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九国大付の注目エースFW吉田晃盛、仲間に求める「ワンチャンあるプレー」でゴール演出

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九州国際大付高のエースFW吉田晃盛主将は3点目を演出した

[9.25 高円宮杯プリンスリーグ九州第13節 国見高 1-3 九州国際大付高]

 注目ストライカーにとって、満足できる内容ではない。だが、九州国際大付高(福岡)のエース、主将を担うFW吉田晃盛(3年=小倉南FCジュニアユース出身)は仲間に求めている「ワンチャンあるプレー」で勝利に貢献した。

 2-1の後半41分、吉田は中盤中央を独走したMF辻澤賢(3年)のスルーパスに反応。ボールに届くかどうか、またシュートコースもほぼ無い状況で背番号14が選択したのは、“自分が犠牲になること”だった。

 身体を張ってゴール前にボールを残すプレー。右でサポートするFW石松涼(3年)の姿も見えていたという。結果、狙い通りに残ったボールを石松がゴールへ押し込み、2点差となった。吉田は「チームのみんなに『無理な時にワンチャンあるプレーをしろ』と言っている、それができた」。もちろん、自分が決めたい気持ちがあったが、強引に打って弾かれるよりも「ワンチャンあるプレー」を優先。勝利に繋がった1プレーを主将は喜んだ。

 プリンスリーグ九州で得点ランキング2位の7得点。注目FWは、決定力の高さと「何でも平均以上にできる」ことが武器だと自己分析している。特別な上手さを備えている訳ではないが、「上手い選手はゴロゴロいるので、他の人にはない泥臭さや貪欲さをやった上で上手くなれるように努力している」。この日は無得点だったが、ボールを持つとゴール方向へ力強く向かう動き。そして、ミドルシュートを打ち込んだ一方、コンビネーションで味方を活かそうとしていた。

 強い気持ちは時に空回りしてしまうこともある。一方で、チームが上手くいかない時にいち早く声を発して仲間を落ち着かせたり、鼓舞したりしている姿が印象的だ。江藤謙一監督も「チームのために、こうしよう、ああしようというのが出てきた」と頷く。主将の人間的な成長とともにチームも向上中。吉田は「最後は気持ちの部分だと思っている。メンタル面でキャプテンとして支えて、自分のメンタルも強気で行こうと思っています」と力を込めた。

 昨年度の選手権予選決勝・東福岡高戦の悔しさは忘れていない。下級生時から主軸だった吉田は、前半に得たPKのチャンスでキッカーに立候補。だが、右足シュートはわずかに枠左へ外れた。先制のチャンスを逸したチームは健闘したものの、後半終了間際の失点によって0-1で敗戦。吉田は「(PKのシーンは)キャプテンの森喜大君が、自分が来年ああいう状況になっても良いように譲ったと言っていたので、今年、ああいう場面になった時にきっちりと決めて流れを持っていけるように」と誓う。

 高校卒業後は九州を離れ、強豪大学へ進学予定の注目FWは、目標のプロ入りのために「また歯を食いしばって頑張る」覚悟。その前に、必ず九国大付を全国へ導き、歴史を変える。
 
(取材・文 吉田太郎)
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