beacon

静岡の10番MF高橋隆大が1G1A。目指すのは他人任せではなく、「全部行き切る」こと

このエントリーをはてなブックマークに追加

静岡ユースの10番、MF高橋隆大(静岡学園高)が1得点1アシストの活躍

[8.25 SBS杯第1節 静岡ユース 3-3(PK3-4)U-18ウズベキスタン代表 藤枝総合]

 他人に任せるのではなく、「全部行き切る」――。静岡ユース(静岡県高校選抜)の10番、157cmMF高橋隆大(静岡学園高)が、U-18ウズベキスタン代表相手に1ゴール1アシストの活躍を見せた。

 序盤は押し込まれる時間が増えた静岡ユースだが、10番が自身よりも30cm以上大柄な選手に向かってドリブルを仕掛け、突破してチームを勢いづけて行く。前半19分には、右サイドでの1対1から縦に仕掛けてクロス。DFに触られながらも上げ切ったことが、CB行徳瑛(静岡学園高)の先制ヘッドに繋がった。

 その後も果敢な仕掛けを連発。「とりあえず結果には凄くこだわってやっていたので、絶対に点獲るという気持ちはあった」という高橋は、後半開始直後にゴールを決める。2分、右中間でMF寺裏剣(静岡学園高)からのパスを受けると、細かなフェイントでマークを外し、右足を振り抜く。

 本人はコースが甘かったと感じたようだが、気持ちの込もった一撃はゴールネットへグサリ。「自分が一発やらないと勝てないというのは分かっていたので、それが形として出たのでそこは良かったです。打ちに行ったことが良かった」と微笑んだ。

 4日間で3試合、翌日にU-18日本代表戦を控えていることもあって、2-2の後半26分に交代。本人は「まだ代わりたくない」と渋ったが、交代後はテクニカルエリア前方に立ってチームメートを全力で鼓舞していた。後半39分にFW後藤啓介(磐田U-18)が勝ち越し点を決めると、感情を抑えきれずにピッチへ飛び出して抱擁。PK戦で敗れたことを人一倍悔しがっていたが、普段はライバルの選手たちと一丸になっての戦いを「楽しかった」と振り返った。

 名門・静岡学園で1年時から公式戦を経験し、昨年はインターハイ3位、選手権8強を経験したドリブラー。上手いだけでなく、負けん気の強さも魅力の高橋は今年、静岡学園、静岡県選抜の10番を背負っている。突破力に関しては、年代別日本代表やU-17高校選抜でも存分に発揮。その上でこだわってきたのが結果だ。

「突破とかは元々できていた。あとは結果の部分。(静岡学園)監督の(川口)修さんから求められていた部分なので、意識してやっています。ゴールへの意欲はさらに高まったかなと思います」

 変わったのは人任せにしない、ということ。下級生時は先輩に頼ってしまう部分もあったが、現在は自分で意識して、最後まで個でやり切ることを目指している。「『全部行き切る』という思いがあります。最後任せるんじゃなくて、(サイドを)えぐった後も自分でどうにか決めれへんかという考えを常に持ってやるようにしています。常にゴールを見るようにしています」。DFを1人かわし、さらに1人かわしてシュート・クロスへ持ち込むこと。その姿勢がこの日のプレーからも伝わってきていた。

 今月、ユースワールドチャレンジ・プレ大会で神村学園高、昌平高、興國高と対戦。いずれも同年代で注目されているFW福田師王とC大阪内定MF大迫塁(ともに神村学園高)、FC東京内定MF荒井悠汰(昌平高)と対戦できたことは刺激になったようだ。

「(初戦で神村学園に)ボコボコにされて、師王にハットトリックされて、自分が結果出せなくてすごく悔しくて、(昌平との)2試合目絶対にやってやるという中で先に荒井が一発やって、凄く火がついた。高体連の中で俺らの代のトップを走っている子らとやれたのは凄く良かったと思います」

 チームは1勝2敗で最下位に終わったが、果敢なドリブルで会場を沸かせ、2ゴールを決めた高橋は大会MVPに選出。本人はMVPに選出されたこと以上に、自分のプレーへの手応えを感じ取っていた。

「ドリブルとかは負けていないな、自分が一番やれているなという感覚はあったし、足りない部分も全然あったんですけれども『全然行けるやん』という感覚はあったので」。もちろん、課題の改善を後回しにすることなく努力を重ね、その上で常に特長を発揮すること。SBSカップに「行ける」という気持ちで臨んでいるという静岡の10番が26日、U-18日本代表戦でも「全部行き切る」を目指し、結果を残す。

(取材・文 吉田太郎)

TOP