beacon

[NIKE LIGA NOVA U-16]「相手の声をかき消す声」と多彩な攻撃、作陽が広島皆実との強豪対決制す

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.25 NIKE LIGA NOVA U-16第9節 広島皆実0-2作陽 鳥取東郷公園多目的広場]

 中国地域の強豪10校のU-16チームが優勝を争う「2013 NIKE LIGA NOVA U-16(NLNU16)」は25日、最終節を行い、広島皆実(広島)対作陽(岡山)戦は2-0で作陽が勝った。中国地域のU-16世代の選手育成及び指導者の強化を目的としたリーグ戦、「2013 NIKE LIGA NOVA U-16(NLNU16)」は立正大淞南(島根)が8勝1敗で優勝を決めている。

 この夏、チーム全体で15の遠征を行い、トップチームから1年生までが試合勘を養ってきた作陽。1年生チームもその経験が活きて試合の入りが非常に良く、前日24日は前半の5得点で高川学園(山口)に5-2で勝っていたが、この日も立ち上がりの3分に左SB今川朋睦が右足シュートをゴール左隅へねじ込んで先制に成功する。

「前線の選手がポジションチェンジをして、起点を前にしたり、サイドにしたり、選手がしゃべって雰囲気をつくる、戦術もつくることをこだわってきた」。作陽の三好達也コーチはそう説明していたが、作陽の選手たちで特に印象的だったのは声。豊富なアイディアやボールタッチなど他と違う感覚を示していたMF小林舜弥も「自分たちの声で相手の声を消す。これが意識してできていた」と振り返ったように、常に声を絶やさない作陽は自分たちの声で相手の指示やサポートの声をかき消してピッチの中での主導権を握ることを実践していた。

 そして起点を動かして相手に的を絞らせず、またボールをしっかりと保持しながら多彩な攻撃を繰り出す作陽は4分にもMF蓬萊一歩の左足シュートがゴール右ポストをかすめたほか、37分には右CKのこぼれ球から今川が決定的な右足シュート。さらに45分には小林が緩急をつけたドリブルからPAで鮮やかにDFを抜き去って右足シュートを放つ。小林やFW篠原嵩典、FW和久利風太らが打開力を発揮してシュートへ持ち込むなど個人、チームでチャンスをつくり出していた。

 対する広島皆実はスペースへ飛び出すFW前谷慧が力強い動きからシュートまで持ち込んでいく。また27分にはCB林耕平の攻撃参加で中盤を破り、37分には右中間からFW栗栖優司が放った左足シュートがファーサイドのポストをヒット。43分にも縦パスに反応した前谷が左足シュートを放った。自分たちの時間帯があった広島皆実だったが、ラストパスやシュートの精度を欠いて同点に追い付くことができない。

 逆に作陽は後半5分、篠原が上げた右クロスをファーサイドの小林がほとんど角度のない位置から左足ダイレクトで逆サイドのゴールネットへ突き刺すファインショット。これで2-0と突き放した。広島皆実は前半途中から投入された10番MF有國修平と前谷のパス交換で起点をつくると、MF二井野巧や栗栖のドリブル突破などで押し返す。ただ、作陽はCB太田真葵とCB小山敬大を中心とした守備陣が非常に安定した守り。クロスを確実に跳ね返すなど相手に得点を与えない。攻撃陣は終盤に再三の決定機をつくりながらシュートミスや広島皆実GK神庭直輝の好守によって加点することができなかったが、最後まで攻め切って強豪対決を制した。

 試合経験の少ない1年生たちが真剣勝負によって貴重な経験を積むことができる「2013 NIKE LIGA NOVA U-16(NLNU16)」。広島皆実の折附俊介コーチは「(NLNU16は)他を知れるいい機会だと思います。(今後はまず)ディフェンスの引き上げ。ウチは『まずは守備から』ということがある」と語り、作陽の三好コーチも「自分たちで主導権を握って90分間戦うことについて言ってきました。それがきょうはできたと思う。(今大会の)前期は特に守備ができていなかったですけれど、(大会が進むにつれて)良くなってきた。あとはスピードや攻守においての1対1」と今後チームの主力に成長していく選手たちに期待していた。

 作陽の小林は「ドリブルには自信がある。みんなと共有しあってパスを重点的にやって、自分でも決められる選手になりたい。全国制覇を目指したいと思います」。1年生時に得た貴重な経験をそれぞれが活かして、一層の努力して目標達成に近づく。

(取材・文 吉田太郎)

TOP