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3年生たちの強い思いが結実。神村学園がC大阪U-18に逆転勝ちし、プレミア初昇格!

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神村学園高が執念の逆転勝ち。初昇格

[12.9 高円宮杯プレミアリーグプレーオフ2回戦 C大阪U-18 1-2 神村学園高 広島一球]

 神村学園が執念の逆転勝ちでプレミア初昇格! 11日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2022 プレーオフ(広島)2回戦が行われ、神村学園高(九州1/鹿児島)が2-1でセレッソ大阪U-18(WEST/大阪)に逆転勝ち。初のプレミアリーグ昇格を決めた。

 勝利の瞬間、C大阪内定のMF大迫塁主将(3年)が溢れる涙を止めることなくベンチの仲間たちの下へ駆け寄り、ボルシアMG(ドイツ)内定のFW福田師王(3年)はピッチに突っ伏して喜びを表現していた。

 そして、90分間を戦い抜いたGK広川豪琉(3年)、CB大川翔(3年)、CB中江小次郎(3年)、MF笠置潤(3年)、MF積歩門(3年)の3年生たちは笑顔、笑顔で抱擁。大迫は「多分、このプレミアに行きたいという気持ちが絶対にウチの方があったし、粘り強さとかこのゲームを見ていた人たち全員に伝わったと思うので、神村学園の流れになったと思います」と胸を張った。

 試合は序盤、クラブユース選手権王者でもあるC大阪U-18の「止める・蹴る」の技術が神村学園を凌駕する。8割以上と言えるほどボールを保持し、次々とグラウンダーの縦パスを通して相手の守りを翻弄。その流れの中で迎えた前半10分、PAのこぼれ球に反応したFW木實快斗(1年)が豪快な左足シュートを叩き込んで先制点を奪う。

 神村学園はなかなかボールを奪えず、思うようなビルドアップができないままロスト。C大阪トップ昇格の右SB石渡ネルソン(2年)やMF清水大翔(2年)らC大阪U-18に押し込まれる展開となり、MF末谷誓梧(3年)の鋭いドリブルや怖さのあった木實のシュートにゴールを脅かされた。

 だが、神村学園は有村圭一郎監督が「前半途中から(相手の攻撃に)慣れてきだして、そこの縦パス狙えと全部行かせて。(守備が改善されると)攻撃のリズムも良くなる」と振り返ったように、守備から立て直しに成功する。そして、自陣の深い位置からビルドアップ。圧倒されていた時間帯を1失点で乗り越えたこともこの試合のポイントだった。

 36分には、積とSB有馬康汰(2年)のコンビで右サイドを打開してクロス。また、相手CB和田健士朗(3年)に上手く対応されていたエースFW福田も空中戦で奮闘し、ロングシュートにチャレンジする。そして、43分、神村学園は奪い返しから大迫が左SHとして先発していたU-16日本代表DF吉永夢希(2年)へ繋ぐ。「行け!」の声に後押しされた吉永は左中間から縦へ仕掛けて左足一閃。スーパーゴールを逆サイドのゴールネットへ突き刺した。

 この1点が非常に大きかった。神村学園は後半開始から左SB下川温大(2年)とU-16日本代表FW名和田我空(1年)を入れ替え、吉永を左SBへ下げる。後半立ち上がりはボールを握る時間を大きく増やした神村学園のペースに。迷わずに前からボールを追う神村学園は2度追い、3度追いして相手のビルドアップを乱し、素早い攻撃で積や名和田がフィニッシュへと持ち込んだ。

 C大阪U-18は、DFのシュートブロックやU-19日本代表GK春名竜聖(3年、水戸内定)のビッグセーブでゴールを阻止する。神村学園はラストの精度を欠いた部分があり、なかなか勝ち越すことができない。それでも20分、C大阪U-18のビルドアップに対して再びハイプレス。そして、福田が相手CBからボールを奪い取る。エースは間髪入れずに、反転から左足シュート。これを決め切り、試合をひっくり返した。

 11年のプレミアリーグ発足から一度も降格したことのなりC大阪U-18も意地の反撃を見せる。だが、神村学園は大迫が自らを鼓舞しながら走り、福田も献身的なプレスバックとボールキープ。また笠置が鋭いタックルを決め、大川、中江の両CBが身体を張った守りを継続する。2日前の1回戦(対金沢U-18)では3失点。「結果的に怖がって下がって責任逃れしているところがあったけれど、きょうは全員が戦っていた」と有村監督はこの日の戦いを評価する。

 勝ち越した後は再びボールを支配され、C大阪U-18の木實や末谷に危ないシーンも作られた。だが、福田も「(みんな)やばかったですね。後輩たちのためにというのは出ていましたね」と驚いていたほどの3年生たちの気迫、勝利への執念。これに誰よりも走っていた西丸をはじめとした1、2年生たちが呼応し、勝利の笛まで戦い抜いた。

 昨年に続く挑戦でプレミアリーグ初昇格。有村監督は、「去年上がれなかったのを何人か経験していて、1、2年生にちゃんと良い舞台を用意したいと常日頃言っていた、本当、勝負で勝ち切れたので何より彼らの成長に繋がると思います。ちょっとした甘さはあの舞台(プレミアリーグ)じゃないと感じられないと思います。そういう意味では彼らの今後の成長に繋がると思います」と来年新たな舞台で戦う今後へ期待した。

 また、大迫は「選手権優勝は自分たちへのご褒美だけど、プレミアリーグは後輩たちに残せるものなので、来年1年間プリンスでするか、プレミアでするかは全然違うと思うので、やっぱり勝ちたいという気持ちでした。(勝てて)ホッとしました」。苦しい戦いの中で目標の勝利と成長を実現。同じく初の日本一を目指す選手権では、より神村らしく攻めて、楽しんで勝つ。

(取材・文 吉田太郎)
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