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[新人戦] CB山田佳「自分たちがもっと上に連れて行ってあげないと」。主力残す前橋育英は経験を活かし、下級生のためにも上を目指す

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新生・前橋育英高の中心選手、U-17日本高校選抜候補CB山田佳(2年=前橋FC出身)

[2.4 群馬県新人大会決勝 前橋育英高 1-2 桐生一高 アースケア敷島サッカー・ラグビー場]

「ボールを持てる時間っていうのは長かったと思うんですけど、やっぱり打倒・前橋育英っていう形でやってきている桐一に対して、こっちがいなし切れなかったっていうのが、今日の敗因かなとは思います」

 MF石井陽(2年)やDF青木蓮人(2年)、FW佐藤耕太(2年)という昨年からの主力組が欠場していたことは確かだが、名門・前橋育英高が新チームの公式戦初黒星。1年時から先発を務めてきたU-17日本高校選抜候補CB山田佳(2年=前橋FC出身)は敗因にまず攻撃面を挙げていた。

 山田はチームの推進力が不足している中、ドリブルで攻め上がるシーンも。「自分たちはCBなので、リスクを負わないようにしなきゃいけない。簡単につけるのがベストだと思うんですけど、自分たちが相手のFWを1個剥がして前に行けばスペースが生まれてくるし、数的優位になってくるので、そういうところはちょっと意識してやっていました」。質の高い左足キックに注目の山田は横パスを繋ぐだけでなく、サイドチェンジやドリブルで変化を加えようとしていた。

 守備面ではいずれもCKから2失点。山田はその点を反省した一方、「他のところで点を取り切れなかったり、セカンドボールが拾えなかったり、ラインが低かったりっていうのが良くなかったと思います」と加える。

 さらに、2点を先取される展開の中で、自分がエネルギーをチームに加えられなかったことについても悔やんでいた。「自分はバックなんで、やっぱり失点しちゃいけないし、失点した時にどれだけ盛り上げられるかっていうのは大事にしていたんですけど、盛り上げ切れなかったっていうのは、自分の至らなさかなと思います」。U-17日本代表歴を持つ山田はこの日の出場メンバーで誰よりも経験を積んできたプレーヤー。守備力向上にも精力的に取り組み、新生・前橋育英の柱を担う山田だが、チームが苦しい時に雰囲気を変えられる選手にならなければならない。

 選手権で下級生6人が先発。チームの“心臓”で名将・山田耕介監督が「いるといないのとでは段違い」と説明する石井や、指揮官がSBとしてのポテンシャルの大きさにも注目するFWオノノジュ慶吏(2年)、スペシャルな左足を持つ山田らが残る世代は、期待値が高まっていきそうだ。もちろん、新3年生を中心に上を目指すが、それは自分たちのためだけではないと山田は考えている。

「去年経験できている人数が多い分、やっぱり今年はチャンスで狙えると思うので。下の学年も半分ぐらいいるので、下の学年に経験させてあげるっていうのもやっぱり自分たちの役目だと思うので、そういうところも含めて自分たちがもっと上に連れて行ってあげないといけないなと思います」

 自分自身の将来のためにもプレミアリーグや全国大会で優勝を争うこと。昨年を「(自分の強みや課題が)明確に分かった1年」と振り返るDFリーダーは、自分自身やチームの良さを引き出し、多くの白星に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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