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[プレミアリーグEAST]昨年王者・柏U-18は「強い」参入組・大宮ユースに「泥くさくやり切って」ドロー

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[4.11 高円宮杯プレミアリーグEAST第1節 柏U-18 0-0 大宮U-18 味スタ西]

「大宮は強いよ、本当に」

 高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦。前年度王者の柏レイソルU-18を率いる下平隆宏監督は、対戦相手の大宮アルディージャユースを最大級に評価していた。中学時代に実績を残してきた選手たちが最終学年を迎えたことに加え、チームを率いるのも彼らを中学時代から指導してきた伊藤彰監督。「彰さんのやり方はよく分かっているし、やりやすい」(MF山田陸)と語る大宮の精鋭が、チャンピオンチームに襲いかかった。

 柏と大宮は、共に4-1-4-1(4-3-3)のバルセロナ型フォーメーションで、ボール支配を重視するスタイル。似たもの同士のミラーゲームとなったが、それでも前半から一枚上回ったのは大宮だった。アンカーの山田、インサイドハーフのMF黒川淳史が中心となったボールを動かし、FW川田拳登を核とする「リーグで一番のアタッカー陣」(下平監督)が切り崩しに掛かった。

 もっとも、伊藤監督が「簡単に食い付いてくれればラクだったんだけれど、さすがレイソル」と評したように、ボールを動かされる流れになっても柏はじっと隠忍自重。我慢の展開の中で、「今日は本当に後ろ(守備陣)がよくやってくれた」(下平監督)と、この攻勢をいなし続ける。それでも40分、黒川がドリブルからのスルーパスで敵陣を切り裂いてみせたが、抜け出した川田は痛恨のシュートミス。絶好機を逸した。

 一方、柏も左ウイングの白川恵士朗、右ウイングの伊藤達哉、長身ストライカーの浮田健誠というこちらもリーグ屈指と思われる3トップを走らせて攻撃の糸口を探る。特に後半は何度かサイドを破るシーンを作ってみせたが、フィニッシュワークの段階で精度を欠いて得点には至らなかった。負傷明けの白川が「まだコンディションは戻っていない」(下平監督)状態で、本来のキレがなかったのも痛かった。

 やや大宮が優勢という状態で推移した試合は、終盤になっても均衡状態がなかなか崩れない。ただ、「最後はヘロヘロになった」と柏の指揮官が苦笑を浮かべたように、ゲームの主導権を握られる中で体力を削られた柏が自然とより劣勢になっていった。そして後半33分には黒川にゴール前で決定的なチャンスを与えてしまったが、ここはMF安西海斗が決死のブロック。最後まで集中を切らさなかった柏が、「力を振り絞って、レイソルらしくないけれど、泥くさくやり切って」(下平監督)、スコアレスロドローに持ち込んだ。

 スコアだけ耳にすると、チャンピオンが初戦で白星を逃したと思われそうだが、シュート数2対12という数字が示すように、大宮により大きな勝機があったゲーム。負傷者が続出するなど調整に不安が残る状況での開幕戦だったことも合わせて考えれば、下平監督が安堵の表情を浮かべたのも当然だろう。

 一方、大宮の伊藤監督は「勝ちたかった」と率直に悔しさをあらわにした。「去年、(参入戦を)勝ち上がった瞬間から想定している」と言う昇格即優勝に向けて、「よりアタックにブラッシュアップをかけていく」と決意を新たにしていた。

(取材・文 川端暁彦)
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