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[新人戦]新生・青森山田が東北決勝進出!序盤からの攻勢見せた一方で「継続」という課題も

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前半14分、青森山田高はMFバスケス・バイロンが決めて2-0

[1.29 東北高校新人選手権準決勝 青森山田高 2-0 仙台育英高 相馬光陽サッカーA]

 第16回東北高校新人サッカー選手権準決勝が29日に行われ、16年度のプレミアリーグと全国高校選手権で優勝している青森山田高(青森1)が仙台育英高(宮城1)に2-0で勝利。青森山田は30日の決勝で尚志高(福島1)と戦う。

 試合前から相手を飲み込むような、青森山田らしい雰囲気作りができていなかった前日から一転。この日の青森山田は良い雰囲気で試合に臨み、立ち上がりから仙台育英を凌駕した。7分、FW三国ケネディエブス(1年)の左クロスからMF佐々木友(2年)が頭でゴールへ押し込んだシュートはオフサイドの判定でノーゴールに。それでも10分、MFバスケス・バイロン(1年)の右CKをニアへ頭から飛び込んだ10番MF郷家友太(2年)が決めて先制した。

 主軸CB後藤万輝(2年)や左MF貝森海斗(2年)が初戦の負傷によって欠場した仙台育英も13分に抜け出した10番MF佐藤圭太(2年)がチャンスを迎えたが、ゴールに結びつけることができず。逆に14分、青森山田はGK坪歩夢(2年)を起点に高速カウンターを発動。中盤でポイントを作ったMF檀崎竜孔(1年)を郷家が追い越す形で抜け出してGKと1対1となると、最後はGKを引きつけて出したパスからバイロンが左足で決めて2-0とした。

 主将のCB小山内慎一郎(2年)が「昨日の試合で立ち上がり悪いという課題が出てきたので立ち上がり改善して15分、20分は行こうと話していた」という言葉通りの青森山田の攻勢。球際の攻防、切り替えの速さ、そしてセットプレーでも相手を上回って2点をリードした。青森山田はその後もサイド攻撃から郷家らが決定的なシュートを放つなど3点目を狙う。一方、仙台育英もキープ力高い佐藤圭を起点に反撃。17分にはMF千葉奨(2年)の右クロスからMF辻賢邑(2年)がヘディングシュートを放つ。

 そして、後半は仙台育英がペースを握った。3分に佐藤圭の強引な仕掛けからドリブルシュートを打ち込み、9分にも右SB石川巧実主将(2年)の右クロスからMF伊藤大貴(2年)がヘディングシュート。失敗を怖れずに攻守において積極的にチャレンジする仙台育英は青森山田のミスを誘い、佐藤圭やFW佐藤一輝(2年)がインターセプトから一気にPAまでボールを運んでみせる。

 青森山田のGK坪は「自分のキックの精度も原因なんですけど、その後のセカンドボールの反応も相手の方が速かったし、奪われ方が悪かった。自分たちの走力が足りなかったですし、戦う気持ちとか相手の方が上回っていたところがあったので、メンタルの部分とかを改善しなければいけないと思う」と反省。一方、仙台育英は城福敬監督が「ハーフタイムによく変わったなと思った」と振り返ったように、0-2で終えた前半から切り替えて後半は好守からチャンスもつくった。だが、青森山田はMF安藤駿(2年)らが味方のミスを的確に補い、自陣でボールを失っても決定打を打たせない。仙台育英はクロスこそ上げるものの、対応の良さ光るGK坪や中央へ絞った両SBにクリアされるなど最後まで1点を奪うことができず。青森山田が2-0で勝って決勝へ駒を進めた。
 
 2冠王者が決勝進出。それでも試合後の選手たちに満足感はなかった。今大会、黒田剛監督に代わって指揮を執る正木昌宣コーチは「終わった後もしゃべったのは『良かったのは15分だけだよ』と。それ以外の55分間は仙台育英の方が走っていたし、戦っていた。きょうはウォーミングアップから15分までは良かった。セットプレーとカウンターから得点して崩しの中でも決定機があったので良かったけれど、継続ができない」。昨年から主軸の小山内も後半に集中力を欠いたようなプレーがあり、厳しく指摘されていた。

 青森山田は3年前、プレミアリーグで70分までは内容の良い試合をするものの、終盤に失点して勝ち点を失うことが続く苦しいシーズンがあった。その反省を活かして昨年、一昨年は終盤の勝負強さをウリにするチームとなったが、新チームは継続性を欠いた試合が続いてしまっている。小山内は「70分間徹底できる継続度がないと思います。去年から出ている自分が集中力切らした部分とかあって。それが課題であるんですけど、後ろから引っ張っていかないといけないのに、自分の集中力や継続度が欠けたからこういう試合になったのかなと思います」と反省した。

 雪の青森から25日に遠征に出て以降、連日3時間のトレーニングを行い、この日も試合直後に選手たちはピッチサイドを繰り返しダッシュ。新人戦で勝つだけでなく、将来へ向けた鍛錬の時間も同時に過ごしているだけに、疲労感があることは間違いない。それでも、この日のような試合を繰り返してはならないことは選手たち自身が理解している。先輩たちに続いて自分たちも全国制覇を目指す新生・青森山田は課題をしっかり反省、改善し、決勝では継続性高いプレーで勝利し、新チーム初タイトルを勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)

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