残っただけで自分をほめたいと思っていた」

 そして言った。「女子サッカーが始まって30年、自分が代表に入って18年。その重みがトロフィーに詰まっている」

 水色のあでやかな振りそでは、日本サッカー協会と話し合い選んだもの。「日本人らしい、清楚な服装を選んだ。着物を着るとびしっとするので、気持ちもびしっとする」とほほ笑んだ。爪には振りそでに合わせた水色のジェルネイル。それを穏やかな目で見つめた。

「また自分自身も高い目標ができた。ロンドン五輪でいい色のメダルを取りたい」

 潤んだ瞳が乾き始めたころ、世界最優秀選手はきっぱりと言った。

(取材・文 矢内由美子)

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