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三菱養和SCユース、9年ぶり東京制覇!! FC東京U-18に続き、東京Vユースにも完封勝利

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9年ぶり優勝を果たした三菱養和SCユース

[2.11 東京都クラブユース選手権決勝 三菱養和SCユース 2-0 東京Vユース 味フィ西]

  第19回東京都クラブユースサッカー(U-17)選手権大会は11日、味の素フィールド西が丘で決勝戦を行い、三菱養和SCユース東京ヴェルディユースが対戦した。堅守を見せた三菱養和が2-0で勝利し、2009年大会以来9年ぶりの優勝を果たした。

 三菱養和は4日に行われたグループリーグ最終節のFC東京U-18戦(○4-0)に続いて、2試合連続でJユースの強豪を破っての王座奪還となった。増子亘彦監督が「調子に乗っちゃうヤツが多いので締めてきました」と話したように、大勝の次試合にも油断した様子はなし。東京Vのパスワークにも「スペースを与えず守ることができた」と満足のいく内容となった。

 もっとも、序盤は相手攻撃に食いつく場面が頻発し、危険なピンチをつくられることもあった。それでも「前から行っても取り切れないから、ステイすることにした」(MF冨久田和真、2年)とピッチ内の話し合いで守備システムを変更。その結果「前半10分からは落ち着いて対応できた」(増子監督)という流れをつかんだ。

 すると前半36分、三菱養和がビッグチャンスを呼び込む。左サイドを攻め上がったDF廣川虎太郎(2年)がクロスを送り、ファーサイドでFW栗原イブラヒムジュニア(1年)が頭で落とす。こぼれ球に反応したMF林壮真(2年)、FW勝浦太郎(2年)が立て続けにゴールを狙った。

 そして直後の前半37分、ついにスコアが動く。相手DFのシュートブロックで獲得したCKの流れから、右サイドをDF宮嶋俊弥(2年)が切り込んでクロス。PA内でボールを受けた栗原が左に持ち出して、低い弾道の左足シュートを狙うと、ボールはGK佐藤篤輝(1年)の脇をすり抜けゴールへ吸い込まれた。

 前半を1点ビハインドで終えた東京Vは「緊張感なのか、気負いなのか、『サッカー』ができなかった」(永井秀樹監督)という今ひとつの出来。そこで「相手のラインが高かったので裏に抜ける」という狙いを共有し、FW松橋優安(1年)を投入した。また、MF山本理仁(1年)をアンカーに配置するなど、布陣にもテコ入れを施した。

 すると、東京Vが徐々にペースを取り戻していく。後半20分、DF綱島悠斗(2年)のロングボールのこぼれ球から松橋がシュート。これは相手DFに阻まれたが、その後も中盤で山本が違いをつくり、前線とアンカーの役割を自在に担ったMF森田晃樹(2年)を中心に攻撃の糸口を探った。

 ところが後半30分、カウンターから三菱養和が追加点を奪う。右サイドを突破した宮嶋がファーサイドに鋭いクロスを送ると、左サイドから走り込んだFW宮本康生(2年)がドンピシャのヘッド。華麗にゴールネットを揺らし、東京都覇者に向かって大きく前進した。

 東京Vは後半39分、山本がボール奪取から単独突破で攻め込み、スルーパスを送るも味方に通らず。同41分には山本のキープからMF三浦雅人(2年)が右サイドを抜け出し、クロスに松橋がスライディングで合わせたが、ボールは無情にも大きく上に外れた。試合はそのままタイムアップを迎え、4年ぶりの優勝を果たすことはできなかった。

「もう一回やれたこと、やれないことを整理してリーグ戦に臨みたい。結果に左右されずにやっていく」。試合後、増子監督は優勝という結果に過度な喜びは見せなかった。あくまでも目標はプリンスリーグ関東で上位に食い込み、プレミアリーグ昇格をつかみ取ること。「一つ間違えればとんでもない方向に行く。連敗した時でもぶれずに信じてやれるような選手になってほしい」と一喜一憂しないことを強調した。

 もっとも、この試合ではFC東京戦でも得点を挙げ、チームのまとめ役として「なんだかんだで引っ張って行ける子」(増子監督)というMF松川隼也主将(2年)がインフルエンザで欠場。指揮官は「もしここで負けてしまえば彼に何か言われるでしょうから、選手たちは何としても負けるわけにはいかなかった」と密かな“勝利の価値”も明かしてくれた。

 一方、敗れた東京Vの永井監督は「前半が全て」と敗因を分析。「パスの本数が少なかった。おそらく前半は200本くらいだったが、400本はほしい。まだまだ改善の余地がある」とチームコンセプトであるパスワークの課題を指摘すると、「決勝だろうが変わらずにやれないとダメ」と心理面の向上にも注文をつけた。

「綺麗ごとかもしれないが、良いサッカーを追求し続けることが大事。それによって色んなこと(結果、選手の成長)がついてくる。頭の中を変えて、自分たちが新しいサッカーを作っていこうというところ」(永井監督)。昨季6位に終わったプリンスリーグ関東の今季開幕戦は、この決勝戦と同カードになる見込み。残り2か月弱、自らのスタイルに磨きをかけて、リベンジマッチに臨んでいこうとしている。

(取材・文 竹内達也)

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