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ベンゲル監督から直接指導受ける権利懸けた「NIKE FC」セレクション、“長友枠”2名含む35名が突破!

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 ユース世代のフットボールプレーヤーをサポートするナイキジャパンは7日、育成年代に向けて行っている特別強化プログラム「NIKE FC」のセレクション(NIKE FCフィールドプログラム)を行った。今回のセレクションを突破した選手たちは、アーセナル(イングランド)の世界的名将、アーセン・ベンゲル監督から直接指導を受ける権利を獲得する。それだけに、さいたま市のレッズランドで開催されたセレクションには過去実施された「NIKE FC」のセレクション史上最多の中高生64名が参加したが、フィジカルテストやミニゲームなどでアピールに成功した35名が突破。合格者は今月14日に「NIKE FC」のトレーニングを受け、同25日にベンゲル監督が「NIKE FC」を直接指導するスペシャルプログラムを受講する。(合格者一覧はこちら)。

 MF染谷由来(大森FC、2年)が「自分も海外へ行って成功したいという夢がある。受かってベンゲル監督に少しでもいいところを見てもらって、目に留まればいい。最近意識している相手と相手の間でのボールの受け方とか、ボールを持っている時のアイディアを見て貰いたい」と語ったように、一般の中高生たちがベンゲル監督の指導を受けるビッグチャンス。それだけに意識の非常に高い選手もいたが、最初のメニューとなったアジリティ(敏捷性、矢じりダッシュ)テストでは、最後の一歩まで走り切ることのできない選手が続出。「NIKE FC」のリー・マンソンヘッドコーチからは「自分たちは勝者を探している。これでは最後の一歩を頑張れない選手だと思ってしまう。この一歩は試合、勝負で出てくる。最後まで頑張れるか見せてほしい」と厳しい声が飛んでいた。

 この日、さいたま市は最高気温35.1度を記録。非常に厳しい環境と慣れないセレクションによる緊張からか、当初は力を発揮できていないプレーヤーもいた。それでもフィジカルテスト終了後にセンターゾーンの選手を1分ごとに代えながら行った4対1ではMF小林涼太(Football Tryout Academy、2年)やDF北村大輔(藤沢西高3年)が声で周囲を盛り上げるなど、選手たちは自分たちからテンションを上げてプレーしていく。

 そしてパス4本以内でシュートまで持ち込むというルール付きの6対6ではMF高橋郁海(羽村高3年)が高いスキルを発揮してゴールを連発。また昨年の「THE CHANCE」でジャパンファイナルへ進出している大型DF楠本卓海(大成高3年)がインターセプトからくさびのパスを通してアシストしたほか、絶妙なボールタッチで違いを示したMF染谷由来(大森FC、2年)がFW犬飼元気(東京23FCセカンド、3年)とのパス交換からシュートを打ち込み、MF斉藤健太(三浦学苑高2年)や中学生のFW時岡寛拓(臼井南中2年)、MF末永浩隆(大東文化大一高1年)らが存在感を示してアピールしていく。

 懸命にプレーを続ける選手たちの下へサプライズゲストが訪れた。この6対6を何と、インテル(イタリア)の日本代表DF長友佑都が見学。突如ピッチサイドに姿を現した長友は、メンバーリストを手に各コートを回って選手たちのプレーをチェックし始めた。憧れの日本代表選手の来場に俄然やる気を増した選手たち。何とか目に止まるような動きを見せようと、長い距離のスプリントやシュートなど積極的なプレーが増えていく。

 このあと、セレクションは6対6を一時中断し、ピッチ上で選手から長友への質疑応答を実施。質疑応答後には、セレクションでの“スカウト役”を兼ねていた長友から最も印象的なプレーをしていた選手として、「目についた部分はCBをやっている中での、足元の技術。あと一番感じたのは常に味方の選手に要求していたこと。くさびに来ていなかったら『くさびに来い』と、また『開け』だったり、気持ちを感じた。それは、これから上に行くために大事な部分」という理由とともに楠本の名が挙げられた。

