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[プリンスリーグ関西]ボクシング元世界王者の映像で“変化”学んだ大阪桐蔭

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[5.3 高円宮杯プリンスリーグ関西第5節 阪南大高 2-0 大阪桐蔭高 関西大一高高槻キャンパスサッカーG]

 プリンスリーグ関西連覇を狙う大阪桐蔭高は阪南大高との首位決戦を0-2で落とし、首位浮上のチャンスを逃した。立ち上がりからボールを握り、相手のラインを押し下げた大阪桐蔭は局面でダイレクトのパスを3本、4本とつないで打開を図った。また最終ラインから一本のパスで相手の背後を狙い、前を向いたFW奥田陽太やMF伊東怜惟が果敢にドリブル突破を仕掛けていく。また関西屈指の司令塔、MF久保田和音がわずかなスペースへスルーパスを通し、左SB神田瑛士郎のオーバーラップなどからチャンスをつくった大阪桐蔭だったが、相手GK日高康平やCB小松拓幹の好守などに阻まれて完封負けを喫した。

 永野悦次郎監督は「もっと仕掛けるアイディア、想像力を出さないといけない」と指摘。G大阪ユースやC大阪U-18といったJクラブユース勢を相手でも「練習試合ではある程度やれてしまう」(永野監督)が、公式戦では攻撃が一本調子になったり、見つかった課題を修正できなかったり、まだまだ個々の考え方が固く自分の持ち味、チームの良さを活かしきれていない。

 プロボクサーを目指してボクシングの名門・大阪帝拳ジムに所属していた異色の経歴を持ち、“アイディアマン”でもある永野監督はこの日、試合前にボクシング元ジュニアミドル級世界王者の輪島功一氏の現役時代の映像を選手たちに見せたという。しゃがみ込んでから、そこからカエルのように飛び上がってパンチを放つ「カエル跳び戦法」やパンチを打つフリをしてガードするなどトリッキーなスタイルで世界王者となった輪島氏の映像から、選手たちはリズムを変えたり、相手の意表を突く攻撃の効果を学んだ。この日は無得点で敗れたものの、後半、伊東がテンポを変えたドリブルで中央へ切れ込んでシュートを放つシーンもあった。今年は昨年のように打開力の優れた選手が不在だが、“変化”をいいプレーに繋げるシーンもあっただけに、これから始まる総体予選で個々がいろいろな考え、アイディアを表現することが期待される。

 この日の敗戦について指揮官は「インターハイへ向けていい雰囲気でできそう」と前向きだった。昨年はプリンスリーグ関西で優勝した一方、トーナメント戦では総体予選が8強、選手権予選が16強でいずれも敗れているだけに、気を引き締めて総体予選へ臨むことができそうだ。

(取材・文 吉田太郎)

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