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[新人戦]青森山田が2年ぶりV。決勝でもブレずに70分間を戦い抜き、3-0:東北

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青森山田高が2年ぶりに東北高校新人大会を制した

[1.30 東北高校新人選手権決勝 遠野高 0-3 青森山田高 Jヴィレッジ]

 第22回東北高校新人サッカー選手権大会(男子、福島・Jヴィレッジ)は30日午後、決勝戦を行い、青森山田高(青森1)が遠野高(岩手2)に3-0で快勝。2大会ぶり9回目の優勝を飾った。青森山田は前回大会を出場辞退。出場した東北新人大会は5大会連続の優勝となる。

 近年の高校サッカー界をリードしてきた青森山田は、今回の東北新人大会でも強さを発揮し、準決勝までの3試合で20得点1失点。得点差をつけて攻撃の手を緩めるのではなく、貪欲に4点目、5点目を取りに行く姿勢を見せてきた。体力的にキツイ状況でも、次の1点を奪い、失点ゼロで終わるチームにならなければならない。先を見据える名門は、70分間意識の高い戦いを続け、対戦相手をねじ伏せてきた。

 3日間で4試合目となった決勝でも、青森山田がこだわる失点ゼロに加え、最後まで攻める姿勢を披露。3-0で勝ち切り、正木昌宣監督は「こういう経験がプレミア(リーグ)だったり、インターハイも3試合連続という状況であるので、しんどい中でも集中力持ってやれているのは良いかなと思っています」と評価していた。

 決勝で対戦した公立の伝統校・遠野は今大会、前評判の高かった仙台育英高(宮城1)と尚志高(福島3)を連破。この日午前の準決勝では延長戦を含む90分間、またPK戦11人目までもつれ込む激闘の末、学法石川高(福島2)を破って初の決勝へ駒を進めて来ていた。

 青森山田はその遠野に立ち上がりから襲いかかる。前半3分、MF杉本英誉(2年)が右サイドから上げた左足クロスをファーサイドのMF川原良介(2年)が頭で押し込み、早くもリードを奪った。

 先制後もロングスローなどで相手に圧力をかける。だが、やや繋ぐことに重きを置きすぎてしまい、背後を狙う動きが少なくなってしまっていた。一方の遠野は中盤で健闘するMF馬場大瀬(1年)がドリブルシュート。また、今大会ブレイクした一人、10番ボランチMF昆野翔太(2年)が青森山田相手でもドリブルで運ぶ力を見せるなど、バイタルエリアを突く攻撃からゴール前のシーンを作り出す。

 だが、その攻撃を跳ね返した青森山田が逆に2点目を奪う。新10番のゲーム主将MF芝田玲(2年)が中心となって攻撃をスピードアップ。すると27分、ロングスローの流れからFW米谷壮史(2年)が落とし、杉本が左足ミドルを放つ。DFに当たってコースが変わり、ゴールネットへ吸い込まれた。

 遠野は35+1分、MF高橋優成が右クロス。FW池口遥葵(2年)がタイミング良くニアへ飛び込んだが、シュートはわずかに右へ外れてしまう。逆に青森山田は後半8分、右サイドでDFをかわした杉本がドリブルで持ち込んでスルーパス。抜け出したFW津島巧(2年)が右足で決めて3-0とした。

 正木監督が「ちょっと覚醒してきてくれているので。前で頑張りもきくし、チェイシングもするし、ヘディングとか収まりとか出てきてくれると山田の1トップを任せられるような存在になってくるんじゃないか」と評した津島は、前線の柱としての役割を果たして4戦連発。また、今大会で一気に台頭した杉本は、4試合でのアシスト数を10とした。

 今大会、怪我人が増えていた青森山田は決勝でCB山本虎主将(2年)、MF谷川勇獅(1年)、GK鈴木将永(2年)と新チームで軸になりそうな選手たちが不在だった。だが、左SBとして活躍していたDF菅澤凱(2年)が山本に代わってCBに入り、リーダーシップを発揮。190cmCB小泉佳絃(2年)とともに守りを固め、相手の前に立ちはだかって見せる。また、決勝で先発のチャンスを得た188cmGK長谷川龍也(2年)、右SB小林拓斗(2年)、左SB小沼蒼珠(1年)、MF福島健太(2年)らを含めて各選手たちが奮闘していた。

 遠野は堅守の要・CB畠山哉人主将(2年)や闘争心を全面に出して戦うCB佐々木湧太(2年)を中心に、最後まで良く体を張って守っていた。攻撃面では、後半18分に昆野、池口のコンビでゴールネットを揺らしたものの、惜しくもオフサイド。0-3で敗れたものの、随所で良さが見える戦いだった。佐藤邦祥監督は「(青森山田は)最後のところでやり切ったり、決め切ったり、セットプレーの力強さも勉強になった」。プレミアリーグ勢の強豪校から学んだことを今後に活かす。

 青森山田は雪の青森へ戻り、強化を再スタートする。強度や運動量について、正木監督は「上げなきゃダメでしょうね」と語り、4月のプレミアリーグ開幕へ向けてより安定した守備などを求めていく。そして、芝田は「自分たちの代はある程度自分たちを律しながらできる年代だと思っているので、本当に1年間、練習からブレることなく一日一日大切にして、3冠という目標に向かっていきたい」と力を込めた。今年も青森山田が強いチームであることを印象付けた東北新人大会。ブレずに努力を続け、スケールアップして4月を迎える。

(取材・文 吉田太郎)

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