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「「MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16」徹底的に技術をやり込んできた異質の10番。MF阿部大翔は5年前の3-3、華麗なゴールに憧れて尚志へ

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尚志高の10番MF阿部大翔(1年=アトラエンセFC平塚出身)

[12.18 MIZUNO CHAMPIONSHIP U-16 3位決定戦 東福岡高 1-0 尚志高 時之栖うさぎ島G]

 23年に日本高校選抜の監督も務めた尚志高・仲村浩二監督が、「面白い」と評する1年生MFだ。10番のボランチ、MF阿部大翔(1年=アトラエンセFC平塚出身)は3位決定戦で後半開始から出場。「前半は中盤のところで全然ボール受けれなくて、守備する時間が長かったんで、自分がボール受けて、どんどん前に配給していければなって思って入りました」という阿部は積極的にボールに係わり、そのキープ力でチームの攻撃時間を増やしていた。

 尚志は後半、阿部のドリブル、パスを起点とした攻撃からクロスへ持ち込むなどチャンス。だが、最後まで1点を奪えずに敗れ、阿部は「クロスとか何本かを惜しいシーンあった中でも、あのシーンで決め切れないと、やっぱり全国の舞台ではキツイなって思いました」と分析していた。

 阿部は中学時代、神奈川県のアトラエンセFC平塚でプレー。「中学校のチームのスタイルが、ドリブルチームというか、取られても自分の武器を磨くみたいなチームで、失点しても(ボロ負けしても)自分たちがボール持って上手くなれば、高校サッカーで使えるじゃんと。監督が『技術は中学校の間しかつかない』みたいな考えで、それを『やり込め、やり込め』つって、1日、多い時は10何本以上ゲームやって、どんどんドリブルして、パス禁止の試合もあって、どんどんチャレンジして、失敗怖がらずにやってきました」。そこでついた技術力が生命線。まだまだ課題も多いが、「やっぱりこれからも磨いていきたい」とドリブル、テクニックを絶対の武器にする考えだ。

 一方で、「守備をもっとできたらやっぱりもっと上行けるので、自分のところでしっかり取り切ってマイボールにできるようにしたい」と守備面の強化も始めている。幸いにも、尚志にはU-19日本代表のボールハンター、MF神田拓人(3年)が在籍。トレーニングで違いを感じた先輩たちに「追いついていけるようにしたい」と課題改善に取り組んでいる。

 その阿部は、18年度選手権準決勝の尚志対青森山田高戦の影響を受けて尚志へ進学したという。この試合、尚志は2年生FW染野唯月(現東京V)がハットトリック。特に勝ち越しゴールとなった後半30分の3点目はGKのフィード、ワンツー、1タッチスルーパスなど10本のパスが繋がって決まったものだ。試合終盤に追いつかれてPK戦で敗れたが、阿部は「あのゲームがマジで1番高校サッカーの中で好きで、あんなパス綺麗に繋げたら」と尚志への進学を決断した。

 自分たちも選手権準決勝や決勝であのような華麗なパスワークや個人技を披露できるようにトレーニング。そして、「(自分は)中盤で本当に試合の流れを変えて、自分が試合決定づけれるようなプレーができるような選手になりたい」。MF小曽納奏やCB西村圭人、FW根木翔大らチームメートと切磋琢磨。そして、どの試合でも違いを生み出し、試合を決定づけるようなプレーヤーになる。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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