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急成長の鹿島学園 最強のデータサッカーを取り入れ、全国の頂きを目指す

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 冬の風物詩、全国高校サッカー選手権大会が30日に開幕する。08年度大会でベスト4に輝いた茨城の名門・鹿島学園。今年も3年連続の選手権の舞台に駒を進めた。31日に初戦を迎える鹿島学園は、鹿児島城西高と対戦する。

 全員守備、全員攻撃がモットーの鹿島学園だが、特に今季は強固なセンターラインを軸とし、堅守速攻を得意とするチームとなっている。さらに今年度の3年生は4年前に同校が選手権で4強入りしたときに中学2年生だった世代。進路選択で最も影響を受けた世代が、最高学年を迎えている。

 最後尾で壁となりゴールを守るのはGK田邊快人(3年=写真左)は、4年前のベスト4を見て鹿島学園進学を決めたと語る。入学後は1年生からベンチ入りを果たすと、昨年もレギュラーとして選手権で2試合に出場した。経験を得たことで一回り成長したと語る守護神は「自分としては去年出た経験がすごく大きい。自分たちのサッカーをやって勝てればいいなと思っています」と自信を見せる。

 最終ラインでDF陣を統率するのはキャプテンのDF山田暦(3年=写真右)だ。今季は故障に泣き、予選の始まる2~3週間前にようやく復帰を果たした。「チームを引っ張れなかった」と悔やむキャプテンは「選手権はなんとしても出て、この1年間、自分がいない中で頑張ってくれたみんなに恩返しをしたい」と活躍を誓う。

 攻撃陣を引っ張るのは10番を背負うFW古橋広樹(3年=写真中)。全員守備、全員攻撃を掲げる鹿島学園にとって、古橋のドリブル突破はなくてはならない武器だ。茨城県予選決勝の総和戦では決勝点を挙げるなど、勝負強さも兼ね備えている。選手権本番に向けても「全国優勝というのをチームの目標として決めたので、個人的にも得点をいっぱい取れるように頑張りたい」と意気込んでいる。

 そんな鹿島学園にさらなる成長をもたらそうとしているのが、adidas社が開発した「miCoach SPEED_CELL」だ。「miCoach SPEED_CELL」とはスパイクに装着するだけで走行距離やダッシュスピードを瞬時に計測し、ワイヤレスでデータを送信。パソコンやipadなどに取り込むことで、表示、管理することが可能となる。

 これにより、指導者およびプレーヤー自身が運動データを客観的に判断することができ、より効果的なトレーニングが可能となる。同社では12月2日の「miCoach SPEED_CELL」の発売と同時に、対応したスパイク「adizero F50」を発売。今ではadidas社の販売するスパイク「Predator lethal zones」「adizero F50」「adiPure 11pro」の3モデルに搭載可能だ。

 本格導入は来年度以降となる鹿島学園だが、すでに試験的に導入済み。今年度の選手権でも一部導入を決めている。鈴木雅人監督は、「データを取って、早ければハーフタイムでもデータを見れますし、試合が終わったあともデータとして取れるので、そういう点ではすごくいいと思います」と効果を説明。「もっとダッシュしろとか、言葉で言うよりも、データや数値で分かるというのはすごい大きいですよね。もう少し走った方がいいだろうとか、目安のデータがあって比較をすると、どこが足りないだとか、どこが弱いというのが明確になのは、システム的にいいのではないかなと思います」と手ごたえを口にする。

 実際、練習で使用した古橋は「どれぐらい走れているんだというのが、目で見てわかるというのはすごいと思いました。もっと頑張らないとなと思えるので、とても良いと思います。今の段階でもかなり役に立っていると思います。miCoach SPEED_CELLを付けてからみんな確実に練習効果が上がってきている。練習に取り組む姿勢も変わってきています」と効果を実感する。

 今後は世界の有名選手などのデータも公開予定となっており、あこがれの選手と自分のデータを比べることも可能となる。田邊は「あるトップ選手は1試合で5キロから6キロを走っていると聞きました。キーパーなのによくそんなに走れるなと思いました。自分が足りない部分を数字で明確にしてくれるところが一番いいところだと思います」と目を輝かせた。

 茨城県勢として昭和55年の第59回大会の古河一高以来の優勝を目指す鹿島学園。鈴木監督が「チームとしてはベスト4も4年前に取っているので、その上を目指してやるしかないかなと思っています」と話すと、選手たちも「チームの目標は全国制覇」と同調する。

「毎年変化、成長をしていかなければならないと思っています。時代も科学的なものを導入するほうに移行していると思うので、新しいものを取り入れながら、より良い形を子供たちに提供できたらなと思っています」

 ここ9年間で7度の選手権出場と急成長を続ける鹿島学園。全国の頂きに立つために、最強のデータととも探究を続けていく。

(取材・文 児玉幸洋)

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