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「感謝と恩返し」の夏。決勝で気持ちと実力表現の東山が初芝橋本下し、青森ユースフェス初代王者に

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東山高がU18青森ユースサッカーフェスティバルの初代王者に

[8.15 U-18青森ユースフェスティバル決勝 初芝橋本高 1-3 東山高 カクスタ]

 第1回U18青森ユースサッカーフェスティバル決勝が15日にカクヒログループアスレチックスタジアムで開催され、東山高(京都)が初代王者に輝いた。東山は決勝で初芝橋本高(和歌山)と激突。3-1で勝った。なお、東山のMF清水楓之介(3年)が大会MVPに選出されている。

「きょうはしっかりとタイトル、『1』獲ることを意識させました」。福重良一監督が説明したように、東山は同じプリンスリーグ関西2部に所属する初芝橋本と駆け引きなしの勝負。前期のリーグ戦では追いつかれて引き分けた相手に、今回はしっかりと勝ち切った。

 今季は、夏冬全国8強の昨年度から主力の半数を残す注目世代。だが、リーグ戦は現在2位で日本一を目指したインターハイはベスト16敗退、再起を期した和倉ユース大会も4位だった。それだけに今大会、この1年間で敗れていた日大藤沢高(神奈川)、矢板中央高(栃木)、青森山田高(青森)にリベンジし、6戦全勝で優勝したことの意味は非常に大きい。

 CB新谷陸斗主将(3年)は、「これで東山の名をもう一回日本にというと、デカい(話)ですけれども、(自分たちの力を)知らしめられたというのがあるので。まずはこれからなので、第一歩ですね」と喜びを噛み締め、また気持ちを新たにしていた。

 東山の先発はGK佐藤瑞起(3年)、右SB石井亜錬(3年)、CB新谷、CB志津正剛(2年)、左SB藤本崇太(3年)、中盤中央が真田蓮司(3年)と松橋啓太(3年)、右SH大谷彩斗(3年)、左SH清水楓之介(3年)、2トップは豊嶋蓮央(3年)と北村圭司朗(3年)がコンビを組んだ。

 一方、初芝橋本は準々決勝で21年クラブユース選手権準優勝の札幌U-18(北海道)、準決勝で22年和倉ユース大会優勝の日大藤沢高(神奈川)を破る快進撃。決勝の先発はGK永野貴碩主将(3年)、右SB尾崎篤生(3年)、CB石丸晴大(2年)、CB松永健生(3年)、左SB西本真梧(3年)、ダブルボランチが吉村渉矢(3年)と直真輝(3年)、右SH朝野夏輝(2年)、左SH吉田脩作(3年)、前線に東野啓太(3年)と眞下寛司(3年)が入った。
 
 東山の福重監督は試合前、このような時期に大会を開催してくれたこと、参加させてもらったこと、そして家族のサポートに対する「感謝と恩返し」について選手たちへ言葉がけしたという。選手たちはその思いを強く持って、立ち上がりから鋭い攻守。相手を上回るような切り替えの速さと長短のパスワーク、セットプレーでゴールへ迫る。そして22分、左中間を抜け出した北村が後方からDFに倒されてPK獲得。これをキッカーの真田が左上へ蹴り込み、先制した。

 対する初芝橋本は7分、15分と尾崎の素晴らしいカバーリングでピンチを逃れ、8分には吉田の左クロスのこぼれに朝野が反応。その後先制点を許してしまったが、今大会で見せている、粘り強い守備から突破力に秀でた朝野、東野らアタッカー陣の攻撃力を活かした戦いでチャンス。20分には右サイドを突破した朝野のラストパスが眞下へ届き、28分には西本の左ロングスローから最後は吉村が右足シュートをゴールへ流し込む。これは直前のファウルでノーゴールの判定。だが、強敵に十分食らいついていた。

 東山は今大会、C大阪内定MF阪田澪哉(3年)と注目左SB仲里勇真(3年)が不在。それでもチャンスを得た選手たちを含め、各選手が決勝戦で躍動した。後半4分には、清水が北村とのワンツーで抜け出し、左足でGKの股間を抜くゴール。初芝橋本は東野と直に代えて、FW大薗一柊(2年)とMF池田真優(2年)を投入する。だが、東山は11分、自ら上げたクロスのこぼれに反応した石井が左足シュートをゴール左へ突き刺し、3-0とした。

 初芝橋本はFW石田翔也(2年)投入直後の15分、左サイドで献身的な動きを続けていた吉田がDFとの1対1から左足クロスを上げ切る。これを大薗がダイビングヘッドで決め、1点を返した。さらに19分、左CKに西本と朝野が飛び込み、ボールは右ポストをヒット。いずれも空中戦守備で強さを見せる松永、石丸中心に最後までよく戦っていた。

 東山はFW中野翔真(3年)、MF古川清一朗(1年)、FW上田幸輝(3年)、DF佐々谷敏仁(1年)を相次いで投入。新谷と佐藤が中心となって後方を支え、2点目を許さなかった。また、真田と松橋が前への姿勢を持って攻撃をコントロール。最後までゴールを目指し続けて3-1で勝利した。

 強豪16チームによる大会の頂点に立った東山の新谷は、「優勝というのはデカい。自分たちの課題は分かっているので向き合って、あと4か月間やっていくことで日本一は見えてくるので、必ず獲ります。日本一を」。感謝と恩返しの青森遠征。和倉ユース大会、青森ユースフェスティバルと強豪集った大会で強さを示した東山が、この経験も糧に成長を続けて選手権で日本一を勝ち取る。


(取材・文 吉田太郎)

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