[8.24 ミズノカップ御殿場準決勝 熊本国府高 0-2 日本航空高 時之栖うさぎ島G]

　後半11分にカウンターから先制点を奪われると、熊本国府高の佐藤光治監督は「このシチュエーションは星翔と一緒だぞ!」と選手たちに声を掛けた。

　0-1。それはインターハイ予選準決勝で熊本国府が東海大熊本星翔高に敗れたスコアだ。2年連続全国出場を阻まれた試合と同じシチュエーションで何ができるか。1点を取り返すことができるのか。だが、この試合では追いついて、逆転ではなく、逆に突き放されて0-2で敗戦。指揮官の期待に選手たちは、まだ応えるができなかった。

「取りに行くとなって判断が悪くなっている。最後まで見失わずにチャンスを作れるようにならないと」(佐藤監督)。今回のミズノカップ御殿場で熊本国府は先発メンバー、布陣、交代選手まで選手たちが決めていたという。関東勢との厳しい戦いが続く中、彼らは自覚を持って優勝を奪いに行ったが、勝つことはできなかった。

　注目エース、MF井手口凌我(3年)は「総体からと比べたら、自分たちもボール回すのに自信持てている」と口にする。これまでのロースコアでしぶとく勝つチームから、攻撃で主導権を握るチームへと変化。また、4-1-4-1、3-5-2、4-4-2と相手によって布陣を変えて戦えるようになったと感じている。加えてビハインドを負っても、自分たちを見失わずに跳ね返す逞しさを加えること。大津や東海大星翔、ルーテル学院高など強豪揃いの熊本予選を勝ち抜くためには攻守ともにレベルアップしなければならない。

　この日、鋭いドリブルを繰り返し、個人としても注目集まる井手口は選手権へ向けて「GKにとってシュートが一番イヤだと思う。ファーストタッチが上手く行ったらシュートを狙っていく。ロングシュート狙っていって、無理ならばリターン受けて、周りを上手く使ってシュートまで持ち込みたい」と語り、「(チームとしては)得点しながら失点ゼロで勝って行く試合ができたらいい」と意気込んだ。目標の選手権出場を果たすために個人、チームが課題を持って取り組み、成長して激戦区を制す。

(取材・文　吉田太郎)