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「サンフレッチェっぽく全員で戦えた」広島ユース、5度目のプレミアWEST制覇!

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サンフレッチェ広島ユースが粘り強い守備によって1-0で勝ち、プレミアリーグWEST制覇

[12.5 高円宮杯プレミアリーグWEST第18節 C大阪U-18 0-1 広島ユース 南津守さくら公園]

 5日、高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグ2021 WEST第18節が行われ、6位のセレッソ大阪U-18(大阪)と首位のサンフレッチェ広島ユース(広島) が対戦。前半4分に奪ったFW棚田遼(3年)のゴールを守り切った広島が1-0で勝利し、3年ぶり5度目のWEST優勝を果たした。

 今季のプレミアリーグはEAST、WEST共に全試合消化が難しく、平均勝ち点で順位を決めることになったが、広島ユースは全18試合を無事消化。2位以下のチームが中止となった試合全てをこなしたとしても、広島の勝ち点を上回る事は出来ず、強さを証明する一年になった。

 優勝の原動力となったのは、粘り強い守備であるのは間違いない。「自分たちはボールを保持して、ゲームを作るというのもあるのですが、守備から入っていくというのが自分たちの特徴」と話すのは、MF西村岳(3年)だ。昨年のMF竹内崇人(現・筑波大)のような一人で試合を決められる選手はいないが、「チームで戦おうという想いは全員が持っている」(DF光廣健利、3年)ことが特徴。光廣は「個人で獲ったタイトルというよりも、チームで獲ったタイトルかなと思います」と続ける。

 引き分け以上で優勝が決まるC大阪との一戦も、今年の広島ユースらしさが存分に出た試合だった。開始4分にMF藤野和樹(3年)からのパスをPA左で受けた棚田の思い切りの良いシュートが決まって先制したが、そこからは終始C大阪のペース。テンポよくパスを繋ぐ相手を前から捕まえようとしたが、思い通りにボールが奪えず、途中からは我慢強いブロックでの守備に切り替えた。

 ただ、西村が「セレッソさんがボールを回すのが上手いのは最初から分かっていたので、間を締めつつ外に逃がしながら、ボールにはしっかり行こうと意識していた」と振り返った通り、持たれた状態での守備は狙い通り。37分にはFW木下慎之輔(2年)にゴール前へ抜け出されたが、DF豊田将大(3年)がしっかり並走。シュートもGK波多野崇史(3年)が足で止めて、1-0で試合を折り返した。

 後半に入ってからも持たれる時間は続いたが、粘り強い守備からカウンターや西村のCKから見せ場を作った。後半9分には左サイドに開いた西村がゴール前にクロス。ファーのFW森夲空斗(3年)がヘッドで落としたボールをMF笠木優寿(2年)がボレーで合わせたが、シュートは枠の外に逸れた。11分に藤野のパスから放った笠木の連続シュートも得点には至らない。

 運動量が落ちた終盤はC大阪に押し込まれる場面が続いたが、DFが良いポジショニングを取り、しっかりシュートをブロック。今季、10度目の無失点勝利を収め、WEST王者に輝いた。

 年間を通して強さを発揮した広島だが、11月に実施した名古屋U-18、G大阪ユースとの上位対決2連戦は共に複数失点で敗戦。「心が折れかけた人もいた」(棚田)が、3年生を中心に話し合い、練習の雰囲気が変わったことで続く第16節の鳥栖U-18戦を4-2で勝利し、そのままの勢いでシーズンを終えた。

「あれがあったおかげで一人ひとりのチームに対して思う気持ちが強くなったと思う。チームの事を思うプレーというのも練習から見えていたので、連敗があってこその優勝かなと思います」と振り返るのは、光廣だ。

 シーズン当初は、チームに物足りなさを感じていた高田哲也監督も、成長を実感している。「一人ひとりが成長して、春先と比べて良くなっているなとは凄く感じた。選手の層も上がり、サンフレッチェっぽく全員で戦えた」。例年とは違うシーズンとなったが、この1年で広島ユースが見せた強さは本物。選手たちの戦いぶりは称賛に値する。

(取材・文 森田将義)
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