 また質疑応答で長友に対して「日本代表になるんで一緒にサッカーしましょう」と猛アピールしていた高橋が、長友から“最も意欲のある選手”として指名された。「とりあえず顔を覚えてもらいたかった。(いつか)何かあればいい。サッカーで食っていければラッキーじゃないですか。だから頑張ろうかなと。でもプレーの方で選ばれたかった(苦笑)。ベンゲルさんの前でも同じように目立つだけです」と笑い飛ばした高橋と楠本の2人は“長友枠”としてこの時点でセレクション合格が決定。長友は「NIKE FC」の活動に参加している選手たちに対して「自分たちの部活動がある中で、ここに来ているということは本当に意識の高さを感じるし、きょう見てみても本当にエネルギーを感じさせてくれる姿を見ることができた。ボクも学ばされましたね」と目を細めていた。

 一方、長友からプレーを認められた楠本は「選ばれる自信はありました。めっちゃ良かったです。長友選手が評価してくれたことは自分が普段意識していない部分だったので、新しい一面を発見できたと思います」。昨年の「THE CHANCE」で全国的に無名校の2年生ながら評価を得て「あれからサッカーの見方や将来についての考え方が変わった」という楠本は今回のセレクションによってまた「変わる」チャンスを得た。

 このあと約1時間、6対6は続き、「技術はもちろん見ている。そしてハードワーク、ゲーム知識の3つが重要」というマンソンヘッドコーチら「NIKE FC」のコーチ陣から疲労のある中での技術、判断、運動量などがチェックされた。そしてクールダウン後にレッズランドのクラブハウスで合格者発表。楠本と高橋のほか、33名の名前が読み上げられて計35名の合格者が決まった。彼らは「NIKE FC」のためにベンゲル監督によって行われる世界最高峰のトレーニングに参加する権利を獲得。合格者たちには「選ばれた人はボクらの期待に応えてほしい。きょうは一生懸命やったから選ばれた」と声がかけられた一方、惜しくも落選した選手たちには「これで終わりじゃない」「次回来た時は『コーチの目がおかしんだよ』『オレを選ばなかったのは間違いだよ』というところを見せてほしい」ということばがコーチ陣からかけられていた。

 初のチャレンジで合格したFW加藤滉一(栄北高2年)は「ベンゲル監督は世界的にも有名な監督なので、吸収できるものはなるべく多く吸収したい。自分たちのチームはあまり強くない。でも自分は上にいきたいんで、よりいい指導を受けて成長したい」。合格者たちは自分たちの夢実現やその可能性を広げることはもちろん、落選した選手たちの思いも背負って、世界的名将によるスペシャルプログラムへ臨む。

▼セレクション合格者

GK広保友樹(海城高2年)
GK片山淳介(神奈川大附高1年)
GK佐藤建太(柏日体高3年)
MF高橋郁海(羽村高3年)
FW時岡寛拓(臼井南中2年)
MF田中祐希(足立新田高3年)
FW鈴木暢(富士市立高2年)
DF/MF南雲丈一郎(東大和高2年)
MF栗原航(伊奈学園総合高2年)
MF菊地大輔(矢板東高3年)
MF小林涼太(Football Tryout Academy、2年)
DF北村大輔(藤沢西高3年)
MF小林友祐(FCトリプレッタ、2年)
MF染谷由来(大森FC、2年)
DF水口航輔(浦安SC、3年)
FW石崎康平(川越市初雁中3年)
MF高橋大樹(羽村高3年)
FW犬飼元気(東京23FCセカンド、3年)
DF渡辺拓磨(石神井高3年)
FW清水佑樹(FCコンソルテ、中学3年)
FW加藤滉一(栄北高2年)
DF島田大輝(栄北高2年)
DF海老沢颯太(栄北高2年)
MF斎藤健太(三浦学苑2年)
MF/DF山下達也(所沢高3年)
MF富田将平(日本第一大付高3年)
DF石村凌(東大和高3年)
MF森田康平(大東文化大一高1年)
MF末永浩隆(大東文化大一高1年)
FW陶山凌大(大東文化大一高1年)
DF楠本卓海(大成高3年)
DF竹内豊(東大和高2年)
FW志村陽平(東大和高2年)
DF堀口翔(東大和高2年)
GK鈴木諒(日本第一大付高3年)

(取材・文 吉田太郎)

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