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[プレミアリーグEAST]突破力加えた札幌U-18、松尾2発で桐光学園撃破!

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[4.14 高円宮杯プレミアリーグEAST第2節 桐光学園高0-2札幌U-18 保土ヶ谷]

 U-18年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2013 プレミアリーグEASTは14日、第2節5試合を行い、神奈川県立保土ヶ谷公園サッカー場で開催された桐光学園高(神奈川)対コンサドーレ札幌U-18(北海道)戦は、札幌U-18がFW松尾雄斗(3年)の2ゴールによって2-0で勝った。

 開幕戦で流通経済大柏高(千葉)と好ゲームを演じながら黒星スタートとなった札幌が、突破力を加えて初勝利を挙げた。立ち上がりに失点した流経大柏戦ではポゼッションに手応えを得た試合ではあったが、個として、チームとして突破力に欠いた部分があった。そして迎えたこの日は、開幕戦でCBだったDF近藤諒大(3年)を右SBで、右SHにはFW鈴木翔(2年)を起用。四方田修平監督は「先週、突破のところで迫力を出せなかったので少し、個で武器のある子だったりを起用しました。選手たちにとってはきょう、スタメンを聞いてびっくりするようなものだったと思う。あまり伝えずに、ここへ来た16人に関してはほぼ同じような意識で準備できた」と振り返っていたが、抜擢された選手たちの奮闘もあり、アウェーで勝ち点3を獲得した。

 立ち上がりに勢いがあったのはホーム・桐光学園の方だった。前半4分には左サイドでのパス交換からMF加藤寛明(3年)がクロスバー直撃の右足シュート。11分には右サイドから切れ込んできたMF池田友樹(2年)がFW植木隆之輔(3年)とのパス交換からPAへ飛び込む。そして20分には加藤とのワンツーからMF蔭山裕之(3年)がGKと1対1に。この決定機はシュートが枠を外れて得点することができなかったが、球際の強さと選手たちが湧き出てくるような攻撃には迫力があった。

 特に鈴木勝大監督が「彼の左足はいろいろなところで評価が高まっています。ノールックで40mくらいスパーンと蹴ることもできる」という左SB杉本大斗(3年)が抜群の存在感。一発で局面を変え、左サイド後方から前線の足元へ素晴らしいパスを通す。そして植木が持ち味の強さと高さを発揮。加藤ら機動力のある2列目、池田とMF大竹徳幸(3年)のダブルボランチもPAまで潜り込んでくる。そして厳しいファーストディフェンスが札幌のミスを誘い、セカンドボールを自らに引き寄せていた。

 序盤はDFが横パスをカットされるなど相手に飲み込まれかけていた札幌だが、20分頃から落ち着いたポゼッションでリズムを取り戻す。空中戦でこそやや苦戦していたが、最終ラインではU-18日本代表候補CB内山裕貴主将(3年)が絶妙なカバーリングとポジショニングで桐光学園のスピードある攻撃をストップ。パートナーとして起用されたCB進藤亮佑(2年)も高さと持ち味の守備力を活かして奮闘する。すると、32分、自陣でのインターセプトから高速カウンター。切り替え早く右サイドを駆け上がった近藤が縦を警戒するDFの逆を突いて左前方へ絶妙なラストパスを通す。これで「(近藤)諒大がボールを持った時に相手がボールウォッチャーになっていたので、そこで上手く相手の裏を取れた。日々動き出しの練習をやっているのが活きたと思います」という松尾が抜け出し、左足で先制ゴールを流し込んだ。

 アグレッシブに試合を進めていた桐光学園にとっては痛恨の失点。逆に札幌はU-18日本代表MF前寛之(3年)がテンポ良くボールを動かすなど試合をコントロールし、守備面でも高い位置で相手ボールを奪い返すことに成功する。そして41分には再び近藤の仕掛けから決定機を迎え、42分にはバイタルエリアでパスを受けた鈴木が、鮮やかなドリブルで2人を振りきって決定的な左足シュート。失点からの立ち直りが遅れた相手を畳み掛けた。

 札幌は後半5分にもDFと入れ替わったFW國分将(3年)が決定的な右足シュート。9分には相手守備陣の連係ミスを突いた國分の一撃がポストを叩いた。桐光学園もサイドチェンジや縦パスを交えながらPAまでボールを運んでいたが、再びスコアを動かしたのは札幌だった。17分、敵陣に押し込んだ札幌は一度ボールを失いながらも、サイドからクリアしようとした相手の動きを読んだ近藤がインターセプト。一気にPAへ突進すると、奪い返そうとした桐光学園MF加藤がファウルで止めてしまい、PKとなった。この日2枚目の警告となった加藤は退場。攻撃のキーマンを失った桐光学園に対し、札幌はPKキッカーの松尾が右足で決めて2-0と突き放した。

 10人となった桐光学園は3バックへシフトし、フィジカル能力の高いCB中島駿(3年)を前線へ配置。19分にはセットプレーの流れから左サイドを中島が攻略してCB宮野剛(3年)が決定的なヘディングシュートを放った。カウンターから人数をかけて攻めるなど最後まであきらめない姿勢を見せていたが、確実にシュートにまで持ち込んでくる札幌に押し返されて無得点で試合終了。強さを示したものの、連敗となった桐光学園の鈴木監督は「やってきているものを変えるつもりはありませんし、毎週毎週ボクらがパワーアップしていけばいいかなと思います。やれないことはない。ただ、結果が出ないと彼らもやっていることが正しいのかということになると思う。なんとか勝ち点3を取らせてあげたい」と語った。

 一方、札幌の内山は後手を踏んだ序盤を「だんだん時間が経ってくれば自分たちのペースに持って来れるんですけど、立ち上がりが課題と明確になった試合だったと思います」と反省しつつも、「(メンバーが)先週とガラッと変わったので戸惑いというのもあったんですけど、出た選手がしっかりとやってくれたと思いますし、サブの人も途中から出て流れを変えてくれたので、チームとして戦えた試合だったと思います」と勝ち点3獲得に胸を張った。メンバーを固定することなく、競争しながらこの試合を迎え結果を出した札幌。指揮官は「もっと安定したゲームがしたいですね。前半のピンチはほとんどミス」と指摘していたが、戦うことのできる選手が増えたことを喜んでいた。突破力を加えてこの試合を制した札幌は課題を修正し、チーム内の競争から新たな武器を持ってまた次の試合へ挑む。

[写真]後半17分、札幌U-18の松尾がPKを決める

(取材・文 吉田太郎)
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