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[MOM4238]川崎F U-18DF林駿佑(中3)_新星CBが堂々の動き。J-VILLAGE CUP決勝も零封

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PK戦3人目で成功。川崎フロンターレU-18CB林駿佑(中3=川崎フロンターレU-15出身)が両拳を握りしめて喜ぶ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[3.21 J-VILLAGE CUPU-18決勝 川崎F U-18 0-0(PK7-6)大宮U18 Jヴィレッジ]

 プレミアリーグEAST連覇、初のファイナル制覇を目指す川崎フロンターレU-18に新星DFが現れた。第5回 J-VILLAGE CUP U-18で川崎Fは無失点優勝を達成。CB林駿佑(中3)は予選リーグ第2節の浜松開誠館高戦で初先発すると、続くU-17日本高校選抜戦、大宮U18との決勝でも先発し、優勝に大きく貢献した。

 決勝はボールを保持する時間の長い展開。大宮U18はアタッカー陣の鋭い仕掛けなど速攻を繰り出してきていた。林は試合開始直後に頭部をカット。応急処置を受けての戦いだったが、幾度も相手の前に立ちはだかっていた。

 まだ特別な強さや高さがある訳ではないものの、タイミングの良いインターセプトや突破を阻む守備。「ポジショニングがあると思う。相手の特長を考えてDFとして裏に行かれることが一番いけないので、それを頭に置きながらパスを出す人の持ち方とかで予測しながらできたのは良かった」と説明するように「取る力」を発揮した。

 また、シュートブロックを見せたほか、ヘディングでも競り勝っていた。終盤は天候が一変し、強い雨風の中でハイボールの落下点を予測することの難しさを実感。また大型選手を上回るような打点の高さの必要性も感じている。それでも、U-17日本高校選抜の強力アタッカー陣を封じた前日に続き、チームメートのサポートを受けながら無失点で90分間を終えた。

 そして、PK戦では3人目に登場。この日、長短のパスにチャレンジしていたCBは「自分のルーティーンで落ち着いて蹴れた」と正確な右足シュートを右隅に決め、両手で力強いガッツポーズを見せる。そして、勝利が決まると真っ先にGK菊池悠斗(2年)と最後のキッカーMF矢越幹都(1年)の下へ駆け寄り、喜びを爆発させていた。

 長橋康弘監督は林について、「本当に彼はジュニアユース(川崎フロンターレU-15)の時から素晴らしい選手だと聞いていました。私らも確認していたところで練習参加も他の選手よりも結構早く、遠征にも十分に連れて行ける人材だということで連れてきたんですけれども、この大会中にもかなり成長してくれたのかなと思っています」と評価。堂々とプレーする背番号30にやや驚いている様子だった。

 本人は、ピッチに入れば学年は関係ないという考え。「入ってきた当初からグラウンドに入ったら年齢は関係ないと言われていました。最初の方はそれでも遠慮があったんですけれども、慣れていく中でみんなも優しく声を掛けてくれたり、時には厳しいことを言ってくれたりして、その状況に慣れて行く中でだんだん自分のプレーができるようになったと思います」。そして、謙虚な口調で成長への意欲を口にしていた。

「自分は守備のところと声を出せるところが長所だと思っているので、それはどの試合でもやりたいと思っています。チームメートとスタッフの方々のサポートもあって、自分のプレーをこのレベルでできるというのを知れたことは凄く自信になりましたし、でも、もっともっと改善点はあるので、しっかり改善してもっと上を目指していけるようにしたい」。U-17日本高校選抜戦も、決勝も、ボールを奪う役割ができたが、常にできるとは限らない。常にできるようになるための努力を続けるだけだ。

 年代別日本代表チームからの関心を寄せられているものの、まだ未招集。「行ってより高いレベルの中で自分の長所・短所をもう一回探せるきっかけになると思う。入っていきたい」と代表入りへの思いを口にした。そのためには川崎Fでのアピールが必要。「プレミアリーグに出て試合に絡みたいですし、チームの勝利に貢献してより自分を高められる1年間、3年間にしたい」。憧れのCB谷口彰悟(現アルラーヤン)のようなトップチーム、世界で輝くDFになる。 
 
(取材・文 吉田太郎)

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