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「今回は無欲の勝利」米子北が広島皆実振り切り、中国新人戦制す!

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[3.17 第6回中国高校新人大会 決勝 米子北高1-1(PK5-3)広島皆実高 広島県総合グラウンドメインスタジアム]

 17日、第6回中国高校サッカー新人大会の決勝戦が広島県総合グラウンドメインスタジアムで開催され、鳥取県新人戦6連覇中の米子北高と2年ぶりに広島県新人戦を制した広島皆実高が激突。1-1でPK戦までもつれた熱戦を米子北が5-3で制し、中国王者の座を掴んだ。

「ボールを持たれるのは分かっていたので、ウチはブロックを作りながらカウンターでチャンスを伺う事になると思っていた」という米子北・城市徳之監督の読み通り、開始から主導権を握ったのは広島皆実。DFラインから丁寧にボールを動かし、MF佐藤笑也丸川太誠の両サイドハーフの突破を起点に押し込んだ。だが、広島皆実は「両サイドが外に張りっぱなしだった事に加えて、ボランチが中の仕事を出来なかった」(藤井潔監督)ことによって、中央での組み立てに関与するためにFW俵脩造横路翔太の2トップが引いてプレーをする時間が長かった。サイドが高い位置までボールを運ぶも、ゴール前での迫力を欠き、前半のシュートはゼロに終わる。

 対する米子北は時間が経過すると共に主導権を奪い始めると、MF君垣隆義松本浩輝の両サイドによるカウンターから相手ゴール前に進出する機会が増加。後半からはFW定本佳樹を中心としたボール回しで広島皆実を押し込む時間を増やしていく。そして、後半18分に左サイドのスローインを受けた君垣が、粘りながらPA左にクロスを展開。走り込んだ定本がバックヘッドで合わせたシュートがGKの脇を抜けて、ゴールネットを揺らした。

 先制した米子北は「最後までやられる可能性はあると思っていた。今はまだ通過点なので、課題を見つけるためにもやられて良かった」と城市監督が説明していたが、CB北尾涼を前線に上げるなどパワープレーに出た広島皆実に防戦一方の展開に押し込まれる。それでも、DF鶴ヶ久保哲太嶋田遼允の下級生CBコンビを中心に耐えていたものの、アディショナルタイムに丸川の左CKをDF藤原大輔に決められ、1-1に追いつかれてしまう。

 米子北は前後半計20分間の延長戦に突入した後も果敢に押し込む広島皆実に攻め込まれたが、クロスバーに助けられるなど無失点で切り抜けた。決着が委ねられたPK戦で米子北のキッカー5人全員がきっちりと決めたのに対し、広島皆実は2番手のキックが失敗。5-3で広島皆実を振り切った米子北が中国王者に輝いた。

 2014年シーズンの門出を祝う栄冠となったが、米子北の城市監督は「今年はDFが下級生主体で厳しい一年になると新チーム結成直後から言い続けていた。今大会は良い経験が出来たし、成長も見られる部分が多かったが、今回は無欲の勝利。手の内を全て明かしてしまったので、プリンスリーグ中国はより厳しくなると思う」と苦笑い交じりに喜びを表した。

 一方、広島皆実は「県の新人戦を制し、選手たちに『自分たちは出来る』という過信があったと思うけど、相手に寄せられた時の弱さやグラウンドコンディションが悪い時の対応の甘さなど課題が見つかった。この時期に4試合も出来た上に、最後に襟を正すために頭をコツンとされたのは良かった」(藤井監督)と敗戦の中にも収穫を見つけるなど実りのある大会となった。

(取材・文 森田将義)

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