beacon

「北島のためにも、チームとして頑張ろう」。プレミア連覇狙う鳥栖U-18が神村学園との開幕戦を制す

このエントリーをはてなブックマークに追加

前半43分、サガン鳥栖U-18がMF堺屋佳介(10番)のゴールを喜ぶ

[4.1 高円宮杯プレミアリーグWEST第1節 鳥栖U-18 3-2 神村学園高 SAGAスタジアム]

 高円宮杯プレミアリーグWESTが1日に開幕。昨年度のWEST王者、サガン鳥栖U-18(佐賀)とプレミア初参戦の神村学園高(鹿児島)の一戦は、MF鈴木大馳(2年)の先制点を皮切りに3点を奪った鳥栖が3-2で勝利した。

 連覇への期待がかかる鳥栖だが、MF福井太智(現バイエルンⅡ)やMF坂井駿也(現鳥栖)など主力の大半が卒業。「昨年の子たちがそのまま残って戦うならプレッシャーがあるかもしれませんが、人も変わっているので何とも思っていない」と田中智宗監督が話す通り、1からのチーム作りを進める一年だ。だが、新チームが発足してからは怪我人が続出。「このメンバーで90分ゲームをやるのは、今日が初めて」(田中監督)という状態で挑んだ難しさが序盤は出て、代名詞である前線からのアグレッシブな守備が機能しなかった。

 対する神村学園は、U-17日本代表のアルジェリア遠征から前日に帰国したばかりのDF吉永夢希(3年)とMF名和田我空(2年)をスタメンで起用。加えて、「夢希の推進力を活かすためのシステムを考えたら、3-5-2が一番しっくりくる」(有村圭一郎監督)とぶっつけ本番に近い状態で、従来とは違う戦い方を試した。

「ボールを受けるのをビビッてしまったせいで、試合の入り方が悪かった」と吉永が振り返える通り、立ち上がりは神村学園らしくないビルドアップのミスも見られたが、策が機能し、サイドからチャンスを演出。前半19分にはFW西丸道人(3年)からのパスを受けた吉永が中央に速いボールを入れ、MF平木駿(3年)がゴールを狙ったが、鳥栖GK小池朝陽(3年)に防がれた。

 苦戦を強いられた鳥栖だったが、前半半ばからは高い位置での守備が機能し、相手エリア内での時間が増加。35分には中央をMF堺屋佳介(3年)、FW山崎遥稀(2年)と繋いだボールから、鈴木がゴール前を抜け出し、左足シュートを叩き込んだ。

 43分には左サイドのMF増崎康清(3年)が出したマイナスのパスに、後方から走り込んだ堺屋が反応。豪快に左足シュートを叩き込み、2点リードで試合を折り返した。後半も勢いは止まらず、2分にはFW與座朝道(2年)のシュートで左CKを獲得。DF林奏太朗(3年)が上げたボールをDF内丸寛太(2年)が頭で折り返し、最後はDF田代聡太(3年)が押し込んで、3点差とした。

 鳥栖は思うような内容ではなかったものの、3点リードという理想的な試合展開に。だが、ここからが続かない。「前半は守備面で前から連動して奪いに行けて、ハメられる場面があったのですが、後半はバラバラに守備をした結果、空いたスペースを突かれてしまった」と振り返るのは、増崎だ。

 鳥栖の守備の隙を突いて、神村学園が自分たちの時間を増やすと、後半23分には吉永が入れた低いクロスが、ゴール前へと戻ったDFに当たってオウンゴールに。34分には、MF高橋修斗(3年)の右クロスを西丸がボレーで決めて、1点差まで詰め寄った。流れを完全に引き寄せた神村学園は、45+2分にも高橋の右クロスから名和田がヘディングシュートを放ったが、小池のファインセーブに阻止され、鳥栖が3-2で勝利した。

「絶対にファイナルに行って、2連覇したい」。増崎が意気込む通り、今年の鳥栖は連覇しなければいけない理由がある。それは、左SB北島郁哉(3年)の存在だ。絶え間ない攻撃参加で存在感を見せながら、昨年は怪我によってシーズン途中で離脱。懸命なリハビリの結果、3月のサニックスカップで復帰したが、その後再び同じ個所を負傷した。

「怪我をしてもみんなと関りながら、ずっと声をかけてくれている。砕けそうな気持ちを見せずにちゃんとやってくれているので、頭が下がる想い」と指揮官が口にする北島の復帰は12月の予定。再び同じピッチでプレーするためにも、WESTで優勝し、ファイナルまで行かなければならない。この日も、「北島のためにも、チームとして頑張ろう」と話して、試合に挑んだという。仲間とピッチで再開を果たすためにも、今年も鳥栖は白星を積み上げていく。

(取材・文 森田将義)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2023特集

TOP