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[新人戦]粘り強さ、チーム力を強みに初戦から全試合1-0で勝利。中京大中京は「次も1-0で優勝したい」:愛知

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決勝点を喜ぶ中京大中京高の選手たち

[2.10 愛知県高校サッカー新人大会準決勝 日本福祉大付高 0-1 中京大中京高 CSアセット港サッカー場]

 令和5年度愛知県高等学校サッカー新人大会の準決勝が10日に行なわれ、FW川村琉貴(2年)のゴールによって中京大中京高が日本福祉大付高に1-0で勝利した。12日の決勝で東海学園高と対戦する。

 中京大中京は1回戦の西尾高戦から準々決勝の愛工大名電高戦まで全て1-0での勝利。主将のGK雨瀧翔大(2年)は「守備には自信があるので、1点取って守るサッカーをずっとやってきました」と自信を口にする一方、「自分たちは弱いと思っていたので、こんな所まで来られるとは思っていなかった」と勝ち上がりに驚きを隠せない。自己評価は決して高くないが、今年ならではの粘り強さを生かし、1つめのタイトルに王手をかけた。

 この日の試合展開も決して楽ではなかった。「自分たちはこれまでの試合でも上手く行かず苦手にしていた。相手の様子を伺ってしまったせいで、前半は持たれて守備をする時間が長かった」。雨瀧が振り返ったように立ち上がりは日福大付のペース。DF酒井洸輝(2年)を中心にボールを動かしながら、左のDF服部瑛大(2年)がタイミングよく攻撃に絡む相手を高い位置で捕まえられない場面が続く。

 前半11分には左を仕掛けたFW岡田晟弥(2年)にCKを奪われるなどしたが、中京大中京はDF岩田連太郎(2年)を中心とした3バックが落ち着いた守備対応を見せ、決定機まで持ち込ませない。30分に打たれた服部のミドルシュートも枠の外に逸れ、スコアレスで前半を終えた。
 
 前半をシュート1本で終えた中京大中京はハーフタイムに守備を修正。「守備で上手く行って、攻撃に繋げられるようになった」と雨瀧が話す通り、高い位置でのボール奪取からチャンスに持ち込む場面が増える。「両サイドともにリストを負って、攻撃的な立ち位置を取っていた」(鈴村真平監督)ことも奏功し、サイドアタックから得点の匂いが漂い始めた。

 後半2分、右CKのこぼれ球をMF原武蔵(2年)がヘディングで狙ったが、シュートは枠の外。9分にはMF上田翼(2年)の右クロスをGKが弾いたところをMF鈴木成周(2年)がダイレクトで打ち返したが、ゴールネットは揺らせない。

 それでも、焦れずに攻め続けると13分、右サイドで粘ってボールを保持したFW花立秀明(2年)のパスから上田がクロス。ゴール前の川村が落ち着いて決めて中京大中京高が先制すると、そのまま1-0で逃げ切った。

 元日本代表のFW宮市亮(横浜FM)など多くのJリーガーを輩出し、選手権にも16回出場している中京大中京だが、2022年度からスポーツ推薦による入学を廃止。今年の代からは一般入部で入って来た選手のみで戦っている。鈴村監督が「新人戦は愛知県の中での物差し。新チームで、どこまでできるのか楽しみでした」と話す通り、今大会は新生・中京大中京の力を試す格好の舞台。ここまでの試合は個の力で劣る相手も多かったが、粘り強さやチーム力で勝ち上がってきた。

「まさか、ここまでやってくれるとは」。指揮官も選手たちの奮闘に驚きを隠せない。想定を上回る勝ち上がりによって、選手の目の色も変わってきている。「東邦さんや名電さんに勝って、段々自信が付いてきた。ずっと1-0で勝ってきているので、それが今の自分たちのサッカーだと思う。決勝もしっかり粘り強い守備から1点を取って、次も1-0で優勝したい」。雨瀧の言葉通り、決勝でも勝利の方程式を崩さず、歓喜を引き寄せる。

(取材・文 森田将義)
森田将義
Text by 森田将義

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