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[新人戦]1年後の選手権制覇のために、連戦勝ち抜く決意の尚志がまずは会心の初戦突破

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シュートを狙う尚志高FW中井崇仁主将。「全国制覇するようなチームづくり」を掲げる

[1.28 東北高校新人選手権1回戦 新屋高 0-3 尚志高 相馬光陽サッカー場B]

 第16回東北高校新人サッカー選手権大会1回戦が28日に行われ、尚志高(福島1)と新屋高(秋田1)との一戦は3-0で尚志が快勝した。尚志は29日の準決勝で山形南高(山形2)と戦う。 

 前半、下級生時からレギュラーを務めるMF松本雄真(2年)をアンカーに配置した4-1-4-1システムを組んだ尚志がポゼッションスタイルの新屋の攻撃を封鎖。「チームのことを思って自分が率先して声かけたり行動したりすることは心がけています」という責任感強い1トップの主将、FW中井崇仁(2年)を筆頭にハイプレスを敢行して、相手を狭いスペースへ追い込んでいく。

 そして、高い位置でのボール奪取から攻撃に移り、左SB沼田皇海(1年)の左足ミドルなどでゴールへ襲いかかった尚志は、10分にその沼田の右CKを松本が頭で合わせて先制点を奪う。さらに17分にはMF加瀬直輝(1年)の右足ミドルが決まって2-0となった。

 その後も松本やMF長谷秀皐(2年)を中心としたパスワークから加瀬の鋭いドリブル、クロスなどによってPAまでボールを運んだ尚志は前半だけでシュート13本を打ち込む思い通りの展開。対する新屋は個で相手の守りを剥がすMF大山悠斗(2年)や10番FW門間陸を中心とした攻撃で反撃する。敵陣でも積極的にパス交換にチャンレンジし、DFの背後までボールを送るシーンもあったが、風上の後半は尚志がダブルボランチを組んできたこともあってか、ラストパスの前の段階で精度を欠くなどシュート数を増やすことができない。

 逆に中央、サイドから攻める尚志は後半終了間際にもDF宗方司の左クロスをファーサイドの加瀬がゴールへ押し込んだ。尚志の2年生は1年時に各地域のU-16チームの優勝校などが集まって行われたU-16全国交流大会で優勝している世代で、現1年生も昨年9月に開催された“全国大会級”のU-16大会、newbalance CHAMPIONSHIP U-16で準優勝。今大会は昨年から10番を背負うMF加野赳瑠(2年)や期待のFW伊藤綾汰(1年)が不在だが、期待値高いチームは会心のゲーム運びで初戦を突破した。

 今年は仲村浩二監督が日本高校選抜のコーチを務めるため、春までは主に西田潤コーチがチームを指揮を執るという。この日の試合について西田コーチは「取られ方が危ない場面もあったんですけど、余計なファウルをしたり、CKにしたりしないとか、何をしなければいけないか選手たちが理解していた」と納得の表情を見せていた。強風の中、選手たちがやるべきことを表現しての3-0勝利。選手たちは準決勝も突破して決勝で“ターゲット”青森山田高と戦って勝利することを臨んでいる。

 主将の中井は「同じ東北の雪国の(青森)山田さんが全国制覇したということで、ウチも全国制覇するようなチームづくりをしていかないといけない。今回の決勝で山田さんに勝って、優勝したい」ときっぱり。技術、体力を磨くことはもちろん、選手たちはその差を埋めるために声出し、挨拶、靴の並べ方など細かい部分からこだわってチームを向上させようとしてきた。

 全ては1年後の選手権で全国制覇するため。1年後の全国高校選手権は2回戦と3回戦が2日連続、中1日で準々決勝と準決勝が2日連続という過酷な日程になる予定だ。そのトーナメント戦、連戦で勝つチームになるために、この新人戦も決勝までの3連戦を勝ち切ること。そして西田コーチが「まずインターハイで勝てないと冬は勝てないと思っているので。どんな形でも勝ち切る」という夏を越え、冬に目標を達成する。

(取材・文 吉田太郎)

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