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[プリンスリーグ中国]過去5年で3度全国総体4強!夏の「全国制覇」掲げる立正大淞南が持ち味発揮して3発快勝!

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[6.25 高円宮杯プリンスリーグ中国第6節 大社高 1-3 立正大淞南高 島根県立浜山公園補助競技場]

 全国高校総体の組み合わせが発表された25日、昨年を含めて過去5年の全国総体で3度4強入りしている立正大淞南高(島根)が高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ中国第6節で島根県内のライバル・大社高と対戦。FW梅木翼(3年)の2ゴールとMF井上健太(3年)のゴールによって3-1で勝った。

 コーナー付近に置かれていた人工芝がめくれ上がるほどの強風の中で行われた一戦。立正大淞南が持ち味を発揮して勝利した。風上の前半は相手を押し込んだものの、強すぎる風によってボールが流れ、上手く攻め切ることができず。逆に大社に攻め返されてFW豊田力(2年)や10番MF田中成一(3年)に高い位置でボールを収められると、2年生レフティーのMF曽田一騎にミドルシュートやPAへのパスを通されるシーンがあった。それでも26分、エースが流れを変える。自陣からCB西谷泰賀(3年)が蹴りこんだFKを「流れも良くなかったんで触らないといけないと思っていた。良いボール蹴ってもらったんで自分は触るだけでした」という182cmFW梅木がDFに競り勝ち、距離の長いヘディングシュートで決めて先制した。

 直後にも注目の182cmMF林尚輝(3年)のスルーパスで抜け出した梅木がビッグチャンスを迎える。先制した立正大淞南は間髪入れない攻撃の連続。彼らはサイド、前線にボールが入ってからの仕掛けのタイミングが本当に速い。味方のサポートを待つことなく、すぐに縦へのドリブルを繰り出し、スペースへのパスを狙うなど、相手DFに考える間、休ませる間を与えなかった。右MF栗本優大(3年)やMF大島拓登(3年)が次々と仕掛ける中で特に目立ったのが、南健司監督が「あの位置で一人で剥がせる。普段はもっとドリブルする」という井上。大島とともに2シャドーを務めた背番号29のドリブラーは対面のDFを剥がしてPAへ切れ込んだ。

 37分には右CKの流れから最後は大島からPA中央でラストパスを受けた井上が、コントロールでDFを外して右足シュート。2-0とすると、直後にも左MF梶浩暢(3年)と梅木が立て続けに決定機を迎える。だが、ここで決めることができず。右SB澤田拓実主将(3年)は「前半決めれるところもいっぱいありましたし、最後のところこだわってやらないと、全国では1点に泣くと思うのでもっと徹底してやらないといけない」と指摘。その言葉通り、後半は風上に回った大社の反撃を受けることとなった。大社はCB桑田大貴(3年)や曽田がサイドへ配球。ハイサイドへボールを運ぶと、田中の仕掛けやPAまで駆け上がってくる左SB石川健太主将(3年)、後半から投入された俊足MF米原真瑛(3年)がゴールへ迫った。
 
 だが、立正大淞南は澤田らがインターセプトした勢いで一気に前へ駆け上がるなどカウンターでやり返す。また相手SBの背後へボールを通し、サイドから井上がワンツーでPAへ侵入しようとするなど風下からもゴールに迫って見せる。そして30分、後半から左サイドに入ったFW泉勇也(3年)がアーリークロス。一瞬の動きで前に出た梅木がファーサイドから豪快な右足シュートを逆サイドのネットへ叩き込んだ。

 ベンチから「競れって全員!」と声の飛ぶ立正大淞南は球際の攻防で上回り、また身体能力高い西谷と國脇楽生(3年)の両CB、台頭した左SB岩本竜夢(3年)、そしてゴール前のスペースを消す163cmGK宮嶋岳(2年)が得点を許さない。積極的に4点目を狙い、サイドからの攻撃で決定的なシーンをつくり出す。だが大社はGK矢野優雅(2年)が好セーブを連発。そして左サイドの田中、石川中心に何とか1点を狙い続けるとアディショナルタイム、FW青木亮輔(3年)の中央突破から左の石川がクロス。これを豊田がゴールへねじ込んで意地の1点を返した。

 好チーム・大社をねじ伏せた立正大淞南だが終盤、隙ができて連続攻撃を許した中での1失点。プリンスリーグではここまでの6試合中5試合で失点しているだけに、澤田は「守備が絶対に緩くなってくる。一人ひとりが束になって、2回、3回と行けないと全国では通用しないと思います」と語り、梅木も「(大社は)力のないチームだとは思っていないんで。それよりもっと自分たちも行かないといけない」と厳しかった。目標は4強の壁を突破して全国制覇。それだけにまだやらなければならないことがたくさんある。昨年、全国総体準決勝で昨年度全国2冠の東福岡高と対戦した経験を持つ澤田は「去年は全然淞南走れたんで、走れると実感したんですけど、一個一個のパス、精度が全然違うなと思いました」。まずは昨年のチームのレベルに追いつき、それ以上のチームになること。本人たちは個の部分で昨年に比べて劣ると感じているようだが、個性的なタレントたちがおり、また南監督は「個がないと思っているところに伸びしろがあると思う」と期待する。個々が成長し、より自分たちの武器を発揮する力を身につけて全国王者との差を埋める。

 梅木は「全国大会も自分たちのやっている縦に速いサッカーと、前からのプレスで相手を圧倒して勝ちたいと思っています」。全国制覇を目指すチームは全国総体で2回戦からスタート。初戦はプレミアリーグ勢の青森山田高とプリンスリーグ東海の中京大中京高の勝者との対戦で、いきなり大一番を迎えることになった。ブロックには星稜高や米子北高、徳島市立高といった強豪校も同居するが、“山陰の雄”から全国トップクラスの強豪となっている立正大淞南が特長を出し続けて頂点まで駆け上がる。

[写真]前半26分、立正大淞南はFW梅木が先制ヘッド

(取材・文 吉田太郎)
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