beacon

[新人戦]台頭中の美濃加茂がインハイ予選、選手権予選に続く岐阜決勝進出

このエントリーをはてなブックマークに追加

美濃加茂高の選手たちがMF大矢幸輝(7番)の決勝点を祝福

[2.3 岐阜県高校サッカー新人大会準決勝 各務原高 0-1 美濃加茂高 長良川球技メドウ]

 令和5年度岐阜県高等学校サッカー新人大会の準決勝が3日に行なわれ、美濃加茂高が各務原高に1-0で勝利。4日の決勝で帝京大可児と対戦する。

 昨年6月のインターハイ予選で初めての決勝進出を果たすと、11月には選手権予選でも初の決勝進出を達成。今回の新人戦でもこれまでの大会同様に粘り強く勝ち上がり、3大会連続でのファイナル進出を手にした。

 ただ、試合展開は決して楽だったとは言えない。体調不良のため主将のMF郡司侑真(2年)など主力の数人が欠場。元から2年生が少ない代ではあったが、8人もの1年生がスタメンを占める若いメンバー構成となった。

 そうした若さが立ち上がりは出てしまう。昨年はフィジカルに長けた選手の存在がテクニカルなサッカーにアクセントを加えていたが、今年はテクニックのある選手は多いものの身長は小柄。「ボールを持ちたがる選手が多く、ワンテンポ遅くなっていた。それに1年生が多いため、フィジカルの部分が弱いので思い通りに攻めることができなかった」(浜口敏之監督)。

 前半は各務原にとって理想的と言える試合展開。「美濃加茂高校さんはボールを繋いで後ろからビルドアップしてくるチームだったので、まずはボールを奪う所にフォーカスしながら、奪った後にサイドからチャンスを作る対策してきた」。小酒井啓人監督が振り返った通り、高い位置での守備から素早く攻撃に転じ、見せ場を作る。

 前半6分には右サイドから仕掛けたこぼれ球に反応したMF竹本龍世(2年)がシュート。19分には、左サイドを抜けたMF水野楓太(2年)がゴール前にマイナスのパスを入れ、FW明山暖大(2年)がゴールを狙う。33分には左サイドから竹本が見せ場を作ったが、DF安部聖人(1年)と山本志琉(1年)のCBコンビを中心とした美濃加茂の守備を崩し切れず前半を終えた。

 試合の流れを大きく左右したのは後半7分。各務原のGKがエリア外でのハンドによって決定機阻止となり、退場してしまう。各務原は元々GKが2人体制で、控えのGKは怪我をしているため、この日は欠場。ベンチに本職がいなかったため急きょ、DF水口浩史郎(2年)がユニフォームを着替え、ゴールマウスに立った。

 12分にはパスワークから抜け出した美濃加茂MF大矢幸輝(1年)のシュートを足で防ぐなど水口は本職さながらのプレーを披露したが、15分には細かいパスによる崩しから大矢に決められ、追い掛ける展開を強いられた。以降は数的優位となった美濃加茂が自陣からテンポ良くボールを動かし、試合をコントロール。相手エリアでは新チーム発足後から取り組んでいる3人目の動きを交えた崩しも披露するなど持ち味を随所で見せた。

 試合終盤は水口を前線に上げて、パワープレーに出た各務原を落ち着いて対処に1-0で逃げ切り勝利。県の頂点をかけた3度目の舞台への挑戦権を掴んだ。

 同じ岐阜県の中濃地区にある3種チーム「FCV可児」と業務提携して今年で5年目。これまでは早期敗退が続いていたが急激な勢いで成長し、上位進出が当たり前になってきた。だが、県の盟主である帝京大可児の壁は厚く、昨年のインターハイ予選決勝では2-5。選手権予選決勝では2-6で敗戦。選手たちはチームの歴史を塗り替える躍進に対する喜びよりも、負けた悔しさの方が強いという。

 チームとしてのピークは、FCVからの主力が挙って進んだ1年生の代かもしれないが、これ以上負け続けるつもりはない。「来年は確実に全国大会に行かないといけないメンバーが揃っているからこそ今年、全国大会に出ることに意味がある」。大矢はそうきっぱりと言い切る。インターハイ、選手権に弾みをつけるためにもまずは新人戦で初めての栄冠を手にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

TOP