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日本高校選抜候補は大体大に逆転負けで選考合宿終了。1本を決めきる、守りきるチームとなって欧州へ

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1本目18分、FW田中雄大(桐光学園高、左端)のゴールを喜ぶ日本高校選抜候補イレブン

[1.21 練習試合 日本高校選抜候補 1-2 大阪体育大]

 19日から大阪府内で選考合宿を行っていた日本高校選抜は合宿最終日の21日、大阪体育大と練習試合(30分×2本)を行い、1-2で敗れた。日本高校選抜は3月末からの欧州遠征で第56回デュッセルドルフ国際ユース大会に出場する。現在の候補選手30名から20名強まで絞り、2月10日の「NEXT GENERATION MATCH」(埼玉) や第33回静岡県ヤングサッカーフェスティバル(3月11日、草薙陸)に臨む予定。そして、最終登録メンバー18名で欧州遠征を実施する。

 平野直樹監督(履正社高)は大体大戦後に「普段とは違うポジションができることだったり、複数ポジションができることだったりは大切。彼らはトライして色々な良さを出してくれたと思います。色々な可能性もそうですし、こちらとしても選択肢が広がったと思います」とコメントした。

 合宿最終日は当初予定されていた紅白戦から30分×2本の練習試合へ変更。ポジション適正の見極めのため、チームとは異なるポジションで臨んだ選手もいた。その中で、ほとんどの選手は30分1本の出場時間でこの1本に集中し、試合終了まで全力でアピールをしようとしていた。

 前日のトレーニング後に選手権優勝校・前橋育英高の5選手が優勝パレード出席のために離脱。負傷を抱えるMF 梅津凌岳(京都橘高3年)は練習試合出場を見送ったものの、残り22名が“選考ゲーム”に臨んだ。

 1本目はGKが松田亮(東福岡高2年)で4バックは右から宮本優太(流通経済大柏高3年)、蓑田広大(青森山田高3年)、石井優輝(昌平高3年)、佐藤拓海(青森山田高3年)。中盤は菊地泰智(流通経済大柏高3年)と稲見哲行(矢板中央高3年)のダブルボランチで右SH青木真生都(東福岡高3年)、左SH檀崎竜孔(青森山田高2年)、2トップは佐藤颯汰(日章学園高3年)と田中雄大(桐光学園高3年)がコンビを組んだ。

 前半12分、大体大FWに抜け出されたものの、ここは懸命に戻ったDFのサポートもあってGK松田がファインセーブ。ピンチを逃れた高校選抜候補は前線からの連動した守りの中で、稲見が身体を投げ出してのタックルで突破を阻み、石井が落ち着いたカバーリングを見せるなど相手に決定打を打たせない。

 すると18分、高校選抜候補は中央から右サイドへボールを運ぶと、宮本のスペースへのパスからタイミングの良いランニングでDFを振り切った青木がクロス。これを田中が頭で合わせて先制した。

 20分に松田をGK薄井覇斗(流通経済大柏高3年)へスイッチした後の22分には抜群の高さを発揮していた蓑田が負傷交代。MF松井蓮之(矢板中央高3年)を最終ラインに投入して対応した高校選抜候補は佐藤拓の攻撃参加や、佐藤颯がしなやかなドリブルでDFをいなして右サイド打開するなど大体大ゴールに迫る。また、的確な守りで相手の反撃を断ち切って1-0で1本目を終えた。

 2本目の先発はGKが薄井、4バックは右から石川貴登(流通経済大柏高3年)、嶋中春児(長崎総合科学大附高3年)、稲見、大森大地(帝京大可児高3年)。中盤は松井と井上怜(市立船橋高2年)のダブルボランチで右SH荒木駿太(長崎総合科学大附高3年)、左SH田中、2トップは圓道将良(旭川実高3年)と福元友哉(市立船橋高3年)がコンビを組んだ。

 開始3分に福元が左オープンスペースから仕掛けてシュートまで持ち込んだものの、8分に中途半端な守りの隙を突かれて失点。10分に薄井とGK濱田太郎(初芝橋本高、3年)が代わった後、後方から丁寧にボールを繋いで攻める高校選抜は井上と田中のコンビネーションなどから再び勝ち越しゴールを目指すが、要所を締める相手の前になかなかゴールに近づくことができない。

 23分、稲見と田中に代えて石井、佐藤颯を投入した高校選抜候補は26分にシュートのこぼれ球を押し込まれる形で失点。27分には井上のループパスに福元が反応したがシュートはGKに阻まれ、30分には抜群のスピードで右サイドを突破した圓道がシュートまで持ち込んだものの、決めきることができない。終了間際にも荒木の仕掛けからチャンスが生まれたが、同点に追いつくことができなかった。

 平野監督は終盤押し込みながらも決められずに1-2で敗れた試合後、選手たちに対し、「あそこで決めれるチームになるのか、惜しいチームで終わるのか。勝てるチームかそうでないか。ちょっとのところを変えないと今後のサッカー人生が変わってこないし、日本のサッカーも変わってこない」とメッセージ。ミーティング後、この言葉について「今から意識してもっと速く、もっと正確にと日々意識してやらないと身につかない。言われてからじゃなくて、言われる前に彼らが気づかないといけない。(次回の合宿で)呼ぶ子も、呼べない子もいるけれども、ここから何か持ち帰ってくれればいい」と加えていた。

 1本のシュートを決められるかどうか、守れるかどうかで人生が変わる可能性がある。宮本は「監督が言っていたことは、日本のサッカーの課題なので、それを自分たちの代で少しずつ、少しずつ変えていかないといけない。チーム全員で取り組んでいかないといけない」。今後、欧州遠征へ向けてメンバーは絞られていくが、選手たちは指摘された言葉を胸に、1点を決めきる、守りきるチームを目指して取り組んでいく。

(取材・文 吉田太郎)
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