beacon

[プレミアリーグWEST]「強いサンフレユースを見せたい」V奪還目指す広島ユースが加藤陸3発などで白星発進!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[4.12 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 履正社高 2-4 広島ユース 万博記念競技場]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWESTは12日、第1節2日目の2試合を行い、3年ぶりの優勝を目指すサンフレッチェ広島ユース(広島)と初参戦の履正社高(大阪)との一戦は10番FW加藤陸次樹(3年)のハットトリックの活躍などによって広島が4-2で勝った。

 プレミアリーグ初年度の11年と12年にプレミアリーグWESTとチャンピオンシップを連覇している広島と、昨年のプリンスリーグ関西で14連勝を記録して優勝し、プレミアリーグ参入戦で静岡学園高、前橋育英高を撃破してプレミアリーグへ駆け上がってきた履正社。序盤、攻勢に出たのは履正社だった。前半5分、履正社は前線でボールを収めたFW林大地主将(3年)がターンからスルーパス。これで抜け出したFW菅原大空(3年)がGKをかわす。シュートまでは持ち込めなかったもののビッグチャンスをつくると、その後も10番FW牧野寛太(3年)や林中心に前へ出る力を発揮。球際でのチェックも厳しく、広島をやや押し込んで試合を進めた。27分にアンカーのMF小川達也(3年)が負傷退場するアクシデントがあったものの、29分には相手の背後を突いた林が縦パスから決定的なシュートへ持ち込んだ。

 広島の沢田謙太郎監督も「相当苦しかったですね。あれで失点していたら大変なことになっていたかなと思います。裏に蹴られて、走られて後手になっていたところがあって、自分たちの甘い部分がかなり出て失点してもおかしくない部分が何度もあった」と振り返る序盤。だが、辛抱強く守った広島は少ないチャンスをものにして流れを傾ける。前半36分、U-18日本代表候補MF長沼洋一(3年)が獲得した右CKを主将の左MF加藤威吹樹(3年)が左足で入れると、ファーサイドから飛び込んできた双子の弟、加藤陸がダイビングヘッドで合わせて先制。リードを奪った広島は39分にも「加藤ツインズ」のホットラインで2点目を奪う。中盤でDF2人の間を突破した長沼が左サイドへ展開。これを加藤威が左足でクロスを放り込むと、中央の加藤陸が打点の高いヘディングシュートで再びゴールを破った。

 2点リードして後半を迎えた広島は沢田監督が「期待以上にやってくれた。守備のカバーももうひとり(力安)と献身的にやってくれた」と評した1年生MF仙波大志とMF力安祥伍(2年)のサポートを受けた長沼が自由奔放なゲームメーク。相手が食いつけばダイレクトで叩き、しなやかな動きのドリブルで局面を打開する。そして右MF前田武勇(3年)や加藤陸を活用しながら3点目を狙う。そして17分、広島は加藤陸のスルーパスで左サイドを抜け出した長沼がカバーしたDFを外してラストパス。中央でDFのクリアミスを逃さなかった交代出場FW満田誠(1年)がゴールへ押し込んで3-0とする。さらに23分には中盤でのインターセプトから長沼が左足でDFの背後へループパス。飛び出したGKよりも先に頭でコントロールした加藤陸が最後は浮き球を右足でゴールへ押し込んでハットトリックを達成した。

 スコアほどの差を感じさせない戦いを見せていた履正社だったが、まさかの4点ビハインド。平野直樹監督は「非常に硬かった。こういうゲームをなくしていかないといけない。結果は90分後に出るのでどうせ出るならトライして、自分がどれだけできる、できないを発見した上で次のゲームにもっていければいいけれど、相手をリスペクトしすぎた。きょうは尻もちついた倒れ方だったかな。どうせ倒れるなら前向きに倒れないとね」。SBが積極的にゲームメークに参加できず、ルーズボールを拾えなかった試合を残念がった。
 
 それでも履正社は終盤に意地は見せた。35分、牧野が中央から右サイドへ出した絶妙なスルーパスを起点に、攻撃参加した右SB清水遥生(2年)のクロスが相手のハンドを誘ってPKを獲得。これを牧野が左隅へ沈めて1点を返すと、41分にはMF田中駿汰(3年)が豪快な右足ミドルを叩き込んで2点差とする。そして44分には左サイドからDF4人を振り切って切れ込んだFW西村光明(3年)のラストパスをFW澤島輝(2年)が決定的な右足シュート。主将のCB安田拡斗(3年)やMF川畑隼人(3年)を欠いた中で健闘した履正社だったが、プレミアデビュー戦は黒星がついた。

 一方、勝った広島の沢田監督は「紙一重の展開であれを(勝利へ)持ってくるのは選手が逞しかった。まだまだ甘い部分がある。でも発展途上のチームだと思っているので」と期待する。就任1年目の沢田監督の下、トレーニングから球際の激しいプレーを繰り返し、逞しさが身に着いてきている広島。11年、12年に連覇したあと、一昨年は3位、昨年は8敗を喫して6位へと沈んだが、選手は今年復活Vへの意欲を口にする。長沼は「強いサンフレユースを見せたいなと思いますね。日本一をずっと取ってきたり、強い時代があったので。代表に行った時、『サンフレユースの時代終わったな』と他のチームの選手から言われて。内心凄く悔しくて。今年こそは自分たちの代なので見返したいと思っています」。課題を改善して1試合1試合自分たちの良い部分を出して広島らしく最後まで相手に食い下がり、そして勝負強さを発揮して勝ち点を積み重ねる。

[写真]後半23分、広島ユースは加藤陸次樹が右足で押し込んでハットトリック達成

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
2015プレミアリーグWEST

TOP