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インハイで躍動して優秀選手も、選手権は欠場。MF峯野倖が「人の何倍もできる」守備、攻撃でも新生・市立船橋を勝たせる

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選手権は無念の欠場。市立船橋高MF峯野倖(2年=JFAアカデミー福島U-15 WEST出身)は1年後の選手権で輝く

「自分が入ったら、まず守備は人の何倍もできる自信はあるので、自分だけじゃなくて周りのカバーとかもいっぱいやって、絶対自分は抜かれない。中盤は絶対制したいです」

 選手権は登録外。注目ボランチは怪我の影響で市船が躍動する姿、敗れる姿をピッチ外から見ることしかできなかった。そのMF峯野倖(2年=JFAアカデミー福島U-15 WEST出身)が来季、「人の何倍もできる」守備、攻撃でも市立船橋高(千葉)を勝たせる。

 峯野は1年時にU-16日本代表のウズベキスタン遠征メンバーに抜擢されている才能だ。だが、複数回の脳震盪を起こした影響で接触プレーのあるトレーニングが禁止になっていた。約9か月間の長期離脱を経て、昨年のインターハイ予選で公式戦復帰。持ち前のボール奪取能力を発揮するなど、存在感のある動きで優勝に貢献した。

 インターハイは先発として躍動。激闘の末に勝利した大津高(熊本)とのプレミアリーグ勢対決では、波多秀吾監督が「どこにでもアイツがいたと思います」と称賛するほど走り回り、ボールを回収した。チームはベスト8で敗退したが、ボールを運ぶ力も備えた峯野は大会優秀選手に選ばれている。

「自分をアピールする場だと思って臨んだんで、守備の部分では本当に通用すると。普通にボール取れるなって。攻撃の部分も運んだりするのはできたんですけど、キックの部分が課題かなと思いました」

 手応えを感じた夏。だが、8月の合宿中に再発させて再び離脱してしまう。「頭真っ白になって。代表もその後に呼ばれているのを知っていたので。悔しかったです」。主力ボランチを失った中、市立船橋は選手権千葉県予選を突破。峯野は将来のことを考え、慌てて復帰するのではなく、選手権の登録メンバーから外れることを選んだ。

 チームはその選手権で12年ぶりのベスト4。準決勝で優勝校の青森山田高にPK戦の末に敗れた。峯野は「ほんとに悔しくて。自分と同い年とか、一緒にやってきた人たちが活躍して、悔しくて……出たい気持ちが強かったですね。自分が出ていたら、もっとセカンドボールとか拾う回数とか多かったのかなと思います」。青森山田との中盤の攻防で上回り、日本一へ――。その夢は1年後に再挑戦する。

 2月の合流へ向けて準備してきた。「首を強くすることと、体作りはしてきて、体重は5kgぐらい増えました。(再び接触プレーを禁じられていたが、)体幹と筋トレはしていました。体力面は元々自信あるから。やっていったら戻ると思います」。そして、「高校を代表する選手になっていきたいし、守備だけじゃなくて、守備と言えば峯野倖って言われる選手でもあるし、攻撃と言っても峯野倖と言われる選手に。あと結果を残していきたいですね」と意気込んだ。
 
 プレミアリーグでの目標は7得点。トレーニングしてきたロングシュートも積極的に狙うつもりでいる。「やっぱU-18代表には絶対入りたくて。そして、大学の強いところに行けたら。代表でももう(同じ2年生の)MF山本丈偉(東京V)とか中島洋太朗(広島ユース)以上の選手になっていけたら良い。(代表チームに入っていく)自信はあります」。

 新チームは、FW郡司璃来(3年)やMF大田隼剛(3年)ら注目世代だった先輩たちに比べると力が落ちると見られているという。特別な選手がいないからこそ、誰にでもできることから徹底。「見返したいっていう気持ちでいっぱいです」と語るMFは悔しさを忘れずに1年間を過ごし、24年度の選手権で市船を輝かせる。

(取材・文 吉田太郎)
吉田太郎
Text by 吉田太郎

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