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自分に厳しく、負けたら全て“自分の責任”。U-16世代の注目FW仲山獅恩はトップ、世界で活躍することを見据えた意識と行動

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U-16東京選抜FW仲山獅恩(東京Vジュニアユース)はU-16世代の注目プレーヤー

[3.5 静岡県ヤングフェスU-16男子の部 U-16男子静岡選抜 1-2 U-16男子東京選抜 草薙陸]
 
 U-16世代の注目FW仲山獅恩(東京Vジュニアユース)が、U-16東京選抜のインサイドハーフのポジションで先発出場。2日前に怪我していたため、前半35分間のみのプレーだったが、存在感を放った。

 前日チェックした練習試合の内容から、ビルドアップで詰まりすぎてしまうことを懸念。意識的に低い位置まで下りてボールに係わりながら、ゴールに近い位置でも崩しの中心となった。ボールを失わずに前進させた仲山は、絶妙なループパスをFW前田勘太朗(横浜FCジュニアユース)の頭へ通し、相手のカウンターに対して身体を投げ出してのタックルで止めるシーンも。テクニックとアイディアを表現するだけでなく、身体を張って守備する姿も印象的だった。

 石川創人監督(東京農大一高)が「彼が入るのと入らないとのでは落ち着きが違うというか。創造性がもちろんあるんですけれども、献身性もあって、それをチームの勝利に結び付けられる強さがある」と評するアタッカーは、自身のプレーに及第点をつけていた。

「高い質でできたと思いますし、良い感じで味方使って打開できたかなと思います。前半結構良い形で攻められていた中で、決めきりたかったのもありますけれども、チャンスに何回か絡めたというところでは良かった」。ただし、目指しているレベルはまだまだ上にある。

「(今年、)どんどん飛び級で日本代表にも入っていく。あとは高校3年生の試合にどんどん絡んでいって、自分が中心となってやっていくところと、負けた試合では自分が点を決められなかったりしたら自分のせいというか、『自分が決められなくて負けた』と全試合捉えていかないと、世界に出たら活躍できないと思いますし、そういったところへの意識をしていかないといけない」

 自分に対してとても厳しい15歳。トレーニングで筋肉量を上げるだけでなく、普段の食事からタンパク質を多く摂ることを意識し、その上で野菜をバランスよく食べ、ご飯2杯のノルマも設定して体作りをしているという。半年間で体重は5kgほど増え、現在170cmの身長もまだ伸びている。

 先月23日の東京都クラブユースU-17選手権大会決勝では東京Vユースのインサイドでプレーし、決勝点に絡むなど優勝に貢献。そこで感じた課題をこの日、修正していた。「(三菱養和SCユースとの決勝では)前半、ビルドアップでハメられたシーンが多くて。今日も静岡はハメてくると思ったので、(その中でライン突破するなど)この間の試合で起きたことを改善できたので成長できたかなと思います」。目標を思い描くだけなく、実現するために行動できるメンタリティーと行動力の持ち主だ。

「(早く)トップの試合に出たいと思っているけれど、思っているだけじゃダメなのでプレーで見せていくこと」。昨年、1歳年上の世代のU-16日本代表候補に選出されている仲山は、07年生まれ世代のエース格の一人。それでも現状に満足していない。高い目標を実現するため、常に自身のレベルアップを考えている。

「まずは1対2、1対3とかで勝っていかないといけない。1対1で勝つのは当然だと思っているんで、そうすれば相手は絶対にマークしてくると思うし、味方がフリーになる。視野の広さやテンポを上げて、自分が起点になって1タッチパスとかで崩していくこと。そして、1本で流れを変えたい。ゲームコントロールしつつ、自分が打開していって、というのを毎試合していかないと怖い選手にはなれないと思いますし、代表にもいけないと思うので、(将来)A代表に行くためにはそういったところをしっかりやっていきたい」

 この日は限られた時間とは言え、自分が出ている35分間で決められなかったこと、味方に1点をもたらせなかったことを悔しがった。「ゴールを決めることは1試合に1点は当たり前だと思っていて、今日の試合で決められなかったことは凄く反省していて、点を決めることだけじゃなくて、アシストでも良いので。例えば、守備とか自分が奪ったボールでそのままゴールに結びつけたり、ゴールに絡むということがとても大切だと思うので、決めることだけじゃなく、アシストや守備での貢献をしなければいけない」。自覚と覚悟を持ち、成長に貪欲な15歳。上手いだけでなく、相手にとって怖い選手、嫌な選手になって東京Vや東京選抜、そして日本代表を勝たせる。

(取材・文 吉田太郎)

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